わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸と金属類の関係1

2020-08-04 11:30:19 | 陶芸と金属類

陶芸と各種金属類との間には密接な関係が有ります。

例えば、素地に混入して素地の性質を変えてしまう事も有ります。

又、主に釉に混ぜて、色々な色又は好みの色に発色する事が行われいます。

その他、絵付けとしての絵具に利用されたり、金や銀の様に装飾する為にも使われます。

金属にはその金属特有の物理的(結晶、強度等)、化学的性質(酸化還元等)を有しますので、

それらを理解する事は有意義な事と感じます。

今回より「陶芸と金属類の関係を」順次述べたいと思います。

1) 各地の粘土の差とは。

 磁土にも産地によってある程度の差が生じますが、粘土程の差が出ないのが普通です。

 粘土はその産地によってその性質も大きく異なります。その為その性質に有った作り方や

 焼成の仕方が異なり、出来上がり作品もその土地ならではの焼き物に成ります。

 ① 各地の粘土の違いは、その中にどの様な鉱物が含まれているかに拠ります。

  a) 粘土の基本的な鉱物は、シリカ(珪酸、SiO2)とアルミナ(Al2O3)です。

   これは、岩石の成分と同じで、特に陶土なり易い火成岩(花崗岩等)が雨風熱等により

   風化、微細粉砕化され、更には雨や川によって流失移動し堆積し粘土に成った為です

  b) この風化による微細化と流動堆積化の途中で、その土地に存在する各種鉱物と

   混在します。特に鉄やマグネシウム、カルシュウム、石英の他、アルカリ金属、アルカリ

   土金属等の希土類も含まれる場合も有ります。これらの含有物や含有量によって

   粘土の性質が決定されます。

  c) 焼き物に適する土は選別されます。

   上記の土全てが焼き物に適するものではありません。当然人為的に取捨選択しさらには、

   陶土として精製して使用する事に成ります。一般的には水簸(すいひ)の技法を取ります

   上記粘土に含まれる植物片や「ごみ」「有害な物質(水溶性のアルカリ類)」を取り

   除きます。

  d) 焼き物に適する土

   ⅰ) 可塑性(かそせい)が有る事。

    一度力を加え、変形させ、その力を取り除いてもその変形を保持する性質を可塑性と

    言います。その為には、「延び」が良い事と、「腰の強さ」が要求されます。

   ⅱ) 乾燥に強い事。

    素地を乾燥させると縮ます。その際「ひびが入らない」ことが肝要です。

    この「ひび」はほとんど修正不可能です。

   ⅲ) 良く焼きし締まる事。

    作品を高い温度で焼成する事で、素地は焼き締り、物理的強度が増し、使用に

    耐える物になります。当然高い温度に耐える必要があり、その温度範囲も広い事も

    大切です。焼き過ぎや焼き不足になる危険性が少なく成る為です。

   ⅳ) 焼き上がりが美しい事。

    施釉陶器でも、焼き締め陶器(無釉)であっても、美しく焼き上がる事がその作品の

    価値を高める事に成ります。

    特に施釉陶器では釉が良く熔け、素地に密着する事が大切です。

以下次回に続きます。   

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