福島安正という名前をご存じの方はどれほどいるでしょうか。太平洋戦争を経験している方は、知っています。当時の教科書に出ていましたから。「福島安正単騎シベリア横断」という武勇伝です。松本市開智3丁目に「福島安正大将誕生地の碑」があるように松本藩に生まれ明治の時代を軍人として、主に諜報を担当しました。
板垣雄三東京大学名誉教授と「福島安正単騎シベリア横断」の学習会が始まったのは、2015年新安保法制のころ、信州大学人の会や上田市で開催された多文化共生セミナーなどで板垣氏が講師を務めたことで知ったことからだ。
その後、2016年4月信州イスラーム社会勉強会が始まりましたが、ほとんど顔を出すこともできず、この9月9日に「対話集会」世界の中の日本の「中東・イスラーム」報道の 【これまで】と【これから】とデコート豊崎アリサ監督作品 「Caravan to the future」上映会とトークショーがあり参加しました。
「Caravan to the future」は、北アフリカのイスラム社会で塩と物々交換をして暮らしている遊牧民族トゥアレ族のキャラバンを追ったドキュメンタリー映画です。この映画を見てすぐに報告できなかったのは、この映画が何を訴えているのか、何を伝えようとしているのか、私には直ちには分からなかったからです。もちろん、映画の後に鵜飼哲先生とのやりとりの中で、「遊牧民は、国民国家ではない、国境もない」という解説を聞いて、そうなのかなと思いましたが、これは監督のデコート豊崎アリサさんの本「トゥアレグ 自由への帰路」を読んでから報告を書こうと思ったからです。
しかし、この本419ページの大作で、9月定例議会の合間に少しづつ読み進めました。ようやくにして読み終わって、あらためて「国民国家ではない、国境もない」遊牧民の生活が、「国境や国家」を争って戦争をしている国の民よりも「自由」であることを確認しました。しかし、この「自由」も歴史の中で、今、埋もれてしまうかもしれない危ういものだということも確認できることでした。
それでは、9月9日のアリサさんの言葉をいくつか紹介します。「塩キャラバンは肉体労働なので男がやる。トゥアレグ族は母系社会で一夫一妻。女は顔を隠さない。存在感がある。キャラバンで男たちがいない間、小さな家畜の世話をし、子どもたちに遊牧生活を教えている。ラクダの世話をしたり、7,8歳から塩キャラバンに参加できる。14,15歳からサハラ砂漠を横断する。水を汲むのは女性の仕事。塩キャラバンで7ケ月男たちがいない間、キャンプを他の牧草地へ動かす。牧草を過度に食べさせない。老人や子供たちと一緒に枯れる前に移動する」
映画は、塩キャラバンに同行するドキュメントですが、アリサさんのお話は女性たちのことでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます