1) 宋胡録(すんころく)青磁。
) 13世紀末~15世紀頃に掛けて、タイ中部、サワン(又はスワン)カローク地方の焼き物を、
日本では宋胡録と呼びます。タイ中部には他に、ソコタイ窯があり、作品も同様に呼ばれる
事もあります。更に、タイ北部には、パーン、カロン、サンカンペン等の諸窯があります。
145基の窯址が確認され、大規模な窯群が形成されていた事が判明しています。
)タイで染付や色絵が出現するのは、18~19世紀に景徳鎮が注文を受け、ベンチャロンと呼ば
れる作品をタイに輸出した以後の事です。
) サワンカロークの窯は、中国元代の青磁や染付の影響を、濃厚に受けています。
a) 青磁灰色の半磁胎に、透明感のある青磁釉を掛けた物を、宋胡録青磁と呼んでいます。
釉はガラス分の多い緑色掛った物で、厚く掛かるため貫入が多い様です。
径30cm程の平鉢が多く、壷、鉢、水注、瓶、碗、合子、盃などがかなり大量に作られ、
国内だけでなく、インドネシア方面にも輸出されています。
中国南宋の竜泉窯を写した物が多く、13~14世紀の作と思われています。
青磁の産地はスワンカロ一クだけに限られているようです。
b) 褐白釉又は白濁釉を掛け分けた繊細な刻花文の作品: 王宮や大寺院で使用される優れた
器などで、ソコタイやシのシャッチャナライの王宮遺跡や寺院遺跡から出土します。
尚、白濁釉は、燐酸による失透性白濁釉です。
c) 白地鉄絵の作品(宋胡録)。 鉄砂で細かな唐草文や格子文を描き、上に白濁気味の
灰釉を掛けます。器形としては蓋物が最も多く、小瓶、水注、鉢、皿などがあります。
d) 青磁鉄絵: 魚文や草花文が描かれた優品です。高麗青磁に似ています。
) わが国には、桃山時代~江戸初期頃に、香合など小物類がもたらせれで、茶人の間で愛好
されます。 鉄釉又は、藍呉須を用いて絵を描いたものが主で、素地に鉄分がある「ごま土」
に特徴があります。14世紀後半~16世紀まで生産されていた様です。
) 中国陶磁を手本とした器形の他に、人形、人物像や仏教的な彫塑像、さらに建築用タイルや
装飾具も多く焼かれています。
2) 宋胡録の贋作。
① サワンカロークの青磁や鉄釉に多くの贋作があります。但し、鉄絵の場合は少ない様です。
贋作の程度は、素焼の胎土にペイントで絵付けをした稚拙な物から、釉では判別できない程
精巧な物など範囲が広いです。
② 昨今タイでは非常にうまいやり方の偽物が出回っています。
真作の高台部を切り取り、その上に新たな粘土を貼り付けて、壷や皿を復元再生してしまう
方法です。 タイの古陶器は、高台部の土を見る事で、真贋が判断できるとの事です。
即ち、サワンカロークの土は、灰白色で粘りがあり、焼き上がると、「キツネ色」に発色し、
微細な黒点が存在します。ソコタイの土は、粗目で白い粒子を含む、灰白色をしています。
それ故、本物の高台の上に、新たな土を付ければ真偽の見分けは難しくなります。
③ タイ本国では、新たな発掘品は少なくなり、インドネシア当たりから、優れた作品が発掘
される様になります。インドネシアからは、元の染付や中国磁器や安南陶磁の優れた作品が
発掘されています。
④ サワンカロークの青磁の人形は特に有名です。
但し、当時の習慣として、首を欠くのが普通です。それ故、首部が補修されているはずです。
無傷の物が贋作として見てよいでしょう。
注: 首を欠く理由は、人形に悪運を託し首を欠いて神社に奉納した為とされています。
) 扇を持つ人形、赤子を抱いた人形、足を崩して座った人形など、形は色々ありますが、
いずれも「首部」が欠けています。
⑤ 偽物を見破る。
)今ある贋作染付けに集中し易く、我が国向けの作品が多いです。
「柿香合」、花入、花掛け、茶碗、合子、水指、酒盃などの贋作が、多いです。
上記の如く、胎土を見れば真偽の判断がつきます。
) 流通している本物の宋胡録は、ほとんど発掘品でしので、「かせ」が付いています。
新品の作品に古色付て本物に見せかける方法には、呉須の色、文様の描き方、釉肌の違い、
貫入の有無(新品には貫入の入りが少ない)などから判断できるそうです。
以下次回に続きます。
) 13世紀末~15世紀頃に掛けて、タイ中部、サワン(又はスワン)カローク地方の焼き物を、
日本では宋胡録と呼びます。タイ中部には他に、ソコタイ窯があり、作品も同様に呼ばれる
事もあります。更に、タイ北部には、パーン、カロン、サンカンペン等の諸窯があります。
145基の窯址が確認され、大規模な窯群が形成されていた事が判明しています。
)タイで染付や色絵が出現するのは、18~19世紀に景徳鎮が注文を受け、ベンチャロンと呼ば
れる作品をタイに輸出した以後の事です。
) サワンカロークの窯は、中国元代の青磁や染付の影響を、濃厚に受けています。
a) 青磁灰色の半磁胎に、透明感のある青磁釉を掛けた物を、宋胡録青磁と呼んでいます。
釉はガラス分の多い緑色掛った物で、厚く掛かるため貫入が多い様です。
径30cm程の平鉢が多く、壷、鉢、水注、瓶、碗、合子、盃などがかなり大量に作られ、
国内だけでなく、インドネシア方面にも輸出されています。
中国南宋の竜泉窯を写した物が多く、13~14世紀の作と思われています。
青磁の産地はスワンカロ一クだけに限られているようです。
b) 褐白釉又は白濁釉を掛け分けた繊細な刻花文の作品: 王宮や大寺院で使用される優れた
器などで、ソコタイやシのシャッチャナライの王宮遺跡や寺院遺跡から出土します。
尚、白濁釉は、燐酸による失透性白濁釉です。
c) 白地鉄絵の作品(宋胡録)。 鉄砂で細かな唐草文や格子文を描き、上に白濁気味の
灰釉を掛けます。器形としては蓋物が最も多く、小瓶、水注、鉢、皿などがあります。
d) 青磁鉄絵: 魚文や草花文が描かれた優品です。高麗青磁に似ています。
) わが国には、桃山時代~江戸初期頃に、香合など小物類がもたらせれで、茶人の間で愛好
されます。 鉄釉又は、藍呉須を用いて絵を描いたものが主で、素地に鉄分がある「ごま土」
に特徴があります。14世紀後半~16世紀まで生産されていた様です。
) 中国陶磁を手本とした器形の他に、人形、人物像や仏教的な彫塑像、さらに建築用タイルや
装飾具も多く焼かれています。
2) 宋胡録の贋作。
① サワンカロークの青磁や鉄釉に多くの贋作があります。但し、鉄絵の場合は少ない様です。
贋作の程度は、素焼の胎土にペイントで絵付けをした稚拙な物から、釉では判別できない程
精巧な物など範囲が広いです。
② 昨今タイでは非常にうまいやり方の偽物が出回っています。
真作の高台部を切り取り、その上に新たな粘土を貼り付けて、壷や皿を復元再生してしまう
方法です。 タイの古陶器は、高台部の土を見る事で、真贋が判断できるとの事です。
即ち、サワンカロークの土は、灰白色で粘りがあり、焼き上がると、「キツネ色」に発色し、
微細な黒点が存在します。ソコタイの土は、粗目で白い粒子を含む、灰白色をしています。
それ故、本物の高台の上に、新たな土を付ければ真偽の見分けは難しくなります。
③ タイ本国では、新たな発掘品は少なくなり、インドネシア当たりから、優れた作品が発掘
される様になります。インドネシアからは、元の染付や中国磁器や安南陶磁の優れた作品が
発掘されています。
④ サワンカロークの青磁の人形は特に有名です。
但し、当時の習慣として、首を欠くのが普通です。それ故、首部が補修されているはずです。
無傷の物が贋作として見てよいでしょう。
注: 首を欠く理由は、人形に悪運を託し首を欠いて神社に奉納した為とされています。
) 扇を持つ人形、赤子を抱いた人形、足を崩して座った人形など、形は色々ありますが、
いずれも「首部」が欠けています。
⑤ 偽物を見破る。
)今ある贋作染付けに集中し易く、我が国向けの作品が多いです。
「柿香合」、花入、花掛け、茶碗、合子、水指、酒盃などの贋作が、多いです。
上記の如く、胎土を見れば真偽の判断がつきます。
) 流通している本物の宋胡録は、ほとんど発掘品でしので、「かせ」が付いています。
新品の作品に古色付て本物に見せかける方法には、呉須の色、文様の描き方、釉肌の違い、
貫入の有無(新品には貫入の入りが少ない)などから判断できるそうです。
以下次回に続きます。
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