わたしは絵の中で、かのじょにかわいい服を着せます。
うすべにのきれいな、あたたかい服を着せてやりたい。
花をいっぱい描いてやりたい。
猫を抱かせてやりたい。
生きている間、あの子は、愛する猫を飼うことも許されなかった。
最低限の生活費だけを与えられて、恩をなすりつけられた。
自分のために安い服を買うことにさえ、無駄遣いだと言われはしないかと、おびえていた。
あんなにかわいらしかったのに。夫のお古を着て街を歩いていた。
服装などに気をつかわない人ですし、物欲の少ない人ですから、本人は気にしていなかったけれど、見ている方はつらかった。
なぜあんなことになるのか。
みなを救おうとしていたのに。すべてに尽くそうとしていたのに。
人間が、そうしようと思えば、かのじょの元に、気のきいた服の一枚を届けることなど、簡単にできることなのに。
どう言い訳しようと、あれはあなたがたの心の貧しさ以外のなにものでもありません。
世界を救った天使にボロを着せておいて、あなたがたは平気で、高い服を着て、着飾っていられるのですか。
人間は何をしているのか。
恥ずかしくなることさえできないのなら、わたしたちはあなたがたを、深く軽蔑します。
サビク