わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼成のメカニズム 8 (楽焼3)

2010-04-15 21:52:20 | 失敗と対策
焼成のメカニズムの、話を続けます。

 ② 楽焼きについて

  ) 楽焼用の基礎釉について

     楽焼用の釉は、市販されていますが、ご自分で調合される時は、以下の様にします。

    調合例 白釉(透明系) ・ 調合によって、釉の熔ける温度に、差がでます。

     a) 唐土:50、 白玉:50、日の岡珪石:10

     b) 唐土:60、 白玉:30、日の岡珪石:5

     c) 唐土:10、 白玉:70、日の岡珪石:20

     d) 白玉:70、 長石石:30

    注1) 唐土(とうのつち)は、釉の溶剤の働きがあり、鉛を酸化させて、白い粉にした物です。

       釉を透明にし、流れ易くします。又、大量に混入すると、熔け易くなります。

     ・ 白玉は、硝石のフリットで、釉の厚みを増します。(有鉛と無鉛とが有ります。)

       量を多くすると、耐火度を上げます(熔け難くなる)。
    
    注2) フリットは、自分で作る事も可能ですが、陶芸材料店から、購入した方が、容易で無難です。

        (作る為には、それなりの、設備や用具が必要です。)

     ・ フリットとは、釉に、ソーダ、カリ、硼酸など、水に溶ける原料が有る場合や、

       有害な、鉛がある時は、水に溶かしたまま(生釉)では、使えません。

       これら一部(又は全部)を、一度高温で熔かし、ガラス化して、水に投じて、粉末にし、

       水に溶けない状態にします。これをフリットと言います。

  ) 楽焼の色釉の調合例

    酸化金属の銅、酸化鉄(弁柄)、マンガン、酸化錫、コバルト、アンチモンなどを、

    基礎釉に添加します。

    a) 緑釉、 基礎釉:15、 酸化銅:1 又は、 基礎釉:16、 炭酸銅:2

    b) 黄色釉、 基礎釉:70、 弁柄:3、 アンチモン:0.2

    c) 紫釉、 基礎釉:50、 酸化マンガン:1、 コバルト:0.03

    d) 青釉、 基礎釉:50、 酸化コバルト:0.6

   尚、黒楽用の釉の調合に、下記のような方法も、有ります。

    合成加茂川石粉:100、無鉛白玉:50、酸化鉄:3、酸化コバルト:1、二酸化マンガン:3

    これに、化学糊(CMC)を、0.3~0.5%、水50%加えます。

   ・ 釉掛けは、厚めにし、幾分、還元焼成気味にすると、梨地調になり、金属類は、深みの有る、

     色を出します。

   ・ 酸化第二酸化鉄(Fe2O3)は、1050℃で、熱分解が起き、酸化第一鉄(FeO)と磁鉄鉱に成ります。

     これを急冷すると、真っ黒に成ります。

     それ故、黒楽だけは、1100℃程度で、焼成する必要が有ります。

  ) 楽焼の焼成

以下次回に続きます。

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