風も無く、春が来たかのような暖かな日だった。小学校の運動場からは、元気に動き回る子どもたちの声が聞こえる。なのによく見ると、校外で3人の子が遊んでた。男の子が2人、女の子がひとり、3年生か4年生にみえる。
咳が止まらないカミさんは、かかりつけのクリニックを受診したが、「もっと大きい病院で検査してもらって」と言われ、今朝、私が運転して近くの大きい病院に連れて行った。その行き帰りに、朝の3人を見かけた。今日は休校では無いのにと不思議に思った。
あの子たちが向かう方向を見て、気が付いた。あの子たちは学校に馴染め無い子たちを預かる、支援学級へ行くのだろう。無邪気にじゃれ合っているのに、不登校児童のようだ。全国で学校へ行けない子どもが増えているという。
親も無理に行かせる必要は無いと考えているし、先生たちも手が回らないからそうした受け皿があれば助かる。けど何か、歪な世界になってきた気がする。いったいこれからどうなってしまうのかと、どうすることも出来ないことを心配してしまう。
カミさんの検査が終わって、病院に迎えに行った。「お昼だから、どこでランチにする?」と尋ねたが、カミさんのおすすめの店に魅力を感じなかった。結局、いつものイタリアンでオムレツになった。
隣りの席の女性の会話が聞こえてくる。「こうして欲しいのに、絶対しないのよ」とか、「どうして感謝しないのだろう」とか、夫の愚痴を言い合っている。じゃー、あなたはやって欲しいことをしているの?いつも感謝しているの?言ってやりたくなった。
人に求めることはあっても、自分から奉仕することは無い。それが出来るのは、聖人だけだろう。自らの卑劣さ、自分の無力さ、それに気が付くことが出来るなら、世の中は丸く収まるだろう。朝、見かけた、あの子たちはどうしているのだろう。