日の出の時刻になっても、薄暗いし、本降りの雨の明け方。
雨の音で目が覚める。
少しばかり、二度寝して、午前8時過ぎた頃、陽が差して来た。
窓を開けると、かなり暖かい。
師走だというのに、最高気温18度。
秋に戻ったのか、春にスキップしたのか・・・。
ここ雷都に来て、1カ月経った。
もう少し待って、旧居宅の母の部屋の前の楓が、紅く染まるのを見てからでも、よかったのかも・・・とか考える。
一夜にして、紅く染まる様は、もう美しさの極致だったと思う。
それも・・・母が居てこそだったのかもしれないが・・・。
(母の使っていた居室は、弟に乗っ取られた。何の相談もなく、置いてあった遺品等も処分されて、母の居室に至る二つの通路のうち、ひとつを遮断されてしまったので、あの部屋には、入ることが面倒になったこともあったので。母の亡くなった場所で、寝起きしている愚弟は、何も感じないのか・・・と常々思うし、弟が、母が亡くなる前に寝起きしていた隣の家は、嫁に追い出されたのであろう。つくづくバカだと思うけれど)。
もう何十年もソコに居たのに、11月下旬から12月初めの旧居宅の楓の美しさに気が付いたのは、失職してから、数年後だった訳で、勤め人をしていた頃は、陽が上れば会社へ行き、帰りには、既に日は落ちて、暗闇だから、平日は、紅葉を見ることも叶わず。
紅葉を見る余裕もなく過ごしていて、職を無くしてから、気が付いた。
母の居室から庭を眺めると、そこだけ異次元だった。
日照の関係で、午前10時頃から正午迄が、一番美しかったような気がする。
山中に自生する楓の寿命は、百年単位と聞くけれど、旧居宅は、手入れするひとも居ないから、移植後30年で、もう勢いを無くしているようだ。
母が逝き、私が去り・・・。
(愚弟は、駐車場を作る云々と言っていたことを漏れ聞いたので、たぶん、もう伐採しているかもな?)
楓は、4月の中旬頃から5月の初めにかけて、発芽するけれど、大きく育つものは、殆ど無かった(芽吹いた楓の若芽を、母は、根こそぎ抜いていたし、1メートルくらいに成長したものあったので、ソレを移植しようかと考えてもいたけれど、コレだけ隣家が近いと落葉にも気を使うので、やめた。もっとも掘り出すにも技術とチカラが要りそうだったので諦めた)。
幽玄の赤・・・。
もう私の記憶でしか再現できない・・・。