リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

CMにリュートらしき音が・・・

2006年05月09日 21時10分59秒 | 日々のこと
ネスカフェ・プレミアムの宣伝の音楽にリュートが使われていますね、多分。ご覧になった方はいらっしゃいますか。リュートをCMに使うのは今までにも割とちょくちょくあるんですよね。

もっとも美しく使った例は、カゴメだったかどっかのパスタの宣伝で、つのだたかしさんがシチリアーナを演奏した時です。この時の反響はかなりあったようで、何でも単独でシチリアーナのシングルも出したそうです。私もそのころのコンサートで、受けようと思い(笑)よくシチリアーナを弾いたもんです。もう5,6年前かな。こういう広がり方はうれしいですね。

件のネスカフェ・プレミアムで使われている音は、ひょっとするとリュートと違うかもしれません。普通のルネサンス・リュートを一般的な三味線とすると、そのリュートらしき楽器の音は太棹の三味線って感じなんです。でも、これをリュートと言ってしまったのは、こういう音がする「リュート」を知っているからなんですね。

それはどんなリュートかというと、30年くらい前、まだ楽器があまりきちんと復元できていなかった時に、ギター奏者でも演奏できるよう作られた張りの強い弦を張った楽器なんです。それを右指は爪を使ってギターみたいなタッチで弾くと、コマーシャルの「リュート」の様な音が出ます。歴史的な構造のリュートであってもちょっと太めの弦を張って、ギターライクに弾いても同じような音はでますけどね。

CMの音楽として見た場合、その太棹リュートの方が実はインパクトがあるんですね。CMでは他との差別化が重要なファクターで、爪を立てて複弦が二段落ちするようなタッチで、太めの弦をベンベンと鳴らせば明らかにギターとは相当異なる感じがして、聴いている人には新鮮な響きがするんじゃないかな、ってCMの作曲家なら思うわけです。

でも繊細なヒストリカルなリュートなら本当はもっとインパクトがあると思うだけどなぁ。実際つのださんの演奏はすごいインパクトを与えましたから。ま、要は発信する方次第ということですけどね。