読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

雫井脩介の『仮面同窓会』

2020年07月04日 | 読書

◇ 『仮面同窓会

   著者:雫井脩介  2014.3 幻冬舎 刊     

  

   高校時代に、体育教師から受けた「天突き体操」という屈辱的なしごきを
 受けた新谷洋輔、人生を切り開く上でトラウマ的傷を受けている。
  小中高とつるんでいた仲間4人は、高校創立25周年記念同窓会でこの体育教師
 樫村貞成を懲らしめてやろうとプランを練る。仮面で人物特定を避ける「仮面
 同窓会」計画である。

  新谷の一の親友片岡八真人、片岡の親友皆川希一、希一の友人大見和康の4人
 は希一の練ったプラン通り同窓会の帰りに樫村を郊外の廃工場に連れ出す。ガ
 ムテープ・目隠しの上殴る蹴るの暴行を加えた後廃屋に放置したまま解散する。

       小心者の新谷をはじめ、決してぶれない八真人、洋輔とは合わない希一、希一
 べったりの和康、洋輔は恋人と思っているのに今一つはっきりしない竹中美里、
 得体のしれない美里へのスト-カー日比野譲司、自殺したその妹日比野真理。
 真理をレイプした噂がある樫村など、それぞれ互いに信じきれない事情を抱え
 ている。

  仮面同窓会の翌日、そのうちガムテープをはがして脱出すだろう。高校時代の
 仕返しはそれで終わりと、廃工場に放置した樫村が、2キロほど離れた池で死体
 で発見された。
  あの後4人の仮装グループの誰かが戻って殺したとしか考えられないと、互い
 に疑い合う。
  果たして4人組の誰かなのか、あるいは全く別の犯人がいるのか。

  そんな疑心暗鬼の揚げ句、彼らそれぞれの意外な過去が事件に影を落としてい
 て、悲惨な終末を迎える。
       終局場面で洋輔の長兄が突然現れて読者は慌てる。してやられたという感じで
 ある。
  登場人物それぞれの関係性を語るのにやや冗長にわたるところが難であるが、
 結末の意外性がそれを補う。

                           (以上この項終わり)
  
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ようやく収穫期か「家庭菜園... | トップ | 増尾城址公園の坂道を描く »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事