世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

愛するもの

2014-02-02 08:45:19 | こものの部屋

わたしは絵の中で、かのじょにかわいい服を着せます。
うすべにのきれいな、あたたかい服を着せてやりたい。
花をいっぱい描いてやりたい。
猫を抱かせてやりたい。

生きている間、あの子は、愛する猫を飼うことも許されなかった。

最低限の生活費だけを与えられて、恩をなすりつけられた。
自分のために安い服を買うことにさえ、無駄遣いだと言われはしないかと、おびえていた。

あんなにかわいらしかったのに。夫のお古を着て街を歩いていた。

服装などに気をつかわない人ですし、物欲の少ない人ですから、本人は気にしていなかったけれど、見ている方はつらかった。

なぜあんなことになるのか。

みなを救おうとしていたのに。すべてに尽くそうとしていたのに。

人間が、そうしようと思えば、かのじょの元に、気のきいた服の一枚を届けることなど、簡単にできることなのに。

どう言い訳しようと、あれはあなたがたの心の貧しさ以外のなにものでもありません。

世界を救った天使にボロを着せておいて、あなたがたは平気で、高い服を着て、着飾っていられるのですか。

人間は何をしているのか。

恥ずかしくなることさえできないのなら、わたしたちはあなたがたを、深く軽蔑します。



                           サビク






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フェアリー

2014-02-02 04:08:43 | 虹のコレクション・本館
No,61
ソフィー・アンダーソン、「フェアリー」、19世紀フランス、ラファエル前派。

やあ、これは苦しい。
ファンタジックに、いかにも美しく描いてあるが、これは、ブスの願望だ。

実に、美女になりたくてもなれない女は、こういう女になりたいと願っているのだよ。
宝石のような青い瞳、金の絹糸を束ねたような髪、抜けるように白い肌、天使のようなかわいい顔。満点だね。

だが、こういう美女は、存在し得ないのだ。なぜなら、こういう美しい目や髪をもらえるような美しい女は、こういう美を欲しがらないものだからなのだよ。

こういう美女になれる美女ほど、もっと地味な、自分らしい美をまといたがるものなのだ。
派手に美しい姿をもらっては、自分がつらいからだよ。

また男も、こういう女からは逃げる。モナリザの方が、男は好きだよ。髪は黒いし、少々太り気味で、とうが立っているが、やさしい目をしている。我慢をしてくれる。愛してくれる。

美女というものは、やさしさを勉強しないと、できないものだよ。やさしさを勉強したら、こういう派手な美貌が、見る者を苦しめるとわかるから、できないのだ。
地味目の、やさしい美しさをまといたいと、本当の美女は思うものだよ。

そこが勉強できないから、ブスなんだよ。




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