世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

天の富

2014-02-14 08:38:15 | こものの部屋

あなたがたは、救済ということを看板に書いて、時にいろいろなことをやりますが、実際人間は、人間を救うことはできません。

要するに、人間には、人間をいれることができるほどの器を持つことは、できないのです。それをするには、どうしても天使の力が必要なのです。

ですから、この時代、たくさんの天使が地上に降りていたのです。それをほとんどすべて殺してしまったあなたがたは、愚かなどというものではありません。

かのじょは、つらい人生を生き抜いていましたが、それは自分以外にも、仲間が生きていると信じていたからです。

生き抜くことにも、疲れ果てていたのに、今この時代、天使として機能を果たせるのが、ほぼ自分だけだとわかった時の、かのじょの絶望感をわかってくれますか。

かのじょは、女性でした。いくら天使でも、これは重すぎる荷です。男ならば、まだましだ。

それくらい、わかるでしょう。

かのじょは、最初、70代まで人生をやるつもりでした。それで、女性の救済をもっと徹底的にやるつもりでした。
しかし、それは事実上、無理でした。

一つの人生を、複数の天使でシェアするなど、ありえないのですよ。

試練の天使は、やむを得ないと、やってくれたのです。



                           サビク





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アモールの勝利

2014-02-14 03:41:38 | 虹のコレクション・本館
No,69
カラヴァッジョ、「アモールの勝利」、17世紀イタリア、バロック。

カラヴァッジョは、人間には人気のある画家だが、われわれにはちょっと苦しい。
なぜならば、これには人間の悪いところが前面に強く出ているからだ。

非常に卓越した技術だが、きつい嘘を隠している。巧みな技術を使って、実に上手に嘘をごまかしているが、それゆえに一層その嘘が痛くなる。

これはアモール(愛)というが、アモールではない。アモールからその姿と美を盗んできて、平気でそれを着て笑っている馬鹿なのだ。

カラヴァッジョは、私生活でも殺人という罪を犯したが、その技術ゆえに免罪されたことがあるという経歴を持つ。これは、どんなに苦しい罪を犯しても、うまくやれば逃れられるのではないかと言う、人間の甘い考えを感じさせる。

人間存在には、まだ支払えていない罪の影が多すぎるのだ。ゆえに、カラヴァッジョが好きだという人間は多い。つまりは、そういう罪の記憶を影に持っている人間がたくさんいるということだ。

なんとなくわかるだろう。

カラヴァッジョの絵を支配している強い闇が、人間の記憶に塗りこめた罪を思い起こさせるのだ。




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