前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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避難所運営のDX化の課題。消防団員の手当について。犯罪被害者支援。アスベスト処理。老朽原発再稼働問題

2021年05月31日 | 福井県政
 2021年3月2日 福井県議会厚生常任委員会 安全環境部審査での佐藤正雄委員の質疑です。

避難所運営のDX化の課題

◯佐藤委員  令和2年度2月補正の予算案説明資料の6ページ、総合防災訓練事業については事業実績に伴う減ということだが、コロナの影響で参加人数を減らしたということで、これだけ減っているのか。

◯危機対策・防災課長  委員指摘のとおり、コロナ対策に伴って住民参加者数の減少、それから住民参加を伴うスクリーニングの訓練を実施しなかったということがあり、その費用の減である。

◯佐藤委員  そうすると、実際にコロナ禍で原子力事故が起こったときの訓練ということでは、不十分だったということになるわけか。

◯危機対策・防災課長  スクリーニング訓練において、住民の避難を伴う訓練は行わなかったが、従事する職員の研修ということで図上演習といった訓練はさせていただいた。また、住民の参加が少なかった分については、DVDに収録したものをCATVで流すなど、参加されなかった住民へ広く周知するなど工夫して実施をしたところである。

◯佐藤委員  そういうフォローをされたことは分かるが、実際に原子力災害が起こったときの訓練の検証としては不十分だということは言えると思う。
 それから、7ページの避難所運営のDX化推進事業だが、最近のDX流行りと言うと失礼であるが、いろいろ予算も盛り込まれている。住民にとっては、具体的にどういう流れになってくるのか。

◯危機対策・防災課長  災害が起きて住民の方が避難所へ避難する場合、コロナの関係もあるが、受付時に体温の測定とかでいろいろ混雑するようなこともある。スマホをお持ちならQRコードを読み取っていただいて、そこに名前や性別といったものを入力していただき、避難所の受付時の混雑を緩和するという形である。
 それから、市町など避難所を運営する側や県もだが、避難所にどれだけの方が避難しているかという情報を集約して管理することができる。併せて避難された方がどういうニーズがあるのかアプリを通じてアンケートをさせていただき把握することで、いち早く市町あるいは県が必要な物資を届けるなど、そういうことに対応できるような形でさせていただきたいと思っている。

◯佐藤委員  そうすると、避難所の運営は避難所単位で考えるというより、例えば福井市を例にすると、そこでスマホを持っている方は直接SNSを使って福井市の担当の部署に何々が足りないとか、暖房を入れてほしいというような要望を出すことが可能になるということなのか。

◯危機対策・防災課長  ニーズの吸い上げ方をどのようにするかというのは、今後どこまでできるかというところがある。アンケートに回答をしていただくとか、やり方はこれから考えていかないといけないと思うが、ニーズの把握については、そういったものを通じて可能になってくると思っている。

◯佐藤委員  避難所は体育館とか公民館とかいろいろあり、そこに市の職員も派遣されて運営していく。高齢者でSNSとかやらない方も結構避難されてくるので、現場の職員がSNSの対応もしないといけない、これまでのように直接高齢者からのいろいろな苦情とか要望も聞かないといけないとなるとパンクしてしまう。そこはラインを分けるということをしないと、そこの避難所だけで全部やれよといっても、なかなか要員の関係で厳しい面も出てくるのかなと思う。その辺、今後具体的にどのようにされるのか。

◯危機対策・防災課長  スマホをお持ちでない高齢者の方については、受付のカードをスキャンで読み取ってもらい、それを管理する方法でDX化といったことをさせていただきたいと思っている。
 ニーズのくみ取り方については、今後市町とも話をして、どういう形が一番やりやすいか検討していきたいと思っている。



サポカー購入支援

◯佐藤委員  8ページの交通死亡事故防止対策事業であるが、サポカー購入費用の支援として定額で2万円とある。これは何台分の予算なのか。

◯副部長(県民安全)  5,000台を想定している。

◯佐藤委員  5,000台の根拠は何か。

◯副部長(県民安全)  支援する車を5,000台にすれば、福井県の高齢者が購入する車の約半数がより安全性の高いサポカーSワイド搭載車になるということで根拠とさせていただいた。



消防団員の手当について

◯佐藤委員  よろしくお願いする。
 それから、12ページの大規模災害団員等確保促進事業であるが、福井県で大規模災害団員は何人いるのか。それとは別に、基本団員は何人いるのか。

◯危機対策・防災課長  令和2年4月1日時点で大規模災害団員は234名、消防団員は5,814名である。

◯佐藤委員  消防団員の手当は、消防庁から地方交付税で措置されているはずだが、5,814名に対し手当は直接支払っているのか確認をしたい。
 また、1団員当たり4万円の予算が計上されているが、これはこれまでの3万幾らの手当とは別に上乗せで4万円支給されるのか、そのあたりを教えてほしい。

◯危機対策・防災課長  団員への報酬等の支給については、少数であるが、直接支給ではなく、消防団に支給されている事例がある。そこは消防庁からの通知もあるので、直接支給するように県からも要請はしている。
 1団員4万円の補助というのは、大規模災害団員の導入にかかる初期費用、備品の整備費用ということで支援をさせていただくもので、昨年度から変わっていない。補助率を2分の1から来年度は3分の2にかさ上げさせていただくが、上限4万円という形は変わっていない。

◯佐藤委員  少数だが、直接消防団員ではなく消防団に支給しているという話があった。おおまかな数字で結構であるが、5,814名のうち直接支給されている割合はどのくらいなのか。

◯危機対策・防災課長  数字を持ち合わせていないので、後ほどお答えさせていただく。


敦賀市民間最終処分場

◯佐藤委員  31ページの敦賀市民間最終処分場抜本対策事業であるが、1億4,900万円の中に、先ほど説明があったキャッピングを外していろいろされるという事業が入っているということでよろしいか。

◯副部長(循環社会推進)  キャッピングは今月外すので、それは令和2年度の予算で執行させていただく。

◯佐藤委員  分かった。予算的には昨年度より若干減っている。単純に考えると、キャッピングを外せば、雨水の流入が増える。雨水の流入により浄化を進めようという計画だと思うが、浄化しないといけない水の量が増えれば、その分薬品の量とかも増えてくると思う。そうすると、予算を増やすべきではないのか。

◯副部長(循環社会推進)  令和2年度の予算については、これまでの対策の評価、実績を分析するために、ある程度金額を積んでいたので、その分減った部分がある。
 また、雨水の流入を増やしても全体の浄化が進んでいるので、薬剤費についても若干減るような形になっている。

◯佐藤委員  それでいいならいいが、先ほどの説明では、水質が基準値付近で変動しており再び基準を超える懸念があると。そういう説明だと対策費用が今後増えていく危険性があるのではないかということで質問した。単純にそういうことではないということか。

◯副部長(循環社会推進)  これまでの対策の実績と必要な費用はきちんと見込んでいるので、懸念されることはないような形で対応できると考えている。


犯罪被害者支援について

◯佐藤委員  第26号議案について、先ほども質疑があったが、福井県内でいわゆる犯罪被害者というのは、年間何人ぐらいいるのか。この条例によって支援の対象となる犯罪被害者は何人ぐらいで、割合はどのくらいになるのか。

◯副部長(県民安全)  県内の対象人数であるが、はっきりとした数は一概に言えないが、犯罪被害の大部分を占めるのが刑法犯と交通人身事故の被害者であり、令和2年を例にすると、刑法犯の認知件数が2,700件、交通人身事故が860件ということで、合計が3,600件ぐらいになると見込んでいる。

◯佐藤委員  福井県内で起こっている刑法犯罪、交通事故関係は3,600件で、全てが条例の支援対象になるという認識でいいのか。

◯副部長(県民安全)  広義に言えば、どういう犯罪でも対象になるが、殺人、強制わいせつ、全治1か月以上の傷害、ひき逃げなどの交通死亡事故の認知件数は104件であり、身体に重大な被害を受けた方が真に支援を必要とされていると考えている。

◯佐藤委員  条例をつくることによって、相談体制とかの人員の確保や拡充はどんな感じになるのか。

◯副部長(県民安全)  県や市町も相談体制があり、警察においても被害者支援要員はいるため、その者が対応する。

◯佐藤委員  そうすると、かなり思い切ったことをやろうとしているが、人は増やさずにやれるということか。

◯副部長(県民安全)  被害者支援センターにも聞いたが、人が増えるというよりも、それぞれの支援従事者のスキルアップをしたほうがいいということで、各従事者がどういう支援がよいかを判断し、必要なときに必要な支援をするということである。


アスベスト処理について
◯佐藤委員  被害者は単純に男女半々ではないが、女性の被害者もいる中で女性相談員の体制がどうかとか、「ひなぎく」は夜間は県外の業者に委託していて、そこは十分対応されているという報告はあるが、もう少し体制の強化も考えていただきたいということは要望として出しておくので、よろしくお願いする。
 第27号議案のアスベストの関係であるが、県内で年間どのくらいアスベストの処理をしているのか。

◯環境政策課長  大気汚染防止法に基づいて、補修とかの作業を行う場合には14日前までの届出が義務づけられている。県内で年間100件ぐらいあって、100件全て現地に出向き、立入調査を実施し、適切になっているかという確認をしている状況である。

◯佐藤委員  そうすると、途中の工事や解体工事、点検など含めて年間100件ぐらいはパトロールというのをされているということでよろしいか。

◯環境政策課長  指摘のとおりであり、100件近くである。

◯佐藤委員  福井駅西口の再開発事業に伴って、あそこも古い建物が多いので、かなりアスベスト対策が必要だというふうに新聞でも報道されているが、ここはどうなっているのか。

◯環境政策課長  法律に基づいて、届出の必要がある分はしっかり出てきている。こちらについて確認はとれていないが、必要であれば届けが出てきているので、100件の中に含めて対応させていただいていると思う。

◯佐藤委員  確認がとれていないから、これ以上聞いても仕方ないが、解体工事はどんどん進んでいるから、そこはしっかり確認をお願いしたいと思う。


鉄道保安連絡会議について

◯佐藤委員  鉄道交通の安全についてお尋ねする。鉄道保安連絡会議というのはどういうメンバーで開催しているのか。保安監査をする主体はどこなのか。

◯副部長(県民安全)  後ほど回答させていただく。

◯佐藤委員  福井県内では、京福電鉄時代に2度の正面衝突事故という重大な鉄道事故があったと思う。新幹線開業に伴い北陸本線が第三セクターの鉄道になり、そういう点では福井県としても鉄道の安全に対する責任は一層ウエートが増すと思う。その辺をどのようにお考えなのかということを知りたかったのである。

◯安全環境部長  先ほども申し上げたが、この計画は我々だけではなく、ほかの機関も入ってつくるものであり、国土交通省の運輸部門も入る。保安監査というのは法律に基づいて運輸部門が国としてやるところもある。県でいうと地域戦略部の交通まちづくり課も入って計画をつくっていく。今おっしゃられたように、これからますます地方鉄道の役割というか、責任も増してくる中で、どういうふうに安全確保をしていくか、我々も一緒になって考えていきたいと思う。


老朽原発再稼働問題

◯佐藤委員  美浜の広域避難計画や高浜の保安規定ができたという話があったが、美浜の広域避難計画の避難先はどこになっているのか。

◯危機対策・防災課長  美浜町については、おおい町と大野市に避難する形になっている。

◯佐藤委員  おおい町も原子力発電所がある。例えば、おおい町にそれなりの人数が避難することになると、おおい町のキャパで美浜町の人数が受け入れられるのかという問題がある。また、仮に今年のような大雪のときに原子力事故ということになれば、大野市に避難というのは現実的ではない。皆さんもやっていると思うが、いろんなシミュレーションができると思う。実際におおい町への避難とか、豪雪時の大野市への避難というのは、受入れ体制としては難しい局面もあるのではないか。

◯危機対策・防災課長  今申し上げたとおり、避難先としておおい町と大野市ということで、複数の避難先を確保している。原子力災害時の状況によって受け入れられるかどうかは、受入れ先の市町に確認をさせてもらう。また、放射性物質の放出の状況といったことを踏まえて、どちらの方向に避難するかというところも判断の一つになってくると思う。そういった中で複数の避難所のうちのどちらかに避難する形になる。
 避難先でその収容人数が受け入れられない、キャパ的にちょっと難しいということであれば、近隣の市町に確認をさせていただいて受入れをお願いしたいということを、市町にお願いしているところであるので、そういったところを踏まえて避難先を確保していくような形になると思う。

◯佐藤委員  説明としてはそういう説明になるのだろうが、おおい町に美浜町の何千人かが避難するとしても、10か所ぐらいの避難所、学校施設やほかの教育施設とかを使うそうであるが、学校は通常であれば授業があるわけであるから、そういう問題も出てくるということである。今回、美浜町が県外の避難先を設定しなかったのはどういう理由なのか。

◯危機対策・防災課長  避難先の候補を選定している中で、平成24年、25年ぐらいだと思うが、当時美浜町にも確認をさせていただいた。美浜町としては地域のコミュニティの確保というところもあり、東西2つの避難先になるとしても県内を希望するという方針であったため、それを踏まえ、県としても県内で避難先というのを調整させていただいた。

◯佐藤委員  美浜町の希望で避難先を県内に決めたということであるが、最初に指摘したように、おおい町も原子力発電所があるので同時に事故が起こらないという保証もないし、おおい町も避難所のキャパが小さいという問題もある。大野市は今回の1月のような気象条件になれば、そもそも難しいということなどある。美浜町の広域避難計画ができたから再稼働の前提の一つがクリアされたという説明であるが、今回の大雪とかの災害を受けてなお、そういう計画であるから理解しづらいという面があると思う。県民の中でも実際に事故が起こったときにどうなるのという不安もあるから、再度見直しも検討していただきたいと思う。
 午前中の議論でも、今回の知事の議会への提起の仕方というのがあったと思う。関西電力は昨年、福井県に説明に来られたときに、中間貯蔵地の問題で関西電力の供給地域の外も含めて7,000回くらい説明会をやっているという説明があったと思うが、それで間違いないか。供給地域の中では何か所行ったのか、供給地域の外では、最新のデータでは何か所やったというふうに福井県は聞いているのか説明願う。

◯廃炉・新電源対策室長  昨年の12月に説明に来られたときのことであれば、そういう説明は関西電力からはなかったと思う。

◯佐藤委員  以前はなかったか。

◯廃炉・新電源対策室長  以前だと、2017年に県と計画地点の提示をするという約束をしていて、それが2018年までにと言っていたことに対して、関西電力は2018年に今回は提示できないと、2年延長して2020年に提示させていただきたいという説明があった。そのときにいろいろなところに説明に行っているという話はあったかと思うが、今の時点で何回とか、県としては把握していない。

◯佐藤委員  関西電力は一生懸命やっているという姿勢を示す上で、そういう説明会を、どこでやっているかは明言されなかったと思うが、関西電力の供給地域の中と外の両方で数千回やっているという話だった。今回は、そういう関西電力の努力は確認されていないということか。

◯廃炉・新電源対策室長  今回報告に来られたときは、あらゆる可能性は検討していくということは言われていたが、具体的に何回という説明はなかったと思うし、こちらからも確認はしていない。

◯佐藤委員  もちろん数字だけが全てではないと思うが、中間貯蔵の理解を得るために何回説明会をやっているというのも一つの指標にはなると思う。そういうことが今回、関西電力からも報告がないということでは、果たしてどれだけ努力したのかというのは、県民、議会から見れば少し分かりづらいという面はあると思う。そういう点は指摘をしておきたいと思う。
 実際に中間貯蔵の問題を議論していく上で、知事は関西電力の努力するという説明を丸のみされたわけである。その説明を丸のみされた背景、理由はどこにあるのか。

◯廃炉・新電源対策室長  今回、関西電力からは、地元理解の確保に向けて国と電気事業連合会と一体となって取組を進めるという説明を受けた。保坂資源エネルギー庁長官も同席しており、保坂長官からは国としても事業者とともに最善を尽くすと約束もしていただいている。その上で言葉だけではなく、今回2020年頃という計画地点の確定時期を2023年末までと明らかにしたわけであり、その言葉は先月24日、関西電力がつくっている使用済燃料対策推進計画というのがあるが、そこにしっかり明記して、保坂長官にも報告している。保坂長官からは、できるだけ早急に使用済燃料対策推進協議会を開くと、そこで情報共有していくと言っており、この協議会は国と事業者が密接に連携して計画の実行に取り組んでいく、あるいは事業者間で共同、連携して取り組んでいくという協議会であるので、そこでしっかりやっていくというのもある。
 一方で、先月25日に原子力小委員会があり、そこでも国が地元理解に向けて主体的に取り組むということを明記しているので、そういう点も含めて、国もしっかり責任を果たしていくものだと考えている。

◯佐藤委員  関西電力の話だけなら、これまでとそんな代わり映えがしないと思う。保坂資源エネルギー庁長官も来られて、使用済燃料対策協議会で取り組んでいくということであるが、12月議会でもなぜ関西電力だけが共有化というか、そういう項目が入っているのかということで議論したが、新しい話ではなく従前から使用済燃料対策協議会で議論している話である。使用済燃料の問題で、国から新しいものが示されたということは何かあるのか。

◯廃炉・新電源対策室長  新しいことは確かにないが、2020年頃という幅を持たせていた時期を2023年末とし、それを使用済燃料対策推進計画にしっかり明記して事業者と国とが一体となって進めていこうということであるので、その責任を果たしていただくものだと思っている。

◯佐藤委員  新しいものがないという答弁であったが、むつ市長のことをはじめ、マスコミで報道されているのを読む限り、とても共用化の窓口が開かれる状況でないというのも事実である。知事の心の中は分からないが、今回方向を転換したのも、むつ市という関西電力の提示を受けて、このまま突き進むことができなくなったということがあるのではないのか。

◯廃炉・新電源対策室長  転換というか、基本的には再稼働の議論を行う前提である計画地点を提示するということについては一定の回答があったということで、前提は満たされたと思っている。
 一方で、40年運転を議論するに当たって、計画地点を提示するというだけではなく、次のステップである計画地点の確定という問題に本会議でも議論いただいていたということで、そこは一旦整理して、地点の確定に向けた、解決に時間がかかるような問題というのはそこでしっかり議論していくし、40年超運転についても目の前にある課題ということで、そこも議論をお願いしたということである。

◯佐藤委員  提示したことが前進だと言うが、一般質問でも提示したところが見せ金ならぬ見せ場所になりかねないということを言ったが、むつ市長の反応などを見ていれば、そういう状況になると思う。そういう点では提示したのが一歩前進だと、いくら皆さんが言われても県民にとっては全く説得力ゼロである。全く説得力がないまま再稼働の議論だけをしてくれというのは、虫がよすぎるのではないか。

◯廃炉・新電源対策室長  今回、前提としていたのは、あくまで2017年に関西電力と約束した計画地点を提示するということである。
 これまでの経緯を説明させていただくと、6年前になるが、2015年に関西電力は使用済燃料対策推進計画というのをつくった。その中で2020年頃に計画地点を確定する、2030年頃に操業を開始するという方針を示していたが、当時1年、2年ぐらいたっても、なかなか事業者の考え方とか動きが見えてこなかったため、2017年に県として関西電力に対し、地点確定に向けた過程というか、道筋を教えてほしいという申入れをした。これに対して関西電力は、地点確定に先立って計画地点を提示するという約束を2017年のときにしている。それが2018年に報告がかなわずに2年延長されて、2020年内に報告をいただくということで今まで来ていて、去年は報告いただけなかったが、先月の12日に計画地点の提示については、一定の回答があったというふうに受け止めている。

◯佐藤委員  だから、それが県民に対しては説得力がない議論ではないかということである。要するに提示はしたが、当地の市長が関西電力に抗議までされている状況がマスコミに報道されている。だから県民に対して提示があったから、これを前向きに受け止めて再稼働の議論を進めるというのは、ちょっと県民から見れば納得できない議論ではないかと尋ねている。

◯安全環境部長  そもそも中間貯蔵と40年超運転というのは、別の議論であったということの中で申し上げるが、中間貯蔵の問題は、様々な関係者もいる中で難しい問題である。これについては担当室長から説明申し上げたが、2015年、2017年という経緯がある。その中で、今般提示をするということについては提示をした。ただ、いろんな関係者がいる中で、今後どういうふうに確定、さらに操業に向かっていくか、これはずっと継続して取り組んでいかないといけない問題だと思っている。これは事業者も当然であるが、国が今までは連携してということで、ちょっと脇にいる立場であったが、今回主体的に関係者の理解確保に取り組むということで出てきた。これは別の問題であったとして、中間貯蔵の問題は今非常に大きな次の段階に来て、次の確定に向けての段階というところで、いよいよ国が前に立って進めていかなければいけない。そこは我々もしっかりと確認していかなければいけないということである。
 これと40年超運転の問題については、安全性の確保、さらには地域共生のあり方といったことも含めて、今当面する40年の問題について、我々としても議会とも議論をさせていただきながら慎重に検討していかないといけないということである。これを同列に考えて、議論をごちゃごちゃにするということがないようにすることが県民益にかなうのではないかと思っている。

◯佐藤委員  ごちゃごちゃにしたのは県議会ではなく、知事である。それははっきり申し上げておく。
 40年超運転の問題も、県外との関係というのはあまりないから、県内の議論を集約できれば再稼働に進めるのではないかという答弁である。日本で初めて40年超運転に進もう、60年間の運転を認めようというときに、高浜1、2号機と美浜3号機と3基セットだと知事は言っているが、一度に3基もやるというのもいかがなものかという議論もある。もっと慎重に考えてもいいのではないか。原発を建設して以来の大工事を中も外もテロ対策施設も含めてやったわけであり、これだけ大工事をやった原発が本当に安全に動くのかという点では、3基一度に認めるのではなくて、私は反対であるが、例えばまず1基だけ認めるなど、県の進め方としても面倒なことは一度に全部片付けてしまおうというような発想ではなく、県民の安全の側に立てば、もうちょっと慎重にやるという発想はなかったのか。

◯原子力安全対策課長  40年超運転のことについては、我々は安全をしっかり確認するということが大事だと思っている。平成27年に運転延長の認可の申請がなされ、その翌年に許可がされてから、原子力安全専門委員会において3つのプラントについて時間をかけて今までしっかり確認をしてきている。我々としては安全を第一にこれまで確認を続けてきている。4日にも原子力安全専門委員会で確認をしていくことになっている。

◯佐藤委員  安全の確認とか規制委員会の審査とかそういう説明はわかるが、日本で初めて60年運転に踏み出すのに、なぜ福井県がいきなり3基もゴーサインを出すのかと、もうちょっと慎重にできないかと質問をしたわけである。仮に県の60年運転が必要だという立場に立っても、3基一度に認めれば関西電力は順番に動かしていくし、同時に3基動く時期も来る。そういうところはもう少し慎重に判断する余地はなかったのかと尋ねている。

◯原子力安全対策課長  今安全の確認について説明させていただいたが、40年超運転については全国初になるということは承知している。国として40年超運転の必要性、安全性それから重要性というものについて、しっかりと説明していくようにとずっと申し上げてきたし、事業者にもしっかりと説明するようにと申し上げてきている。

◯佐藤委員  個々の判断ということにはなるが、原発が動くときは一緒に動く。例えば、高浜1号機、2号機、3号機、4号機が同時に動くかは別として、そうやって動いていくし、大飯原発と美浜原発と同時に動くような時期も今のままいけば来る可能性もある。そういうときに福島事故の教訓はどうなるのかということである。あのときも事故の後、一基一基の原発事故のリスクに加えて、同じ箇所、集中した箇所で同時にたくさんの原発を動かすことでより危ない事故になったり、対応が難しくなるという議論があったわけである。老朽原発と言われる60年運転に3基一度に踏み出そうとしている。40年未満の原発も当然動くわけであるから、そういう点では福島事故の前に戻るというか、福島事故の教訓が生かされていないのではないかと。これは福井県だけの問題ではなくて、規制委員会も含めての問題だと思うが、そこはどういう考えか。

◯原子力安全対策課長  福島事故以降に新規制基準が策定されて、発電所の安全というものが審査されている。福島事故を踏まえて、これまでの審査の基準に加えて、プラスアルファのいろいろな審査を行うことになってきて安全を確認している。さらに事故が起きた際の対応についても、一つのプラントの中で事故の対応ができるような人員をしっかりと求めるなど規制が強化されており、それに基づき、事業者においては人員体制なり設備を整えているという状況である。

◯佐藤委員  ペーパーではそうなのだろうが、実際にうまくいくのかどうかというのは、先ほどの美浜の広域避難計画の話でもさせてもらったが、実際の具体的な訓練によって検証はされてはいないわけであるから、そういう点ではもっと慎重にやっていただきたいと思う。
 大阪地裁の判決に関して、規制委員会の説明会が県の主催であった。櫻本副知事に一般質問で尋ねたが、規制委員会は県民の疑問に丁寧に答えてもらったというような答弁だったと思う。私が質問したのは、県民理解が得られたのかと。要するに嶺南地域の方が中心だったと思うが、たくさんの方が質問され、規制委員会の回答で納得できたような雰囲気ではなかったと思うが、県の認識はどうなのか。

◯原子力安全対策課長  この裁判の判決が出て、規制委員会には、裁判のことだけでなく基準地震動の考え方について、許可を出した者の責任として、国民・県民に説明をしてもらいたいということを申し上げた。それで2月9日、県が場を設定し、規制庁が説明をしたところである。今言われるように様々な意見をいただき、これについても丁寧に回答をいただいた。さらに終了後も追加質問を受け付けて回答をするということで対応がなされているところである。今回の開催というのは、許可をした責任ある者からしっかりと説明をしていただくことが目的で、そういう意味では開催の目的は一定程度果たせたのではないかと考えている。

◯佐藤委員  裁判の判決は、設置許可処分の取消しである。地震動について、規制委員会のガイドに照らしてもおかしいのではないかというのが一つの理由である。説明会をやったからいいという答弁であるが、そういう話ではないと思う。大阪地裁の判決もあり、従前からもいろんな地震対策について懸念を持っている県民の方がいろんな質問をして、それで納得できたのかどうかというのが問題ではないか。だから納得できたかはともかく、県として規制委員会が来て説明したから、それでもう事は足りているというのはおかしいのではないか。

◯原子力安全対策課長  私が申し上げたかったのは、責任者として説明する場を県として設けさせていただいたが、内容について理解をいただくことに関しては、やはり規制庁が責任者として、今後もわかりやすく説明を尽くしていくということをしっかりやっていただく必要があると思っている。

◯佐藤委員  櫻本副知事が答弁された嶺南での説明会の開催は、今どういう段取りで考えているのか。

◯原子力安全対策課長  今まさに原子力規制庁など関係機関と相談し、日時や場所などを検討している最中である。その調整が終われば、お知らせさせていただくことになると思っている。

◯佐藤委員  原子力安全専門委員会を4日に開くという説明があった。順番としては嶺南地域の方の意見も踏まえて原子力安全専門委員会の議論にも反映するというほうが、流れとしてはいいのかなと個人的には思ったが、そういうことはあまり考えないということか。

◯原子力安全対策課長  今回の場合、説明会となれば相手方の原子力規制庁など関係機関の都合や開催場所をどうするかというようなことなどを含めて、いろいろな観点で検討、調整しなければならないということで、こういうことになっているところである。

◯佐藤委員  私が言いたかったのは、県原子力安全専門委員会の議論というのは、今回でいうと40年超原発の再稼働のステップになるわけである。そこで議論をして収束すれば、専門委員会としてよろしいという結論を出すのか、駄目であるという結論を出すのかはまだ分からないが、一つのステップになるわけである。そのステップを踏む前に県民の意見、立地である嶺南地域の住民の意見を聞く場を設けるべきではないかというのが質問の趣旨である。

◯原子力安全対策課長  先ほどからも申し上げているが、もともと原子力規制庁として国民、県民にしっかり説明をいただくことが必要であるので、質問なりには説明会の場以外でも説明していくというような活動は続けていただく必要があると思っている。

◯佐藤委員  規制庁、規制委員会に対してもいろんな意見があるが、例えば地域の住民が規制委員会に意見を出す場合に、今でもそういう態度を取り続けているかは分からないが、以前は県議会議員、市議会議員など議員が同席しないと直接は受け付けないという態度であった。今は変わっているかもしれないが、地元にいる規制庁の担当者が、議員が来ないと住民団体と面会もしない、意見もきちんと受け取らないという姿勢では、今言われたような姿勢には程遠いと思う。改善されていれば結構であるが、以前はそういうような姿勢であった。だから県もそうであるが、規制委員会、規制庁も県民の声や意見に真摯に耳を傾けるということが非常に大事だと思っている。
 規制委員会の基準地震動のガイドの問題で判決が出され議論にもなったが、これの見直しは今どうなっているのか。

◯原子力安全対策課長  規制委員会の委員長が、解釈として多義的にとらえる箇所は一義的になるよう努力するというようなことを答弁していることは、我々もユーチューブ等での記者会見の様子で承知しているが、それについて何か動きがあるかは承知していない。

◯佐藤委員  大阪地裁の判決があったから、ルールを変えれば事足りるというやり方もおかしいのではないかと12月の委員会でも発言したことがある。都合のいいようにその時々でルールブックを変えるようでは困る。基準地震動の問題で言えば、阪神淡路大震災も含めて、原発を建設したときからこの間、加速度ガルの設定もどんどん高くなっている。美浜原発にしても大飯原発にしても高くなってきている。なぜ高くなってきているかというと、その時々で新しい知見があって、それを反映するから高くなってきている。だから、今の設定値で今後大丈夫なのかというのが、今回の一つのポイントだと思う。東京大学の纐纈先生は、原子力安全・保安院時代に審査にも携わった先生であるが、以前、福井県だからこの程度でいい、新潟、福島だからこの程度でいいという発想ではなく、4,000ガルなど大きい地震が全国で起こっているわけであるから、既往最大で対応しないと安全に責任を持てないのではないかという意見を出されたことがある。
 これは県の訴訟ではないが、原子力規制委員会がそういった審査をした。それに基づいて県の原子力安全専門委員会でもダブルチェックをしているが、同じ基準でやっている。県として県民の安全の立場に立てば、原子力規制委員会の審査基準よりももっと高い基準で審査するということが必要である。先ほども言ったとおり、60年運転を3基も一度に認めるようなことは、規制委員会の審査では認められるのかもしれないが、福井県としては認めないと、基準地震動の問題でも規制委員会の審査ではそうかもしれないが、他の県では地震で何千ガルという加速度があり、そういう地震が福井で起こらないという保証はどこにもないということも含めて、もっと高いレベルで県原子力安全専門委員会の審査の考え方を取り入れる必要があるのではないか。

◯安全環境部長  種々指摘もいただいた。県民説明会は県民に規制庁の考え方を知っていただくということで2月に開催した。嶺南についても開催に向けた調整を今図っているところである。その中で、規制庁としても様々な場面で丁寧に説明いただくことは重要だと思う。我々からこれまで、独善に陥ることなくしっかりと説明するよう求めてきたので、引き続き求めていきたいと思っている。
 それとバックフィットではないが、新しい知見が出てきた場合の採用については、これまでも新しい知見が固まれば、それに基づいて考え方が整理されてきているところだと思う。地震の問題についても、様々な意見が学会の中であるかと思うが、現在は文部科学省の地震についての推進本部の中で一定の考え方で方式が決まって、それに基づいて審査をしているということが、ほかの発電所に限らず共通の考え方だということであるので、今後、学会などでいろんな考え方が整理されれば、それに基づいてバックフィットということになるのだろうと思う。県としては当然、現場の安全安心という観点から、県原子力安全専門委員会で様々議論いただくということになるので、それについても一定の考え方をもとに審議を進めていくということかと思う。

◯田中(宏)委員長  より多くの委員に発言をいただきたいと思うので、質問、答弁については簡潔に、かつ的確にお願いする。

◯佐藤委員  基準地震動のガイドで、ばらつきの問題が一つの焦点になって説明会でもいろいろ質問が出されていたが、そういう範囲に収まらない地震は、自然現象であるから起こることも当然ある。県として、より安全側に立った審査をやっていただきたいということは再度求めて終わる。


大雪対応について

◯佐藤委員  今の関連であり、この問題に関して意見はほとんど同じであるが、高速道路の除雪のやり方もいろいろ工夫をする必要があると思う。片側は除雪をして、片側は歩いて救助に向かうなどいろいろある。道路の構造によっては難しいところもあるが、真ん中のところを取り外せるようになっているところでは、除雪車を反対の車線から入れて、手際よく除雪作業にかかれるとかできると思う。高速道路は基本的に除雪しやすい道路であり、そういう構造で造っているわけであるから、きちんとその辺は対応していただきたいと思う。除雪のやり方ももう少し工夫できないかと思うが、その辺はどうか。

◯危機対策監  1月の初め頃と下旬の29日からと、2月18日にも降雪があり、高速道路を一時的に通行止めをするということがあった。実施主体は土木部になるが、そのたびに冬期道路情報連絡室でNEXCOと技術的なことについて、しっかり議論させていただいている。最初に比べるといろんな工夫をされているし、時間も短くなってきていると思う。さらに工夫をしていただけるように県の考えもしっかり言っていきたいと思う。

◯佐藤委員  道路のカメラの数も状況を的確に把握できるように増やしてほしい。サービスエリアは、防犯という意味合いもあってたくさんカメラが設置されている。道路上のカメラも必要ならば台数を増やして、災害時への対応に備えてもらったらいいと思う。
 それから部長報告で、6名の方がお亡くなりになり、91名の方が重軽傷を負われたとある。除雪作業で、例えば屋根に上って雪をおろして亡くなった方もいると思うが、そういう方への災害弔慰金の支給はどうなっているのか。

◯危機対策・防災課長  健康福祉部の対応となるが、亡くなられた方には弔慰金を支給する方向であると聞いている。

◯佐藤委員  今回、全国的にも災害救助法の対象になり、250万円とか500万円とか、それなりの弔慰金が支給されるので、お亡くなりになられた方には支給されるようにお願いしたいと思っている。
 一般質問でも聞いたが、避難所はほとんど開設されず、避難した住民もごく僅かで、道路で渋滞した運転手などがメインで活用されたという部長の答弁だったと思う。当然、災害に応じた避難所の設営、運営の仕方というのはあると思う。豪雨災害に備えるときの避難所開設の緊張感と、大雪が降るというときの開設準備の段取りは全然違うと思う。大雨の災害だと堤防が決壊して、例えば浸水するから早く家から出ていただきたいという意味で、早く避難所を開設するという側面もあるのかもしれない。雪の場合は、家が潰れるかもしれないというところまではすぐにはいかないだろうから、避難所へ逃げるよりは家にいていただきたいというような発想なのか、その辺の災害に応じた避難所の考え方というのは、どうなのか。

◯危機対策監  大雨の場合には緊急的に避難する必要があるので、県がそろそろ避難所を開いたほうがいいのではないかと助言することもあるが、各市町で開いていただいている。
 地震については、規模もあるので地震が起こった後に、その都度避難所を開く。大雪の場合は、委員がおっしゃられたように、県も呼びかけているが、基本的には外に出ずに家にいてくださいということを前提にしているので、特に危険性の高いという場合を除いては、事態が起きてから避難所を開くということになると思っている。

◯佐藤委員  そういう整理もよく分かる面もある。ただ、今回の福井市のように何日間も除雪が行き届かないとなってくると、いろんな支障が出てくる。2、3日で解決すれば問題ないということになるが、4日、5日と続くと普通の生活自体も大変になってくると思う。どういう避難所の設営の在り方がいいのかは、豪雨災害とか豪雪災害とか、危機対策監が言われたようにいろいろ仕切りはあると思うが、その辺をもう少し整理していただけるとありがたいと思うが、どうか。

◯危機対策監  今、市町にも今回の1月の大雪について意見を聞いているところである。その点も確認をし、あらかじめ開いておいたほうがいいのかどうなのか、その辺も踏まえて確認していきたいと思っている。





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