鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『広島に原爆を落とす日』②~誰の為に、地獄の業火を・・・。

2010-08-22 21:02:02 | Weblog
今日も暑い・・・。8月も下旬だというのに・・・。


誰が、ヒロシマに原爆投下のスイッチを押したのか・・・?
かつて、人類が、一度で、虐殺できる最大数を遥かに、超えることになるであろうこの地獄の業火を、放つためのスイッチを・・・。

目の前に広がるこの世の地獄を作り出したのが『自分』だという認識に耐えられる人間が果たして、この世に存在するのだろうか?

その人類初の狂気の殺人兵器・原爆をヒロシマに投下するためにこの世に生をうけた朝鮮人・犬子恨一郎。その清冽なまでに、強く美しい魂の持主を演じるのが、筧利夫さん。

原爆投下のスイッチを押した海軍士官・犬子恨一郎の謎を追い、政府が封印した謎を解き明かすために、無実の罪で、服役していた記者・山崎役との二役で、膨大なセリフを澱みなく、演じきる筧さんは、力量のある役者さんだ。

これは、一種の復讐劇なのだろうか?

在日朝鮮人であるつかこうへいさんの・・・。
日本という、卑怯で、曖昧で、生ぬるい国家に対する・・・。

自分の愛しいヒロシマに原爆を落とす決意をする恨一郎の名前は、犬以下の朝鮮人と日本人から、蔑まれても、誇り高き、李一族(←朝鮮の王朝の系図らしいことを劇中で語られていた)。
恨一郎の『恨』は、日本人だったら、多分、名前には、持ち得ないだろうと思う。かの朝鮮国での『恨』は、『うらむ』という意味は、無いのだろうか(ハングル語にこの字はないですかね?)蔑まれ、暴力に耐えて、日本人姓に改姓しても、恨一郎は、日本人より、日本人らしく、ほんとうに美しい伝説の中の日本人として、語られる。

そして、その李一族を皆殺しにした皇室の刺客・・・蔑まれて、泣き女という葬儀場で、泣いて、葬儀を盛り上げる職業?の女達の一族の娘・百合子を愛し続ける恨一郎。

劇中、不思議な構図が二重・三重に展開される。

アメリカに最初に、原爆を落とされるのを望んだドイツ第三帝国のアドルフ・ヒトラー(大口兼悟さん)。
貴族然として騎士を連想させる。既成のヒトラーとは、全く違う。美しいヒトラー役である。
ユダヤ人を大量虐殺しているのに、志は、あくまで、清く、しかも、人間味に溢れている。
本当に、そうなのか・・・と疑問を抱かせるくらいに。

史実(真実)は、どうだったのか・・・なんて、後世のひとが判断すればいい・・・山崎と事件を追う新人記者(平沼紀久さん)に、つかさんは、そう言わせている。

(明日に続きます)