■中日新聞4月12日「視座」貴戸理恵
「緊急事態」を受け止める個々の状況や感覚は多様だ。協調が求められる今こそ、他者の発する違和感を聞き取る耳を持っていたい。「私たち」の団結を、異質なものの排除に横滑りさせず、共同性に開いていくために。
■imidas「経済万華鏡」浜矩子
物理的な距離を取ることが社会的な距離が遠くなることにつながってはいけない。実は、ここが重要なのではないでしょうか。物理的に距離を保っているからといって、人間同士が疎遠になり、社会的関心を失い、他者の命運に無関心になったりしてはいけないでしょう。こんな状況下に置かれているからこそ、我々は、むしろ互いに社会的距離を縮めるよう、心掛けるべきなのではないのでしょうか。
言葉は恐いものです。独り歩きします。「ソーシャルディスタンシング」は「フィジカルディスタンシング」に言い改めるべきだと思います。
■HAFFPOST
現段階で明らかになっている新型コロナウイルス感染拡大に関するデータが示すのは、アフリカ系アメリカ人が新型コロナウイルスに感染する割合はわずかに高い一方で、死ぬ割合はかなり高いということだ。
「新型コロナウイルスは、様々な困難に対処している人たちにとって、最悪の事態を引き起こす」と話すのは、ハーバード大学で人種と健康の研究をしているデイヴィッド R・ウィリアムズ教授だ。
前デトロイト保健所長のアブドゥル・エル・サイード氏は、今回の新型コロナウイルス感染拡大で、アメリカの人たちに、不平等な歴史と社会政策がもたらした誤りだけではなく、徹底した個人主義が招いた誤りにも気付いて欲しいと話す。
「『誰かが他の人よりも苦しむのは、その人の選択のせいだ』と言う考え方から、私たちは抜け出さなければなりません。私たちはしばしば特権階級の人たちが言うことを、受け入れます。特権階級の人たちは選択肢のせいにすることがありますが、しかし貧困は選択肢を奪うのです」
「黒人の人たちは今、新型コロナウイルスで亡くなっています。しかしそれ以前に、彼らは置かれている状況のせいで亡くなっているのです」
「今、新形コロナウイルスで苦しんでいる人たちが発している『息ができない」というセリフを考えてみてください。以前にも聞いたことがあるのではないでしょうか」
■withnews「話題」五味太郎
仕事も学校も、ある意味でいま枠組みが崩壊しているから、ふだんの何がつまんなかったのか、本当は何がしたいのか、ニュートラルに問いやすいときじゃない。実はコロナ禍がないときこそチャンスに満ち満ちているんだけど。今は幸か不幸か、時間が余っているんだから。
■AFP「社会」霊長類学者グドール
日々の小さな選択をする時にその選択がもたらす結果を考えるようにすれば、誰でも、毎日、影響を与えることができる。何を食べるか、その食べ物はどこから来たのか、その食べ物は動物を虐待して得られたものか、集約農業によって作られたものか(大抵の場合そうだが)、子どもの奴隷労働で作られたから安いのか、生産過程において環境に悪影響を及ぼしたか、どこから何マイル移動してきたのか、車ではなく徒歩で移動できないか。