終日、冷たい雨降ったり、止んだり。
午前9時になっても、あたりは薄暗くて、まだ夜明けなんじゃないか・・・と思わせるような師走の始まりの日。
寒いので、終日、床の中。
今日も、何もしないで、終わってしまった・・・。
午(ひる)前から、パラパラっと音がしたので、外を見ると、冷たい雨と、落ち葉の散る音が合わさって、薄暗い灰色の空間が、なんだか、幻想のように思えてきて、ふと・・・たぶん、こんな日・・・私は、好きだったんだよね。
北極圏に近い北欧などでは、終日、太陽が地平線からのぼらぬ極夜を迎えるであろうし、灰色の空から、雪など舞い落ちて来そうな冬のはじまり。
そう・・・たぶん・・・私は、こんな日が好きだったんだよね。
だから、今日は、師走の初日だけれど・・・身体を横にして、本でも読もう。
朝、少しだけ残しておいた冷めた珈琲に、純ココアパウダーとメープルシロップを少し、ミルクを加えて温める。
コレを作るために、珈琲を残しておいたんだもの。
そう・・・こんな日は、読みかけたまま、数か月経ってしまったけれど・・・。
ルシア・ベルリンの短編集。
ミルクココアの温かみのある色は、冬色。
昔、買っていた犬の色(・・・と記憶していたけれど、本当は、どっちかって言えば、麦わらの色だったんだ)。
割れてしまった大振りの・・・冬景色のマグカップ。
雨のパラパラ・・・凍ったような音は、落ち葉に当たる音、落ち葉の散るカサカサ・・・。パラパラ・・・。
居なくなった白猫の・・・夜中にカサカサと落ち葉を踏む音。
舞い落ちる落ち葉を追いかけて、まるで、ステップを踏むように、軽やかに歩く水色の瞳の白猫。
終日暗い、我が部屋で。
冬の訪れを音と本で、楽しむ・・・。
そう。たぶん・・・こんな灰色のような冬の日を、私はすごく愛していたんだ・・・。
この終日暗い、部屋で、過ごす初冬は、これが最後。