リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

懐かしの楽器たち(19)

2021年09月15日 16時22分09秒 | 音楽系
ヴァイオリンを弾かなくなったあとしばらく「楽器浪人」をしていましたが、中学生になると折しもギターブームの到来がありました。クラシックギターなら弾いていても友達の輪に入れないどころか、上手に弾けたら一目置かれる存在になるのです。これなら大丈夫とばかりギターに飛びつきました。2年生の秋ごろでしたか。時代は着実に変わって来ていました。



ギターの「初舞台」です。(左から二人目)三年生の三学期の予餞会でのひとこま。演奏した楽器はウチにあった表面板が少しはがれかかっていたギターでした。父親が編曲した「鈴懸の径」という曲をみんなで演奏しました。写真をよく見ると私だけ暗譜です!もっとも他のメンバーも譜面台の楽譜は見ていませんが。(笑)

父親は元関東軍の狙撃手で終戦後ソ連の捕虜となりシベリアの収容所で5年過ごしました。もともと楽器の心得があったのか同じ収容所の仲間に楽師がいてその人から習ったのかはわかりませんが、収容所の楽団で演奏や楽譜を書いていたようです。ヴァイオリンやギターも小器用に弾いていました。復員後も楽団に入って演奏をしていたようで、その頃覚えたアレンジを中学生のアンサンブルのために書いてくれました。

クラシックギターと共に当時はやりつつあったエレキギターには全く興味がありませんでした。私が演奏したいのはクラシック音楽だったからです。ですからクラシックギターの世界でもポップス色の強い作品にはあまり興味がなく(弾かなかったわけではありませんが)、古典派の作品やバッハなどを中心に弾いていました。

まぁクラシックギターブームといっても実態は「禁じられた遊びブーム」でしたから、別にクラシック音楽がブームになったわけではありませんでしたが、私にとってはありがたいブームでした。