② 熔ける温度を下げる物質。(前回の続き)
) アルカリ土類の働きと性質。
b) 酸化マグネシウム(MgO)の働きと性質。
イ) マグネシウムはカルシウムと共に使いますが、カルシウムより少量で有効な媒熔剤と
成ります。
ロ) 少量使用の場合には、光沢釉に成りますが、使用量が増えるに従い、熔ける温度は
上昇し微細結晶が生成され、1200℃以上でマット状になります。
但し、ジルコンや酸化錫の効果よりやや劣ります。
ハ) 熱膨張係数が小さく、貫入を減らす事が出来ます。
釉の粘度に影響を与えません。更に、表面張力を大きくする結果、釉の縮れ(ちぢれ)
現象を起こします。
ニ) 機械的強度を上げ、磨耗に対して強く、建築材料の「タイル」等に使われています。
ホ) マグネシウムを含む釉は、酸化コバルト添加で青から紫色に、酸化クロムでオリーブ
緑色に成ります。
ヘ) マグネシウムを含む原料として、マグネサイト(MgCo3)、ドロマイト(CaCO3・MgCO3)
タルク(滑石、3MgO・4SiO・H2O)等が有ります。
c) 酸化バリウム(BaO)の働きと性質。
イ) 少量の使用の場合、釉の粘度は低くなり、透明感が増し光沢も強くなります。
ロ) 多量に使うと、結晶が生じ絹の様な質感を持つマットに成ります。
ハ) バリウムの添加は釉の熔融温度範囲を狭め、化学的な耐久性も弱くします。
ニ) 他の金属との組み合わせで、色調が変わります。
バリウム釉に酸化クロムを添加すると、黄色味の掛かった緑に、酸化コバルトでは紫に、
銅では、緑青色に成ります。
ホ) 酸化バリウムは毒性のある炭酸バリウム(BaCO3)から取るのが一般的です。
炭酸バリウムは1000~1200℃で分解し酸化バリウムに成ります。
分解の際、CO2を発生させる為、釉に「ブク」や「ピンホール」が出来易く、気泡が釉に
閉じ込められると、失透する事もあります。
d) 酸化亜鉛(亜鉛華、ZnO)の働きと性質。
イ) 亜鉛は添加量によって種々の様相を呈します。
・ 少量添加すると、釉の融点を下げると共に、釉に光沢を与え粘度を下げます。
・ やや多くすると、分相による光沢のある乳濁釉を作る事が出来ます。
・ 多量に添加すると、光沢の無いマット釉に成ります。
・ 過剰に添加すると、亜鉛結晶を生じます。但し、1150~1100℃の範囲で徐冷
する必要があります。
ロ) 熱膨張率を下げますので、釉の貫入を抑える働きがあります。
ハ) 表面張力を大きくしますので、釉の縮れ(ちぢれ)を発生させる働きになります。
ホ) 機械的、化学的強度を増します。又、亜鉛釉に酸化クロムは合いません。
即ち、クロムの緑は緑掛かった茶色になります。
ホ) 酸化亜鉛は揮発成分を含む為、粉末を850~1230℃で焼いてから使います。
亜鉛華として市販されているのは、この状態の物です。
e) ホウ素(硼素)の働きと性質。
釉の原料としては硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酸化硼素(硼酸)などから取ります。
イ) 高火度釉では、融点と粘度を下げ、光沢を増します。
ロ) 他の元素の結晶化を妨げ、釉の透明度を増します。
ハ) 釉の表面張力を小さくし、機械的強度を増します。
③ ガラスを安定化させる物質。
以下次回に続きます。
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