ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

代参犬

2013-07-05 14:14:44 | 日記
昨日は犬の話を書いたが、北海道新聞で面白い記事を見つけた。

江戸時代後半から明治の初めまで、約100年の間に、独りで伊勢神宮に行き、お祓(お札)をもらって帰る犬が何匹もいたという話だった。

最初に伊勢参りをしたのは、現在の京都府宇治市に住んでいた高田善兵衛の飼い犬だった。

一番最初に伊勢参りをした犬のことは、神宮の外宮神主・度会重全によって克明に記録されているそうだ。

「上方から犬が参宮したと町の方で騒いでいる。

毛色は赤と白のまだらで、小さめの雄犬だった。

(門前の)茶店で握り飯を食うと、真一文字に外宮の方へ駆け出し、北御門口から手洗場に行き、ここで水を飲み、本宮に来て、広前で拝礼した。

犬は不浄を食うものなので、神宮に立ち入ることを堅く禁じていたが、犬の様子が尋常ではないため、宮人たちは犬をいたわりお祓を首にくくりつけて放してやった」(明和続後神異記より)

原文では、犬はそのあと4キロほど離れた内宮へも行き、同じように拝礼したとあるそうだ。

明和6年9月に遷宮があり、多数の人が伊勢神宮に参拝をし、奉公人、女、子供、老人などなど、伊勢参りに行けない庶民が親や主人に黙って集団で伊勢に向かう抜け参りが発生した。

その後、大規模な「御蔭参り」になっていくが、犬の参拝はちょうどその頃に起こった出来事とのことだそう。

参拝犬の目撃者は、ほかにもいて、伊勢松阪の商人・森壷仙は「通りに出て待っていると、首っ玉にお祓と銭を付け、所書(住所)も付けてやって来た。その後も毎日二、三匹ばかりずつ通った」と日記に書き残している。

また、山形県の我孫子周蔵も伊勢参宮旅行中に、犬の伊勢参りに遭遇し、参宮日記に「ふしぎ成ル事ハ犬の抜け参り。いくつも行き合わせ申し候」と書いた。

ところが、その後も犬の伊勢参りの目撃情報はあとを絶たず、なんと豚まで参宮したとの記録が残っているそうだ。

(豚の参宮は文化6年に実際にあったという記録が残っている)

福島須賀川、病気の主人の代参。(寛政年間)

飼い主が夢を見て、安房から代参犬(寛政2年)

出羽の犬が、先住を通過。(文化11年)

など・・・

金比羅参りと伊勢参りをすませ、信州北佐久まで帰ってきた犬もいる。

飼い主の知らない間に伊勢参りをすませ、秋田藩の家老一行と一緒に戻ってきた青森県黒石の犬もいるという。

なぜ犬は参宮するのか。

それは人々が「伊勢参りの犬だ」と認識した時から、善意の人々に導かれ、犬は伊勢に向かい始めるのだという。

しかし参宮犬の終焉は、文明開化とともにやってきた。

明治6年4月、東京府は畜犬規則を定め、飼い主の住所氏名を書いた札を下げていない犬は殺すことになった。

そして、最後の参宮犬は明治7年に記録されているそうだ。

東京日本橋の古道具屋が「殺されたらかわいそうだ」と見知らぬ犬に名札をつけてやったところ、なんとこの犬が伊勢参りをすませ、施しの銭とお祓を首に下げて戻ってきたそうだ。

以後、参宮犬は絶え、いつか人々の記憶からも犬の伊勢参りのことは消えてしまったそうだ。

伊勢参り・・・私はまだ行った事がないが、いつか行ってみたい。

何度か計画を立てようとしたが、なかなか思うように進まないので、これはまだ行く時期ではないのかもしれないと勝手に思っている。

いっそ代参犬ならぬ代参鳥(P太郎)を伊勢に向けて飛ばそうかしら・・・なんてね。













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