西の空が明るくなってきた。ルーフバルコニーに出てみた。ペチュニアの花はしおれているが、排水溝は事前に掃除をしておいたので、水が貯まることはなかった。どうやら我が家は、台風による被害は何も無かったようだ。
友だちが会費を持ってやって来た。先程、カミさんが集金に行ったのだが、どこにお金があるのか分からなくて、「見つかったら持って行く」と言われて帰って来た。でも、見つかってよかったし、持って来てくれたから、上がってもらっておしゃべりも出来た。
彼女自身が「もう、忘れることが多くて」と言うように、認知症は進んでいる。「ひとりでテレビを見ているだけで、人との会話が無いから、何でもすぐに忘れてしまう」と言う。人と話す機会が無いことがますます病気に拍車をかけているのだろうが、私にはどうすることも出来ない。
編み物の世界で名を成した人で、連れ合いを亡くされてもひとりで随分頑張ってみえた。けれど最近、物忘れがひどくなってきている。マンションにもひとり暮らしの人が増えた。私の教え子にもひとり暮らしがいるが、今のところは何とか生活している。しかしこの先どうなるか、心配になる。
それでも私たちは恵まれている方だ。年金は少しずつ減らされてきているが、生活は出来ている。私たちの子どもが定年を迎えるころはどうなっているのだろう。もっと大変だろうと想像されるのは孫たちの時代だ。どんな社会になっているのか分からないが、それでもきっと、生きているだろう。先は見えなくても、みんなで創り上げていく希望がある。頑張れよとだけ伝えておこう。
明日はまた、井戸掘りに出かける。焦らず、根気よく続ければ、水脈に到達できるはずだが、果たしてみんなの気持ちが一緒になれるか、そこが問題だ。