わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問51 セラミックのピアス用の釉薬で見本通りの色が出ない件

2021-11-14 15:50:27 | 質問、問い合わせ、相談事

森野様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。

 

はじめまして!

趣味でセラミックのピアスを作りはじめたのですが、何が悪いのか、焼成後の色合いが悪く、

陶芸ショップで見たサンプルと同じような焼き上がりになりません。

釜のサイズは、奥行き20センチ✖️高さ12センチ✖️幅20センチ


釉薬は海外のものでCone6と書いています。

ピアスは小指の爪くらいの大きさで、表面のみ釉薬がかけてあり、裏側は素地のままです。


1、市販の磁土を成形し、素焼きをせず釉薬を塗る


2、3時間乾燥させた1を電気釜に入れ、スイッチオン。


3、釜の温度を、537Cまで1時間かけて上昇させ、932Cまでさらに1時間、998で3分

キープし、1時間かけて693Cまで下げて、スイッチオフ。

この工程のあと、1日待って釜をあけても、サンプル通りの色が出ません。

どこを変えればいいでしょうか。アドバイスいただけると嬉しいです。

 

明窓窯より

当方、Cone6なる釉薬は未知な物ですので、文面より想像してお答えします。

1) 焼成温度と綺麗な色彩をご希望とのことで、Cone6は上絵付け用の釉薬又は

  絵具(顔料)では無いかと推察します。

  焼成温度はご購入の際に添付された通りになされたと思われます。

  尚、窯出しまでの時間は、もっと短くて良いと思います。1日待つ必要は有りません。

  よって上絵付けならば、釉薬自体に問題ありません。

2) 素地の磁器土ですが、これも推奨された物でしょうか?

  若しそうならば、磁器土は本焼き(1250~1300℃)した後、再度1000℃前後で絵付けの

  焼成をする必要があります。

  ① 本件の焼成温度では、磁器土のやや高温の素焼き程度しか成りません。

   その為、土が磁器化せず、吸湿性が生じ、釉薬が素地に吸収され、希望の色に

   ならないと思われます。又強度(壊れ易さ)的にも問題に成り、磁器本来の良さを

   発揮出来ていません。

  ② 一般的に、本焼きは作品を制作、乾燥、素焼き、施釉、高温での焼成と成りますが、

   作品が小さいので、必ずしも素焼きは必要ないと、思われます。

   素焼きは施釉の際と、焼成の際に作品が壊れる(割れる)のを防ぐ目的ですが、

   食器類や多くな器等では、必要です。

   その後に、上絵付へと進みます。

  ③ 施釉は磁器用の透明釉を使います。

   尚、素焼きをしない場合は、生掛け(素地に直接施釉)となります。

   又、施釉せずに本焼きし、高温で焼成する事も可能ですが、仕上がりは若干劣ります。

  ④ 施釉方法は添付の資料に従って下さい、若干厚めに掛けた方が良い場合があります。

3) 上記の如く、可成りの高温が必要に成りますが、お持ちの窯の最高温度は十分満た

 されているでしょうか?

 ① 磁器土を使用する目的は、機械的強度を得る為と、素地が白色なので、色が鮮明に

  成るからだと思われます。

 ② 一つの提案なのですが、磁器土の本焼きと成ると、時間的、経済的にも多きな

  負担となります。そこで、半磁器土を使う事をお勧めします。

  焼成温度を50℃程度下げる事も可能ですし、素地の色も磁器土と同程度に白く

  焼き上がります。但し、強度は若干劣ります。

以上、思い付く範囲での説明と成ります。参考にして貰えれば幸いです。

 

疑問などが有りましたら、再度お問い合わせください。

情報量は多い程有難いです。

コメント
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