マンションの女性から声をかけられた。「これを見て下さい。こんなことを放っておいたら、せっかくのマンションが台無しになってしまうわよ」と、現場に連れて行かれた。通路に子どもが描いた絵があった。ゲームで使ったものなのか、所々消えそうなところもある。それに植えられたミカンの木から実をもぎ取って、通路に散らばっている。
「管理事務所に一緒に行って下さい」と言う。「私は行きません」と答えると、「どうして、正義の味方では無いのですか」と怒る。「これは子どもの遊びでしょう。子どもは悪戯が好きなのです」と話す。自治会長が歩いていたので、「自治会長に話してみたら」と言って別れた。その後、管理事務所の職員が通路を掃除し、落書きを消していた。
彼女は正義感が強いが時々空回りする。小泉純一郎さんが「自民党をぶっ潰す」と言っていた時、彼女は「小泉さんを応援する」と言っていた。今日、彼女にあった時、「自治会長さんはどうだった?」と聞くと、「あなたと同じだった。どうして?」と言う。「子どもの悪戯を非難してはダメ。子どもと一緒に遊んで、『ミカン盗るのは止めておこう』とか、通路に絵を描いたら、『後で消しておこうね』と言って、子どもたちに気付かせることだね」と話す。
権力を嫌うのに、権力に頼ってしまう。そうした考えが自分の中にあるうちは本物の正義ではない。世界一貧しい大統領と言われたウルグアイの大統領の言葉が印象に残る。「憎しみは愛のような炎だ。愛は創造的だが、憎しみは我々を滅ぼす」「裕福な国々の発展と消費を手に入れることが幸せではない。人は発展するために生まれてきたのではない、幸せになるために生まれてきた」。夢は「貧乏人の数を減らすこと、生まれた時からみんなが同じ権利を有する社会をつくること」と語った。