リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

万古不易

2019年12月09日 10時50分29秒 | 日々のこと
長年リュート音楽をやってきて本当によかったと思うことがあります。それは50年近く前に集めた楽譜であっても、旧態化せずまだ充分というか普通に役に立っているということです。

一般的に50年前のものなんてそもそも時代が変わりすぎて使い物にならないのが普通ですが、例えば1975年にドレスデンの図書館からマイクロフィルムを買ったいわゆる「ドレスデン写本(ヴァイスの作品を集めた写本)」、まだ普通に使っています。

そもそも最初から古い物なので40何年かでは古くならない(笑)ということもありますが、一番大きな理由はそれらが一次資料だからということが言えます。当時の二次以下の資料はもうすでに古くさすぎて使い物になりません。それらは古楽研究史という視点でみれば、当時はこういった考え方だったのだとか、ここは今となっては間違っていたなんて見方はできますが。

あと、英語、コンピュータ言語、MIDI(コンピュータ音楽のための機器の規格)なんかにも取り組んでそれなりに身にはついていると思いますが、あのとき覚えたBASICというコンピュータ言語なんか今では過去の遺物です。あれだけ頑張って覚えたんですが・・・過去の投資が今に生きているのはほんの少しです。

意外にもMIDIはコンピュータや電子機器を使っているとはいうものの、そんなにめまぐるしく変化していません。30数年前に制定のMIDI規格がいまだに使われているくらいですから。

世の中、変化の激しいものはすぐに陳腐化するので付き合うと損です。その点リュートはいいです。まぁこれは古典と言われるもの全てに通じることですけど。長いスパンでみると時間的金銭的なコスパは最高です。