友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

市役所のホールに居た女性

2019年08月11日 15時18分55秒 | Weblog

 先日、市役所の1階ホールに置かれているチラシを見ていると、おばあさんが(とは言っても、私と同年か少し年下と思われる女性)声をかけてきた。「こっちの方が涼しいで、こっちにいらぁー」と傍の椅子に座れと手招きする。「暑いねえー」と言うので、私も同調して「外にはおれんよ」と答える。

 どうやら女性は市役所に涼みに来ているようだ。言葉がはっきりしないので、初めのうちは分からなくても、「そうだね」とか「そうそう」とか言っていたが、次第に何が言いたいのか察することが出来るようになった。「台風はいつ来るかね?」と聞くので、後ろの大きなテレビを指して、「テレビを見ていれば分かるよ」と言うが、そのテレビは市内の事業所の宣伝しか流れていない。

 「NHKの天気予報、やっていないね」と私が言うと、「森さんはどう言うかね?」と聞いてくる。5チャンネルの『ひろおび』を見ている人だ。「台風が来ると、学校へ避難せんといかんけど、水は無いでね」と言う。「落ち着いたら、水や食料も手配されるよ。初めはちょっと我慢だね」と答える。「家はボロだからギイギイ揺れるでおられん」と話す。

 「一人で住んでいるの?」と訊くと、「兄貴と一緒だけど、頭の病気で16日に手術する。保険金はいつ降りるかね?」と金のことを心配していた。「生命保険をかけていたの?」と訊くと、「年金の支給までまだあるで、どうなるかねー」と言う。「市役所で聞いてみる?」と言うと、「役所じゃー分からん。病院ならすぐ教えてくれる」と答える。

 立ち入ったことまで聞けなかったが、家に居ても暑くてやりきれないから、市役所で涼んでいることまでは理解できた。お兄さんが何歳の人で、どこの病院で手術するのか、その後はどうするのか、聞いておきたいことはたくさんあったが、私がそれを知ってもどうすることも出来ない。

 彼女はきっと誰かと話がしたかったのだろう。家に居るより市役所の方が涼しいし、一人でいつまでも座っていれば職員の人に怪しまれるので、私がちょうどよい話し相手だったのだ。身なりからしても裕福とは思えない。果たして年金だけで暮らしていける人なのかと、また余分なことを考えてしまった。

コメント
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