鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『今ひとたびの修羅』~MAXを過ぎたふたりの主演

2013-04-14 01:07:33 | Weblog
昨日は、寒の戻りか・・・気温の低い1日。
午前中は、隣市の美術館へランチ。
夕方から、都内へ出て、初台の新国立劇場へ『今ひとたびの修羅』を観劇に。


新国立劇場も、数年ぶりで、お堅い芸術系の劇場ですっ!というスタンスは変わっていないようだ。

さて、今回は、尾崎士郎の人生劇場の残侠編の舞台化。
主人公・青成瓢吉(小出恵介さん)は、尾崎士郎がモデルだということで、彼とお袖(小池栄子さん)、渡世人・飛車角(堤真一さん)とおとよ(宮沢りえさん)の恋愛を軸に、調停役の吉良常(風間杜夫さん)を絡めての物語。

・・・堤真一と宮沢りえという役者が、揃っているのに、どういう訳か、全く華のない舞台だった。
主役・・・のふたりの役者としてのMAXを知っているだけに、ピークを過ぎた枯れた舞台と言っていいかもしれない。インパクトが全然ないし、盛り上がりもなし。
特に、国民的美少女・宮沢りえさんの美貌の凋落ぶりには、がっかりした。
日本髪の裾引き姿は、美しいし、赤い襦袢も艶っぽい・・・しかし、オペラグラスで、アップの顔をみると疲れた中年のオバさんそのものなのだ(私生活の影響か・・・かつてのお相撲さんとの恋愛以来、どうも彼女には、幸福感を感じない・・・なんてことは、以前のブログにも書いたけれど)。
最高のほんとうに超MAXな美貌を知っているだけに辛いものがあった。

相対する堤真一さんもかつてのあの男の色気の全く感じられない。

そんななかで、岡本健一さん演じる宮川は、端正さがあった。
このひとの天然のヴィジュアルのせいかもしれない。

小池栄子さん演じるお袖も、テレビでみるグラマラスな印象を払拭した感のある控えめな演技に、好感が持てる。

この頃、舞台では、任侠系の風間杜夫さん。
こういう親分役が、似合うひとだった。
優しげな外見とは、ちょっと一致しない役だと思っていたのだけれど。


旬を過ぎたふたりの主役を配した舞台だったけれど、ラストの雪の舞降り積もる場面は、この劇場の奥行の深さを最大限に利用した美しい演出。途中から、赤い雪に変わる色の演出も見事。
このふたりの行く末を暗示させるような秀逸なラストだった。