1、障がい者福祉の課題についてお伺いします。
障がい者への支援は、2003年新障害者基本計画のもとで、それまでの措置から契約に180度転換する支援費制度が導入され、障害者の皆さん自身がサービスを選択できるようになりました。
そして2006年から始まった障害者自立支援法は障がいの種別に関わらずサービスを一本化しましたが、応益負担となり障がいの程度が重い人ほど沢山のサービスを受け、自己負担が多いという矛盾を抱えていました。
2012年には障害者自立支援法は、応益負担は応能負担に、発達障害者を対象にするなどの改正が行われました。
さらに、2013年難病患者も対象とすることなどを含めた障害者総合支援法が施行され今日に至っています。
この間の大きな特徴は、一つには「措置から契約に」変わったこと、二つは「施設から地域へ」と変わったことだと思います。そこで、今日的な障害者福祉の課題について何点かお伺いします。
(1)重度身体障がい者のグループホームの現状と対策についてお伺いします。
①長野県障害者プラン2012の基本的視点でも地域での自立支援をうたい、障害者入所施設の新設・増設は行わず、グループホームの整備を推進しています。しかし、重度の身体障害者の皆さんが施設に入りたくても入れない状態が続いているとお聞きしましたが、現在の障害者支援施設への待機者の状況はどうなっているでしょうか。
(健康福祉部長)
障がい者福祉の課題についてお答えします。
まず、障害者支援施設の待機者数についてですが、県では、毎年2月1日時点での圏域別待機者を調査しており、本年2月1日現在の待機者数は全体で161名であり、昨年度より63名の減となっております。
このうち重度身体障害者向けの生活介護施設を希望する方は88名であり、昨年度より13名の減となっております。
また、保護者の高齢化等により緊急度の高い待機者は32名であり、昨年度より21名の減となっております。
待機者が減少しました主な要因としまして、「長野県障害者プラン 2012」に基づき、グループホームの整備等を積極的に行った結果、施設に空床ができ、在宅等の入所希望者が入所可能となったことによる減などが考えられます。
②グループホームの整備が極めて重要であると考えますが、現状ではグループホームができるまで自宅や病院で待っています。重度身体障害者を含めた、現在のグループホームの整備状況及び今後の見通しについてお伺いします。
(健康福祉部長)
次に、身体障害者のグループホームの状況についてお答えします。
障害者グループホームの利用については、平成18年10月の障害者自立支援法施行時には、知的障害者及び精神障害者に限定されていたところですが、身体障害者についても、地域生活への移行を推進するため、平成21年10月から対象となったところです。
県においても、これまで障害者の地域生活への移行を推進するため、国に先駆け、県単独事業として平成14年度から障害者グループホーム整備に対して補助するなど、積極的に整備を推進してきたところです。
その結果、平成25年4月現在の定員数は、三障害合計で2390人で、前年度から157人増加しており、「長野県障害者プラン 2012」で目標に掲げる平成26年度末の定員数目標の2731人に向けて順調に推移しているところであり、今後も積極的に整備を推進してまいります。
また、平成26年2月現在、県内の障害者グループホーム事業全148事業者のうち、44事業者が身体障害者の利用が可能として事業者指定を受けており、今年度、2事業者増加しております。
なお、重度の身体障害者が利用可能な、人員配置や設備構造を持つグループホームについては、県内で3住居、定員数では21人にとどまっていることから、今後、事業者の皆様や地域の自立支援協議会等と相談するなど、引き続き整備を進めてまいります。
(2)福祉施設での看護師不足対策について
重度の身体障がい者が利用しているグループホームや施設では、医療的ケアが不可欠です。しかし、現状では慢性的な看護師不足の中で医療機関との連携が十分とは言えません。今後グループホームの利用者の高齢化や障がいの重度化が進む中で、国や県はどのような施策を考えているのでしょうか。
(健康福祉部長)
次に、障害者グループホームと医療機関との連携についてお答えします。
議員御指摘のとおり、重度の身体障害者が利用しているグループホームや施設では医療的ケアが不可欠でありますが、グループホームの増加や、慢性的な看護師不足の中で、安定的に看護師を確保することが困難なことから、看護職員の訪問など、医療機関との連携が重要であると認識しております。
現在、国においては、医療との連携強化や、障害福祉サービスの量や質の確保・向上など、障害者の地域生活を支えるための方策が検討されており、平成27年4月に予定する報酬改定に向けて、その具体策が示される予定です。
また、県においても、障害者グループホーム利用者の高齢化・障害の重度化に伴う支援の在り方について、長野県知的障害福祉協会と共に事例の共有・研究をすすめているところです。
一方、障害者グループホームで、医療機関から看護職員の訪問を受けて看護業務を行った場合、医療連携体制加算として自立支援給付費上の評価がされており、平成26年4月の報酬改定においても、当該加算の拡充が予定されているところです。
引き続き、こうした国の動向を注視しつつ、県においても、高齢化や障害の重度化の課題やその対応策について研究してまいります。
(3)障がい福祉サービス等の計画相談の実態と課題について
平成24年度の障害者自立支援法の改正で、平成27年度から障がいのある方が障がい福祉サービス等を利用する際には、介護保険制度におけるケアプランと同様の、相談支援事業所の計画相談に基づく「サービス等利用計画」の作成が義務付けられました。
平成26年度末を目標に、各圏域ではサービス等利用計画の作成作業に取り組まれていますが、思うように進んでいない現状があるとお聞きしました。長野県における状況、進まない理由と対策をお伺いします。以上健康福祉部長にお伺いします。
(健康福祉部長)
次に、障害福祉サービス等の計画作成の状況、進まない理由とその対策について、お答えします。
サービス等利用計画作成の進捗状況ですが、平成25年12月末現在、計画作成が必要な対象者15,804人に対して、5769人の計画が作成済みで、進捗率は36.5%となっております。全国の進捗率24.2%と比べて、進んではいるものの、必ずしも十分とは言えないじょうきょうです。
計画作成が進まない背景としましては、作成業務を担う相談支援専門員の人数やスキル不足、報酬単価の低さから専任職員の配置が困難なこと、などの課題があげられております。
これらの課題への対応として、昨年度、相談支援専門員の養成研修の受講定員を250名から500名に拡大するなど、専門員の増加に努めてまいりました。
また、本年度からは、実践的な少人数規模の研修会を圏域ごとに実施する「障害者相談支援専門員重点サポート事業」により、専門員のスキルアップに取り組んでいるところです。
さらに、国に対しては、報酬単価の引き上げを要望してまいりました。
いずれにしましても、平成26年度末までに、必要な対象者全員の計画作成がが完了するよう、市町村や関係機関と連携して、取組を強化してまいります。
(4)高等学校における障がい者支援について
県内の高等学校では、最近、発達障がいを含む障がいのある生徒への対応や支援が課題となっているとお聞きしました。特に、就職などの進路指導においては、就職先の選択や支援方法等で、専門知識に乏しく、悩んでいる学校や教員も多く、また、何とか就職しても定着できず、退職する方もいるようです。高等学校の障がいのある生徒の皆さんへの支援はどのように行われているか教育長にお聞きします。
(教育長)
障がいのある生徒の高等学校入学に当たっては、生徒の障がいの状態に応じて、昇降機やスロープの設置等、学習環境の整備充実に努めてきたところ。
近年、高等学校では、発達障がいのある生徒が年々増加しており、特別な支援の必要性が高まっている。
平成20年度から、各校において特別支援教育の中心的役割を担う教諭を特別支援コーディネーターに位置づけ、県教委主催の研修会の受講などを通じて、専門的知識の習得など資質の向上を図るとともに、全教職員を対象とした校内研修会の実施や校内支援体制の充実、関係機関との連携等に努めている。
また、高校の特別支援教育に係る研究校を指定し、専門性を有する支援専門員を外部から派遣することなどにより、授業のユニバーサルデザイン化やソーシャルスキルトレーニングの導入など、先進的な特別支援教育のあり方に関する研究を行い、その成果の全県的な普及に努めている。
さらに新年度から、自立活動担当教員を増員し各校を巡回するなど、特別支援学校の各地域におけるセンター的機能を充実させ、高等学校における障がいのある生徒への、就労を含めた社会的自立に向けた支援を強化していく。
今後も、教員の専門性の向上や関係機関との連携を図りながら、高等学校における発達障がいを含む障がいのある生徒に対する支援の充実に努めてまいりたい。
(中川博司)
施設については圏域によって偏りがあると思いますのでできるだけ柔軟な対応をしていただくようお願いします。
障がい者への支援は、2003年新障害者基本計画のもとで、それまでの措置から契約に180度転換する支援費制度が導入され、障害者の皆さん自身がサービスを選択できるようになりました。
そして2006年から始まった障害者自立支援法は障がいの種別に関わらずサービスを一本化しましたが、応益負担となり障がいの程度が重い人ほど沢山のサービスを受け、自己負担が多いという矛盾を抱えていました。
2012年には障害者自立支援法は、応益負担は応能負担に、発達障害者を対象にするなどの改正が行われました。
さらに、2013年難病患者も対象とすることなどを含めた障害者総合支援法が施行され今日に至っています。
この間の大きな特徴は、一つには「措置から契約に」変わったこと、二つは「施設から地域へ」と変わったことだと思います。そこで、今日的な障害者福祉の課題について何点かお伺いします。
(1)重度身体障がい者のグループホームの現状と対策についてお伺いします。
①長野県障害者プラン2012の基本的視点でも地域での自立支援をうたい、障害者入所施設の新設・増設は行わず、グループホームの整備を推進しています。しかし、重度の身体障害者の皆さんが施設に入りたくても入れない状態が続いているとお聞きしましたが、現在の障害者支援施設への待機者の状況はどうなっているでしょうか。
(健康福祉部長)
障がい者福祉の課題についてお答えします。
まず、障害者支援施設の待機者数についてですが、県では、毎年2月1日時点での圏域別待機者を調査しており、本年2月1日現在の待機者数は全体で161名であり、昨年度より63名の減となっております。
このうち重度身体障害者向けの生活介護施設を希望する方は88名であり、昨年度より13名の減となっております。
また、保護者の高齢化等により緊急度の高い待機者は32名であり、昨年度より21名の減となっております。
待機者が減少しました主な要因としまして、「長野県障害者プラン 2012」に基づき、グループホームの整備等を積極的に行った結果、施設に空床ができ、在宅等の入所希望者が入所可能となったことによる減などが考えられます。
②グループホームの整備が極めて重要であると考えますが、現状ではグループホームができるまで自宅や病院で待っています。重度身体障害者を含めた、現在のグループホームの整備状況及び今後の見通しについてお伺いします。
(健康福祉部長)
次に、身体障害者のグループホームの状況についてお答えします。
障害者グループホームの利用については、平成18年10月の障害者自立支援法施行時には、知的障害者及び精神障害者に限定されていたところですが、身体障害者についても、地域生活への移行を推進するため、平成21年10月から対象となったところです。
県においても、これまで障害者の地域生活への移行を推進するため、国に先駆け、県単独事業として平成14年度から障害者グループホーム整備に対して補助するなど、積極的に整備を推進してきたところです。
その結果、平成25年4月現在の定員数は、三障害合計で2390人で、前年度から157人増加しており、「長野県障害者プラン 2012」で目標に掲げる平成26年度末の定員数目標の2731人に向けて順調に推移しているところであり、今後も積極的に整備を推進してまいります。
また、平成26年2月現在、県内の障害者グループホーム事業全148事業者のうち、44事業者が身体障害者の利用が可能として事業者指定を受けており、今年度、2事業者増加しております。
なお、重度の身体障害者が利用可能な、人員配置や設備構造を持つグループホームについては、県内で3住居、定員数では21人にとどまっていることから、今後、事業者の皆様や地域の自立支援協議会等と相談するなど、引き続き整備を進めてまいります。
(2)福祉施設での看護師不足対策について
重度の身体障がい者が利用しているグループホームや施設では、医療的ケアが不可欠です。しかし、現状では慢性的な看護師不足の中で医療機関との連携が十分とは言えません。今後グループホームの利用者の高齢化や障がいの重度化が進む中で、国や県はどのような施策を考えているのでしょうか。
(健康福祉部長)
次に、障害者グループホームと医療機関との連携についてお答えします。
議員御指摘のとおり、重度の身体障害者が利用しているグループホームや施設では医療的ケアが不可欠でありますが、グループホームの増加や、慢性的な看護師不足の中で、安定的に看護師を確保することが困難なことから、看護職員の訪問など、医療機関との連携が重要であると認識しております。
現在、国においては、医療との連携強化や、障害福祉サービスの量や質の確保・向上など、障害者の地域生活を支えるための方策が検討されており、平成27年4月に予定する報酬改定に向けて、その具体策が示される予定です。
また、県においても、障害者グループホーム利用者の高齢化・障害の重度化に伴う支援の在り方について、長野県知的障害福祉協会と共に事例の共有・研究をすすめているところです。
一方、障害者グループホームで、医療機関から看護職員の訪問を受けて看護業務を行った場合、医療連携体制加算として自立支援給付費上の評価がされており、平成26年4月の報酬改定においても、当該加算の拡充が予定されているところです。
引き続き、こうした国の動向を注視しつつ、県においても、高齢化や障害の重度化の課題やその対応策について研究してまいります。
(3)障がい福祉サービス等の計画相談の実態と課題について
平成24年度の障害者自立支援法の改正で、平成27年度から障がいのある方が障がい福祉サービス等を利用する際には、介護保険制度におけるケアプランと同様の、相談支援事業所の計画相談に基づく「サービス等利用計画」の作成が義務付けられました。
平成26年度末を目標に、各圏域ではサービス等利用計画の作成作業に取り組まれていますが、思うように進んでいない現状があるとお聞きしました。長野県における状況、進まない理由と対策をお伺いします。以上健康福祉部長にお伺いします。
(健康福祉部長)
次に、障害福祉サービス等の計画作成の状況、進まない理由とその対策について、お答えします。
サービス等利用計画作成の進捗状況ですが、平成25年12月末現在、計画作成が必要な対象者15,804人に対して、5769人の計画が作成済みで、進捗率は36.5%となっております。全国の進捗率24.2%と比べて、進んではいるものの、必ずしも十分とは言えないじょうきょうです。
計画作成が進まない背景としましては、作成業務を担う相談支援専門員の人数やスキル不足、報酬単価の低さから専任職員の配置が困難なこと、などの課題があげられております。
これらの課題への対応として、昨年度、相談支援専門員の養成研修の受講定員を250名から500名に拡大するなど、専門員の増加に努めてまいりました。
また、本年度からは、実践的な少人数規模の研修会を圏域ごとに実施する「障害者相談支援専門員重点サポート事業」により、専門員のスキルアップに取り組んでいるところです。
さらに、国に対しては、報酬単価の引き上げを要望してまいりました。
いずれにしましても、平成26年度末までに、必要な対象者全員の計画作成がが完了するよう、市町村や関係機関と連携して、取組を強化してまいります。
(4)高等学校における障がい者支援について
県内の高等学校では、最近、発達障がいを含む障がいのある生徒への対応や支援が課題となっているとお聞きしました。特に、就職などの進路指導においては、就職先の選択や支援方法等で、専門知識に乏しく、悩んでいる学校や教員も多く、また、何とか就職しても定着できず、退職する方もいるようです。高等学校の障がいのある生徒の皆さんへの支援はどのように行われているか教育長にお聞きします。
(教育長)
障がいのある生徒の高等学校入学に当たっては、生徒の障がいの状態に応じて、昇降機やスロープの設置等、学習環境の整備充実に努めてきたところ。
近年、高等学校では、発達障がいのある生徒が年々増加しており、特別な支援の必要性が高まっている。
平成20年度から、各校において特別支援教育の中心的役割を担う教諭を特別支援コーディネーターに位置づけ、県教委主催の研修会の受講などを通じて、専門的知識の習得など資質の向上を図るとともに、全教職員を対象とした校内研修会の実施や校内支援体制の充実、関係機関との連携等に努めている。
また、高校の特別支援教育に係る研究校を指定し、専門性を有する支援専門員を外部から派遣することなどにより、授業のユニバーサルデザイン化やソーシャルスキルトレーニングの導入など、先進的な特別支援教育のあり方に関する研究を行い、その成果の全県的な普及に努めている。
さらに新年度から、自立活動担当教員を増員し各校を巡回するなど、特別支援学校の各地域におけるセンター的機能を充実させ、高等学校における障がいのある生徒への、就労を含めた社会的自立に向けた支援を強化していく。
今後も、教員の専門性の向上や関係機関との連携を図りながら、高等学校における発達障がいを含む障がいのある生徒に対する支援の充実に努めてまいりたい。
(中川博司)
施設については圏域によって偏りがあると思いますのでできるだけ柔軟な対応をしていただくようお願いします。