リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

デジタル録音の落とし穴

2021年09月07日 10時28分34秒 | 音楽系
ネット配信やストリーミング音楽では圧縮されたmp3形式多いですが、ひところのmp3に比べると随分音がよくなってきました。昔のLPレコードを大した性能ではないオーディオで聴いていた時代と比べるとはるかにいい音になったと思います。当ブログでときどき公開する音源もmp3です。

もちろんアナログのLPレコードも初期プレスのものを100万以上かけたオーディオで聴いたら多分ハイレゾよりいい音がするのではないかと思います。昔、まだCDが普及する前に名古屋市には輸入物の初期プレスのレコードばかり扱っていた店もありました。Kレコード店というお店でしたが、そこの親父は不愛想でものすごく頑固者でしたけど、音の良しあしはよくわかっていたのでしょう。

最近昔のカセットラックを整理していましたら、1990年に作曲し、それをメタルテープ録音したものがありました。当時の学校の演劇用の音楽を作曲したものですが、この曲のコピーはデジタル化してパソコンのSSDドライブに保存してあります。まぁそこそこの音がしているので、当時の音質はこんなものだろうと思っていました。

ところがそのメタルテープを聴いてみましたら、まさに驚きのひとこと。使用したアナログシンセの音の実にマッシブなこと!実体感があります。アナログシンセをデジタル的にモデリングした音源からは絶対に出ない音です。それもそのはず、このメタルテープによる録音は複数のシンセの出力をミキサーでまとめてそのまま2チャンネル(ステレオ)で録音したものだからです。

ご存じのようにたとえハイレゾであってもいくらかの音はデジタル化のためにカットされています。ところがアナログの場合はまったく「そのまま」ですから出音の次元が異なるわけです。楽器の現物から直でアナログ録音したものはここまでいい音がするとは思いませんでした。途中からデジタル信仰に宗主替えしてしまったので、忘れてしまっていました。

この素晴らしい音を聴いていただくには、カセットデッキをオーディオセットに繋ぐのがベストですが、次善の策としてSequoiaに24bit96khzでデジタル録音したものを16bit44.1khzでエクスポートすることでしょうか。いずれ皆さまにもぜひ聴いていただきたいと思います。