鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

(括弧で括る)。

2013-04-19 22:52:41 | Weblog
初夏の気温から、一転。
忘れかけていた冬を思い出す。


詩人・西脇順三郎の詩に『天気』と題された詩がある。



(覆された宝石)のやうな朝

何人か戸口にて誰かとささやく

それは神の誕生の日



朝を形容する(覆された宝石)と、括弧で括ってあって、この括弧で括るというのは、方程式を習う前の四則演算なんかでも、まず(  )の中を計算して・・・という手順がある。
そして、この(   )で、括ってみると、割と簡単に計算できることが多いし、正(プラス)、負(マイナス)の乗算などは、随分とすっきりするような気がしている。

私の書く文章も・・・とにかく、(  )付が多いので、ちょっと(・・・イヤ・・・相当)読みにくいかもしれないけれど、この(   )で括らないと、文章が、出来ない。
この(  )付の文章が、抜群に上手いのが、森鴎外の長女・森茉莉だと思っている。
真似をして、書いては、みるものの、やはり、猿真似の猿以下になってしまう。

私の場合、背景の説明が下手なせいか、(  )で、括らないと、ダメなのね・・・たぶん。


さて、この西脇順三郎の詩。
光の散乱の散乱する美しい朝の光景から始まり、(美しき)神の生誕を寿ぐような透明な空気感のある大好きな詩だ。

湿度の低い・・・清明の朝か、もう少し季節が進んで、初夏の頃の爽やかな朝を連想させるのに充分だ。

たった・・・三行で、ここまで、表現できるのは、天才ならではの研ぎ澄まされた感性なのだろう。

・・・本当は、もっと、(  )付の文章で、書くつもりだったのだけれど、どうも思ったように、カッコよく?書けないでいる。

詰まるところ、コレもやはり文才の無さ・・・なんだろうと自己嫌悪に陥ってみたりする。