外に出たら、熱中症でぶっ倒れるのではないかと思うほど暑かった。陽陰を選んで歩くが、このまま外に居たら倒れてしまうだろう。でも街中だから、誰かが気付いてくれるかも知れない。部屋に居て倒れたら、カミさんが帰ってくるまで、誰にも見つからない孤独死だ。
そんな馬鹿なことを、暑さの中で考えた。11日に日間賀島へ出かけるため、床屋へ行って来た。店主がすぐに、椅子に座るように用意してくれたが、「暑すぎてダメ。ちょっと待って」と断って、冷房の空気に当たらせてもらった。店主はいつの間にか太ってしまい、傍に近づくだけでも暑苦しい。
日間賀島は長女のダンナが企画してくれた、毎年行ってきた懇親会の新しいバージョンである。兄貴が亡くなり、兄弟は姉と妹と私だけになった。それで3人の家で、持ち回りで開くようになった。子どもたちも参加していたが、今は、妹夫婦と姉の子ども夫婦と兄のふたりの子ども夫婦、そして私の子ども夫婦と私たち夫婦の12人で集まっている。
兄は事業に失敗し、子どもたちがまだ小さい時に家を出てしまった。姉はひとり娘を育ててきたが、嫁に出して自分がひとり暮しになり亡くなった。姉も兄も孤独な死だった。それでも、血がつながっていることを伝えたくて集まりを続けてきた。けれど、姉の娘は母を喪ったことでウツになり、夫婦で参加できないし、妹夫婦は共に腰痛で参加できない。
そういう時がきっと来るとは覚悟していたけれど、そうなってみるとなぜか寂しい。床屋の店主が、「早く結婚して、孫の顔を見せて欲しい」と息子たちに言っているそうだが、「結婚すれば、おやじのことなど忘れてしまうよ」と言って笑った。まずは、家族を第一にして、親兄弟は二の次でいい。
床屋から帰る時もまだまだ暑かった。ミニスカートでノースリーブの女子大生の真っ白な肌が眩しかった。暑さはまだまだ続くという。