わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問45 釉にぶつぶつ(泡状)が出た時の対策

2020-08-25 10:53:33 | 質問、問い合わせ、相談事

(ぷくぷく)様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。


 今回、教えていただきたいことがあり、メールさせていただきました。

 マグカップを焼いたところ、透明釉が溶けずに白濁していたため、もう一度焼きました。

 すると、今度は全体的に白っぽい泡泡になってしまいました。

 気に入っていたマグなので、何とかならないかと思うのですが、例えば、ごく細かい

 サンドペーパーなどで擦ると、どうなるでしょうか?

 マグには、像篏と模様の貼り付けをしています。

 

◎ 明窓窯より

 熔け不足や希望と違う色に焼き上がった作品を再度焼成する事は一般に行われて

 いますが、再焼成しても必ずしも希望通りに行くわけではありません。

 今回ご質問の「泡泡=ぶつぶつ」の状態に成る事も起こり易い現象です。

 特に最初に焼成してから時間が経った場合に起こる傾向にあります。

1) 釉の内部に気泡が存在する場合が多いです。

  ぶつぶつの正体は気泡です。空気の事もありますし、水蒸気であったり、釉中から

  発生した「ガス」の場合もあります。これは貫入から入り込んだ水分や空気による

  物と考えられています。

  ⅰ)気泡があると、表面が不透明になり、作品表面の図柄が不鮮明となり、場合に

   よっては、全く見えなく成る事もあります。

  ⅱ)作品全体に起こる場合と、局所的(特に作品の下部又は器の外側)に発生する

   事もあります。施釉が厚く掛かった部分のみに見られ事もあります。

  ⅲ)気泡の大小にもよりますが、指の爪で押すと気泡が破れ醜い痕に成ります。

   これは、気泡を薄いガラス質の釉が覆っている状態で、破れる事で先端が鋭利な

   ギザギザの突起が出来、手に持つ事すら危険になります。当然実用に耐えません。

2) 表面を目の細かい紙ヤスリで削っても、気泡が中にある限り取り除く事は出来ません。

 むしろ薄いガラス質に穴を開けるだけです。

 ⅰ)対策は出来るだけ、気泡を潰してから、再度釉を掛けて焼成する事です。

  気泡を潰すには、先の尖った鋭利な金属棒や、広い範囲の場合には、ハンマー

  (木製又はゴム製)で軽く叩き、泡を潰します。

  強く叩くと器を傷つけますので注意が必要です。

  又、表面が凸凹している事と焼成を繰り返す事で釉が表面に載り難です。

  焼成後でも完全に泡が取れるとは限りません。

  それ故、焼成しても不出来でしたら、廃棄処分が妥当です。

 ⅱ) 再度最初から作り直す方が確実ですし、時間的にも早い場合が多いです。

  失敗した作品を補修するのは、意外と大変ですし、満足できる作品にするのはいくら

  努力しても、報われる結果が出るわけではありませんので、ある程度補修しても

  希望通りに成らない場合には、最初から作り直す事を勧めます。

当方でも何度か同じ状態に成った事がありますが、確実な方法を見出す事が出来ません

でしたので、適格な情報をお伝え出来ません。申し訳ありません。

以上 

コメント (1)
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