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沖縄と辰野をむすぶ会で、信州を訪れた皆さんをご案内して、扉温泉「明神館」と美ヶ原をご案内しました。
明神館は社会党と縁の深い向坂逸郎さんが資本論を訳出された場所です。
昔の明神館のパンフレットには、向坂先生が書かれた紹介文が掲載されていました。
標高2000メートルの美ヶ原は少し霞んではいましたが高原のさわやかさを堪能していただけたのではないでしょうか。
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「扉」(とびら)という謎のような地名が面白い。真理の扉、美の扉というような言葉を連想する。人生の幸福が、扉峠のかなたに深く秘められているかと思うような、人跡に荒らされない山々のふところ、薄川の渓谷に扉温泉はある。松本市の東南四里、1,050m位の高さである。
「春」は目の覚めるような深緑の中に、赤いつつじが素朴な人間のまごころを思わせている。
「夏」になると、美ヶ原や鉢伏登山、避暑静養の客で静かな渓谷がしばしにぎわう。しかし、涼風のここちよき室々には、読書人の来り遊ぶのも少なくはない。
「秋」は満山の紅葉火のように燃えて、ボナールの絵のようにけんらんとはえている。私はまた冬の扉を愛する。読書にあきた炬燵の中で、なにげなく渓流の音に耳をかたむける。 遠くの方で多ぜいの人が、何かささやいているような、また歌っているような錯覚をおこすことがある。私は酒をたしなまないが
「冬」の扉温泉の炬燵の中で、気の合った友達がのみかわす酒の味は、かくべつであろう。扉は、額に汗して働く人々や、その家族のなごやかないこい、たのしいまどいの場所である。 温泉を絃歌のちまたとしか考えない人々には無縁の場所であろう。
(向坂逸郎)
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