世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

天の街

2014-02-24 08:32:27 | こものの部屋

なにもかもをなくした後で、わかったとしても、それは苦しいだけと思うかもしれません。

だが、あなたがたはわからねばならない。
なくした愛が、どんなものであったかろ、理解することができなければ、あなたがたは、永遠に、愛をわかることはできません。

忘れずにいなさい。
かのじょの微笑みを。

その微笑みを見たとき、あなたの胸の中に、花のようにもたげてきた、熱い思いを。

愛していたという事実から、逃げれば逃げるほど、あなたがたは、愚かさに引き裂かれてゆく。

たったひとつでも、愛を完全に失うということは、自分の世界を、半分もぎとられることに等しい。

いいですか。
あなたがたは、ここまで来ねばわからないほど、愚かだったのです。

もはや失ったものは戻らない。だが、半分に欠けてしまった水晶の、元の形を恋うても何にもならない。

残った水晶を、よきものとしてゆくべく、あらゆることをやっていきなさい。

あなたがたには、しなければならないことがある。
半分の水晶は、人類の、神への約束のシンボルです。

あらゆることをやっていくための、道しるべです。

それを、上弦と、名付けなさい。


                          サビク






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コルティジャーナ

2014-02-24 05:09:26 | 虹のコレクション・本館
No,77
ヴィットーレ・カルパッチョ、「コルティジャーナ」、15世紀イタリア、盛期ルネサンス。

高級で美しい衣服をまとっているが、これは身分の高い令嬢ではない。コルティジャーナは高級娼婦のことである。知性、教養、美貌をそろえた女を、格の高い男の性の相手をさせるためにできたものだ。

男は、自分の妻や娘には貞節を求めるが、自分には貞節を強要しない。そこで、自分に性の奉仕をさせるために、遊分子的な女をこしらえる。

コルティジャーナはたいそう格が高く、それなりの男でなければ相手にしないというようなものであったそうだ。金持ちで、贅沢な暮らしをしていた。中には身分の高い男の妻となって「出世」したものもいたそうである。女性の中には、コルティジャーナを目指して勉強に励むという者もいた。

しかし、いかに上等の格付けがされていようとも、本質は遊び女だ。高い金を払おうとも、男は女が本当に欲しいものを与えはしない。結局は男社会のエゴに奉仕するものという現実から逃げられはしない。

絵の中のコルティジャーナはたいそう美しい。服装やアクセサリのセンスもよく、しぐさも洗練されている。実に頭のよさそうな顔だ。

だがその表情には、賢くなりすぎぬことで、現実の苦しみを何とか処理せざるを得ない、女の影がある。

コルティジャーナは、美女というものを、どういうものにしたいかという、男のきつい本音が、作らせたものだ。




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