鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『女信長』②~ジェンダーの狭間で・・・。

2009-06-08 21:00:23 | Weblog
くもりがちで、冷んやりした一日。

今を去ること、ン十年前、テアトル・銀座が、まだ、セゾン劇場と呼ばれていた頃、坂東玉三郎さんの主演で、
『エリザベス』が上演されました。
英国のエリザベス一世が、女性ではなく、男性だったというストーリーでした。
『女信長』の逆バージョン。
玉三郎さんは、生物学的には、男性ですが、舞台に立つと、どこの女性より女性らしいし、『エリザベス』は、もともと男で、それを男性が演じていたのだから、ナンの齟齬もないのですが・・・。

閑話休題。
『女信長』を演じるのは、黒木メイサさん。いやぁ・・・Coolな美人です。
1mmの狂いもない美少女ですわ。
こんなに綺麗な女優さんに、あの暴力的な演出は、ちょっといただけないような気がして見ておりました。
合戦での殺陣は、時代劇には、必須要素ですから、致し方がない。しかし・・・家臣や、最愛の?明智光秀を、殴り続けるシーンには、ちと閉口。
アクション重視の演出とはいえ・・・。

生物学的には、女性なのに、舞台に立つ、黒木メイサさんには、暴力的な男しか感じない。
しかも女性特有のヒステリックな怒りが伴っているので、見ていてなんだかツライ。
女なのに、男性的な暴力で、しかも感情は、ヒステリックな女性なので、どうしていいのか、判らなくなってしまう訳ですね。

前半は、桶狭間の合戦から、信長ピンチの金ヶ崎の合戦までをスピーディに展開。
恋人である浅井長政に、自分の妹・お市(彼女も史実では、戦国一の美女で、兄・信長と夫・長政の間で苦悩する悲劇のヒロインですが、このドラマの中では、頭は空っぽ、やたら、男にベタベタして媚をうり、自分からは、何もせず、馬鹿を売り物にして、男から守られる価値もないのに、必然的に守られるという、男性に頼らず、自力で、生きている女性には憎むべきキャラクターに設定されています・・・なんのこっちゃ・・・)を、嫁がせるあたりから、やたら、お長(信長)の求めるものに、性愛的様相が、強くなってくるのですが・・・。

問題は、後半。
天下布武・・・戦のない平和な世の中を目指して戦いに明け暮れるお長(おちょう:信長)と光秀の関係に翳りが現れてきます。

愛されたい、守られたい・・・結局、恋人・浅井長政に裏切られ、彼女の周りから、人が離れていきます。
一人で闘う『女信長』にとって、天下さえ取れば、自分の望みは、全て叶うと錯覚させるのですが・・・。

このあたりから、前半のワクワクするような期待感がなくなり、やっぱり、男性の作ったドラマなんだな・・・と失望さえ感じてきました。
あんなに、面白かった前半なのにな・・・。

結局、男女間のジェンダーの壁は、越えられないってことですかね・・・。

まだ、続きます。