本焼きの焼成時間は、窯の種類や大きさによって、数時間~数週間と幅があります。
数週間も焚き続ける窯は、共同窯の大窯や大型の登り窯などの場合で、昔ながらの薪で焼成する
窯です。今では特殊な窯に成っていて、多く使われている訳ではありません。
一般に使う個人の窯でも、焼成時間は、数時間~十数時間とバラバラです。
今まで主に使われている時間の目安は、1時間で100℃上昇させると良いと言う事です。
即ち1250℃までに12時間半で焼成する事になります。窯の温度を測定するゼールコーンは、この
温度上昇に対応しています。勿論、窯の構造や大きさ(容量)、燃料(電気)の違い、窯に入れる
作品の大きさと形、土や釉の種類によっても異なります。
陶芸の技術書や作品写真では、16~18時間程度で焼成時間した物が多い様に見受けられます。
それには、何らかの事情があると思われます。
当然ですが、焼成時間が短い程、燃料費も安く済みますし、労力も少なくなります。
陶芸で一番ランニングコスト(経費)が掛かるのは、燃料(電気)代と言われています。
それ故、なるべく短い焼成時間にしたいのが人情です。どの程度まで時間を短く出来るかが関心の
的になります。
1) 長時間焼成する事のメリット。
① 土を焼き締める。
素地(粘土、磁土)は、高温に曝される(さらされる)と収縮し始め、密度が大きくなり、
機械的強度も強くなります。即ち、高温で時間が長い程、壊れ難くなります。
更に、密度が増す事で水を透し難くなり、水漏れも少なくします。作品を指で弾くと高く
金属音に近い音がし、焼きの締まり具合が判断できます。
② 熔け難い釉を完全に熔かす。釉の種類によっては、その組成する材料によって温度だけで
無く、長時間高温に曝す事で熔ける物もあります。代表的な釉は「志野釉」などがあります。
又、釉はさほどの高温にせずとも低い温度(SK-1程度低い)で、時間を掛ければ熔ける
性質があります。その為、一定温度に保ったままの「寝らし」時間を長くしたりもします。
③ 世の中に名品と呼ばれる作品群は、良く焼き締まった作品が多いです。
逆に、良く締まった焼き物が、良い焼き物とも言えます。
それ故、高価な作品では、良く焼き締めるのが普通です。
2) 温度上昇は必ずしも、直線的ではありません。
① 本焼きの場合、窯に火(又は通電)を入れた直後の場合には、窯の容積によっては、1時間で
300~400℃上昇する事も稀ではありませんし、この様に急上昇させても、ほとんど問題が無い
場合が多いです。この段階ではほぼ直線的に温度が上昇します。
② 温度上昇が徐々に鈍る。
窯の温度が上昇するに従い、温度上昇は徐々に鈍ります。これは主に熱が壁などを通して
外部へ漏れ出る結果と思われます。1200℃程度までは、どうにか温度上昇しますが、1200℃
を超える頃から、極端に温度上昇が鈍くなります。
③ 酸化、還元焼成によっても、温度の上昇は異なります。
極端な酸化、還元焼成では温度の上昇は見られず、逆に温度低下をもたらす場合もあります。
但し、酸化、還元焼成だからと言って、土の焼き締まりや釉の熔け具合に影響を与えるもの
では有りません。単に、釉の色具合に変化を与えるだけです。
3) 近年は焼成時間が短くなっています。
以下次回に続きます。
数週間も焚き続ける窯は、共同窯の大窯や大型の登り窯などの場合で、昔ながらの薪で焼成する
窯です。今では特殊な窯に成っていて、多く使われている訳ではありません。
一般に使う個人の窯でも、焼成時間は、数時間~十数時間とバラバラです。
今まで主に使われている時間の目安は、1時間で100℃上昇させると良いと言う事です。
即ち1250℃までに12時間半で焼成する事になります。窯の温度を測定するゼールコーンは、この
温度上昇に対応しています。勿論、窯の構造や大きさ(容量)、燃料(電気)の違い、窯に入れる
作品の大きさと形、土や釉の種類によっても異なります。
陶芸の技術書や作品写真では、16~18時間程度で焼成時間した物が多い様に見受けられます。
それには、何らかの事情があると思われます。
当然ですが、焼成時間が短い程、燃料費も安く済みますし、労力も少なくなります。
陶芸で一番ランニングコスト(経費)が掛かるのは、燃料(電気)代と言われています。
それ故、なるべく短い焼成時間にしたいのが人情です。どの程度まで時間を短く出来るかが関心の
的になります。
1) 長時間焼成する事のメリット。
① 土を焼き締める。
素地(粘土、磁土)は、高温に曝される(さらされる)と収縮し始め、密度が大きくなり、
機械的強度も強くなります。即ち、高温で時間が長い程、壊れ難くなります。
更に、密度が増す事で水を透し難くなり、水漏れも少なくします。作品を指で弾くと高く
金属音に近い音がし、焼きの締まり具合が判断できます。
② 熔け難い釉を完全に熔かす。釉の種類によっては、その組成する材料によって温度だけで
無く、長時間高温に曝す事で熔ける物もあります。代表的な釉は「志野釉」などがあります。
又、釉はさほどの高温にせずとも低い温度(SK-1程度低い)で、時間を掛ければ熔ける
性質があります。その為、一定温度に保ったままの「寝らし」時間を長くしたりもします。
③ 世の中に名品と呼ばれる作品群は、良く焼き締まった作品が多いです。
逆に、良く締まった焼き物が、良い焼き物とも言えます。
それ故、高価な作品では、良く焼き締めるのが普通です。
2) 温度上昇は必ずしも、直線的ではありません。
① 本焼きの場合、窯に火(又は通電)を入れた直後の場合には、窯の容積によっては、1時間で
300~400℃上昇する事も稀ではありませんし、この様に急上昇させても、ほとんど問題が無い
場合が多いです。この段階ではほぼ直線的に温度が上昇します。
② 温度上昇が徐々に鈍る。
窯の温度が上昇するに従い、温度上昇は徐々に鈍ります。これは主に熱が壁などを通して
外部へ漏れ出る結果と思われます。1200℃程度までは、どうにか温度上昇しますが、1200℃
を超える頃から、極端に温度上昇が鈍くなります。
③ 酸化、還元焼成によっても、温度の上昇は異なります。
極端な酸化、還元焼成では温度の上昇は見られず、逆に温度低下をもたらす場合もあります。
但し、酸化、還元焼成だからと言って、土の焼き締まりや釉の熔け具合に影響を与えるもの
では有りません。単に、釉の色具合に変化を与えるだけです。
3) 近年は焼成時間が短くなっています。
以下次回に続きます。
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