リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ブサール先生の教え(3)

2022年07月22日 15時13分00秒 | 音楽系
ブサール先生は日本史で言うと、千利休と同じくらいの時代かなと思って調べてみましたら、利休の方がだいぶ年上ですね。でも人生の後半とでも書物を通じてお言葉を読んでいるとすごく身近に感じてしまいます。世の中の仕組みは全く異なるでしょうし、電気もないし自動車もなかった時代です。ただひとつ、リュートという共通項だけでつながることができるのは誠に不思議なことではあります。

さて、今回のお言葉:

「もしバランスを欠くやりかたで極端な労力を自分に課したりすると、それは自然の摂理に抗うことになります。それゆえ、学ぶ心構えが出来、練習する機会や時間があるときに、無理なく学習を進めていって下さい」

バーゼルにいた頃、テレビもないし情報に飢えていましたので、もっぱらネットを見るのを楽しみにしていました。ただ、You Tubeはまだ産声をあげたばかりで大したコンテンツもありませんでしたし、ブログというものもまだあまり普及していませんでした。ある時知り合いから面白いHPがあるというのので見ていましたら、そこはトンデモ理論が横行しているハチャメチャな内容のサイトでした。そのサイトの管理人は「脳内マエストロ」みたいな感じの人で、いっぱしの理論めいたことを仰るのですが、ご自身の演奏はブッツンブッツンのなんじゃこれ!?というレベル。そしてそこに書き込んでくる人も同レベルの人たちがほとんど。でも面白いので毎日楽しみにしていました。(笑)

あるとき書き込みで「よーし、これから練習をがんばるぞ。思いっきり指を痛めつけるぞ」なんて書いてありました。これがブサール先生のおっしゃる、「バランスを欠くやりかたで極端な労力を自分に課す」ということですね。

いくつか変なことが一杯書かれているので、私なりの意見を書き込んでみましたら、「そんなことを言っているからあなたはダメなんだ!」ってしっかりおこられてしまいました。(笑)