リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

モノにこだわる男のカタログ

2006年05月19日 17時57分33秒 | 日々のこと
1976年、ジョージ・オーウェルの1984年までまだ8年も未来があった年です。この年は私がはじめてヨーロッパに行った年でもあるんですが、先日ある楽譜を取ろうとして、そのすぐ隣に「モノにこだわる男のカタログ」というのがありました。1976年7月1日発行、今は無きあの平凡パンチの別冊です。

表紙のコピー:
「今年の夏はゼッタイにバックパッキングをはじめるぞ。クライミングはヨセミテ風にラクジャでセメたてるのだ。いや、ジョギング・シューズでテコテコ走るのがやっぱりいい。ラジカセでロクハンを振るボリュームで聴くのだったちょいと捨て難いのだ。もっといっぱいあるな。自転車のツーリングもやりたいな。バードウォッチングを兼ねて野鳥の生態写真もいいものだよ。--------なんて考えているキミたちに贈るメンカタ2号。新しいライフスタイルを生きるためにこの本を大いに役立てていただきたい。」

いやー健全ですねー、健康的ですねー。フィットネスやらサプリメントやら整形やらの話は出てくる余地が全くありません。(笑)

早速手にとってページをぱらぱらとめくると、まるで76年の缶詰。笑っちゃったのは、男性のモデルさん。かっこよくキメているはずなんですが、今見るとどっかのヤクザかちんぴらみたいな感じ。というか、そっちの業界の人がかたくなに70年代を守っているだけなのかも知れませんが。

基本的に男性用なので女性のモデルはあまり登場していませんが、それでも2,3ありました。フジフィルムの宣伝の女性なんか古きよき昭和時代という感じの女性モデルですが、76年と言えば証は51年です。古きよき昭和というのは30年代始めころですよね。50年代でももうすでに歴史を感じさせるのには驚きました。

この本は男のギアを扱っているので、ファッション、靴、スポーツ用品、バイク、車、オーディオ、カメラなど、オトコが好みそうなありとあらゆるモノがカタログアップされています。車やバイクなんか旧車オンパレード。パソコンなどデジタルギアはまだ登場していません。すでに見かけなくなって久しいラジカセなんかこの本のなかではカッコいいアイテムのひとつです。そうそうレコードプレイヤーもしっかりと載っています。

でも今とあまり変わっていないモノもあります。例えば、酒のボトル、オーディオアンプ、楽器なんかです。ギターはやっぱりギターのまんま。高級オーディオアンプなんか、少し古さがあってかえってカッコいいです。

多分この30年間、猛烈に日本の世の中が変化したんでしょうね。あまり変化がないように見えるものの方が実は正常な変化のような気がします。モノはこうやってカタログに凝縮されて変化を実感できますが、当然人の心とか、社会環境もモノと同じかそれ以上に変化している部分もあるはずです。この本をよく眺めて世の中を勘違いしないように心しないといけませんです、はい。