リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ジョン・ダウランド・アズ・知名度No.1?(3)

2007年07月28日 11時39分34秒 | 音楽系
ダウランドの作品は意外なところで聴いたり目にしたり?します。もうかなり前ですが、宝石の宣伝で、Come againというリュートソングがBGMで使われていました。またSF作家の中では有名な存在なんでしょうか、フィリップ・K・ディックという作家が「流れよわが涙、と警官は言った」という名の小説を書いています。

SFのことについては何も知りませんが、そのタイトルが気になったので、ハヤカワ文庫で読んでみました。この作品では各部の冒頭に「流れよわが涙」の歌詞が引用されている他、登場人物がこの曲を聴く場面も出てきます。

(引用)
・・・憂鬱な気分でバックマン本部長は(中略)小型のレコーダーの中にテープ・リールを装填した。四声のダウランドの旋律だ・・・・・ダウランドのリュート歌曲集の中でも特に好きな歌に耳を傾けながら立っていた。・・・
(引用終わり)

こんな感じです。この小説が書かれたのは70年代のはじめらしいので、録音はテープなんですね。でも作品の舞台は1988年なんですけどね。(笑)400年近い時代の隔たりがあるにもかかわらず、この作品の雰囲気とダウランドの作品の曲調が妙に合う大変興味深い作品です。