あなたがたが、かのじょを失ったことの、その喪失感を深く味わうには、まだ時間がかかるでしょう。
しかし、この愛の痛みによって味わう喪失感は、かのじょの方が大きい。長い時をかけ、わが子のように愛してきたあなたがたと別れることの悲しみは、かのじょにとっても、大きい。
わたしたちは、その悲しみに、少しずつかのじょを慣らせていくつもりでした。しかしその前に、かのじょの方が、あっけなく休止状態に落ちてしまった。かのじょ自身が、考えないようにしてきた悲哀の重圧が、とうとう、かのじょを支えていた鋼鉄の支柱を倒したのです。
まるで砂山が崩れるように、一気に倒れた。
壊れることのあるはずがない、金剛不壊の愛が、疲れ果てる時の崩れ方は、まさに存在の消滅に似ていました。
かのじょはまだ、倒れたまま、目を覚ましてはいません。
神の愛に全身を預け、眠っている。
やがて目を覚ました時には、多分、あなたがたのことを幾分忘れていることでしょう。
わたしたちも、もう、忘れさせることにします。
その方がいい。
失うということが、どういうことか、少しはわかりますか。
最後まで耐え抜いてくれていた愛が、どういうことになったかが、わかったなら、少しはやるべきことのための準備をなさい。
サビク