リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

右手のフォーム

2006年05月16日 13時03分31秒 | 音楽系
先日ミューズにいましたら、有能な若手ギタリストであるN君から質問されました。

「どうしてリュートは右手をあのように寝かして演奏するのですか」

現代のギター奏法では、右指のラインができるだけ弦と90度に近く弾くと教えられているので、疑問に思ったのだでしょう。彼はホピーのコンサートに来ていましたので、ホピーの右手のフォームを見てそう思ったのだと思います。

この手の講釈をたれるのは得意ですから(笑)、プレクトラム(ピック)を使った奏法からの歴史的な流れを説明して、少し実演もしたら彼は納得していました。すぐ近くにソルの右手フォームの絵(ソルの教本にあるヤツです)があるので、見てもらったんですが、ほとんどバロックリュートを弾く右手と同じなんですね。小指もつけているし。同じギターとはいうものの、現代のクラシックギターは随分遠いところに来ているんですよ、N君。

一口に右手フォームっていいますけど、実は楽器のホールドの仕方、アームの持って行き方などと関連していて、というかそれらが有機的に関連し合っているものなんですね。以前知っているリュート奏者(実際に本人の演奏を見たことがある人)を思い出して、一覧表(メモ程度ですけどね)を作ったことがありましたが、驚いたことに同じ人はほとんどいなかったんですね。

要素は次のようになります。あまり厳密なものではないですけど。(笑)

サム・イン? or サム・アウト?
ストラップ使う? or 使わない?
楽器を右足に乗せる? or 左足に乗せる?
楽器を立て気味? or 水平気味?
楽器を高くホールドする? or 低くホールドする?
ブリッジよりで弾く? or ロゼッタよりで弾く?
アームの進入角度は?

これを横軸、縦軸に奏者の名前を書いて、弾いているときのことを思い出しながら表を作っていったんですが、前述したように、見事にみんなバラバラ。ちなみに昔の絵を見てもみんなバラバラです。中世やルネサンス初期中期あたりまでとバロック以降は、楽器の性質が違うので、弾き方やホールドの仕方が異なるのはわかりますが、バロック以降だけみても、それはもう千差万別です。昔の絵を見るとよくわかります。

これは結局、指の長さ、太さ、長さの比率、皮膚の状態などが人によって皆異なるわけですから、みんなバラバラになるのは当然ということでしょう。左手のフォームは多分右手よりはフォームを規定する要素は少ないので、同じような形になるのに比べて(ヴァイオリンでも、チェロでも、津軽三味線でもうまい人は同じようなフォームで動きます)右手は大変なわけです。

考えてみたら、右手の親指が師匠より1ミリ短かったら(人差し指は同じとして)、もう影響が・・・うーん、1ミリくらいでは出ないかな。(笑)でもその違いが5ミリだった確実に影響がありますね。5ミリくらい違うのはザラでしょ。それだけ違っていれば、もう師匠と同じフォームを取ってもうまく弾けそうにないということは分かりますよね。

ま、要するに楽器の勉強は個人個人に合わせた方法が必要なんですね。

町内パーティー

2006年05月15日 01時22分07秒 | ローカルネタ
今日は待ちに待った(笑)町内の宴会です。ウチの町内にはある財政的バックボーンがありまして(実は町内の庭に金のなる木を植えています。←ウソですよ)、こういう宴会のときなどに費用の補助が出ます。つまり宴会の会費の割には中身がよいということで、思いっきりお腹をすかせて参加しました。(笑)

冒頭の町内会長さん挨拶で、11月に近所で行うコンサートのことを紹介させてもらいました。やっぱり「地域に根ざした活動」っていいもんですね。ウチの町内の方は無料で入場できます、ってみなさんに宣伝してきました。コンサート会場である、隣の町のカトリック教会で、受付の人にある合い言葉を言うとタダになるというシステムです。そのうちその合い言葉がばれてしまって、100人くらい町内の人であふれ帰ったりして。(笑)(ウチの町内は小さな町なので、人口ン十人程度です)

宴会の会場は、桑名市の元穀倉地帯(今もそうかな?)城南地区にある魚城というところです。桑名には、魚ナントカという名前の宴会ができる料理屋が多いですね。もともと魚屋さんで宴会場を持っていたということなんでしょうが、魚屋専業のところがほとんどつぶれてしまったので、宴会場の魚ナントカが目立つということなんでしょう。

実はここ魚城で先月法事のあとの宴会というか食事会を親戚の人たちと行ったばかりで、部屋も同じでした。そのときは皆さん食事してぼそぼそと話をしていただけでしたが、今日の町内宴会は途中からカラオケ大会が始まりました。私はダウランドのラクリメがカラオケにないので歌いませんでしたが、私の家内や母親をはじめ、みなさん自慢のノドを披露していました。最近はカラオケは二次会で好きな人だけというパターンが多く、こういうタイプの宴会でカラオケを聴くのは久ぶりでした。年配の方が多いので演歌ばっかりでしたが、そういや演歌を聴くのも久しぶりですねぇ。

最後は町内副会長さんのことばで締めくくり、記念写真撮影とおきまり通りに宴会が終了しました。ま、たまにはこういう宴会もいいもんです。

easyJet

2006年05月11日 09時30分05秒 | 日々のこと
easyJetという航空会社をご存じですか。ヨーロッパで就航している格安航空会社です。ここ以外にもヨーロッパにはいくつか格安航空会社がありますが、easyJetはそのはしりみたいなものだと思います。

何せ安いです。予約はネット(または電話)のみ、チケットレスで、値段は時期によって(売れ行きによって)変動します。出発直前は実はそんなに安くないのですが、2ヶ月くらい前の予約なら、バーゼルからロンドンまで確か片道数千円で行けたと思います。去年の1月頃、ちょっとロンドンへと言う感じでリュートソサエティのミーティングにのこのこ出かけたのもeasyJetあってのことです。いくらヨーロッパに住んでいてもバーゼルとロンドンはそれなりに遠いですからそうおいそれと行けるところではありませんから。

ちょうど2年くらい前にeasyJetがバーゼル空港にも就航しまして、何回かロンドンに行ったりイギリス国内を飛行機で移動したりしました。そのころはバーゼルからはロンドンとリバプールしかだめでしたが、私が日本から帰る頃はベルリンも就航していました。そういや街にでかでかと広告が出ていました。

最近久しぶりにeasyJet.comをのぞいてみましたら、びっくりしましたねぇ。バーゼルからはロンドン、リバプール、ベルリンだけじゃなく、パリもバルセロナもローマもニースも、ハンブルク、プラハ、ナポリ、マドリー、リスボン・・・イスタンブールまでも就航予定になっていて、一大拠点になっていました。今バーゼルに住んでいたら、easyJetで行きまくっているでしょうね。(笑)

格安航空会社はなかなか日本では育ちません。いろいろ障壁があったり、空港使用料が安い空港が少ない?のが原因かな。昨日の新聞で、名古屋中部・福岡間ナントカ割りで11000ってのがありましたが、確かに安いですが、easyJetは桁違いですもんね。えーい、名古屋中部・福岡間3000円だい、もってけドロボーって感じでどっかやってくれないかな。

ま、それをやると日本が誇る高速鉄道新幹線は相当打撃をうけるでしょうから、そうやすやすと格安航空会社を参入させるわけには行かない事情もあるんでしょうね。まぁせいぜいヨーロッパに行ったときにでも活用することにしましょう。

CMにリュートらしき音が・・・

2006年05月09日 21時10分59秒 | 日々のこと
ネスカフェ・プレミアムの宣伝の音楽にリュートが使われていますね、多分。ご覧になった方はいらっしゃいますか。リュートをCMに使うのは今までにも割とちょくちょくあるんですよね。

もっとも美しく使った例は、カゴメだったかどっかのパスタの宣伝で、つのだたかしさんがシチリアーナを演奏した時です。この時の反響はかなりあったようで、何でも単独でシチリアーナのシングルも出したそうです。私もそのころのコンサートで、受けようと思い(笑)よくシチリアーナを弾いたもんです。もう5,6年前かな。こういう広がり方はうれしいですね。

件のネスカフェ・プレミアムで使われている音は、ひょっとするとリュートと違うかもしれません。普通のルネサンス・リュートを一般的な三味線とすると、そのリュートらしき楽器の音は太棹の三味線って感じなんです。でも、これをリュートと言ってしまったのは、こういう音がする「リュート」を知っているからなんですね。

それはどんなリュートかというと、30年くらい前、まだ楽器があまりきちんと復元できていなかった時に、ギター奏者でも演奏できるよう作られた張りの強い弦を張った楽器なんです。それを右指は爪を使ってギターみたいなタッチで弾くと、コマーシャルの「リュート」の様な音が出ます。歴史的な構造のリュートであってもちょっと太めの弦を張って、ギターライクに弾いても同じような音はでますけどね。

CMの音楽として見た場合、その太棹リュートの方が実はインパクトがあるんですね。CMでは他との差別化が重要なファクターで、爪を立てて複弦が二段落ちするようなタッチで、太めの弦をベンベンと鳴らせば明らかにギターとは相当異なる感じがして、聴いている人には新鮮な響きがするんじゃないかな、ってCMの作曲家なら思うわけです。

でも繊細なヒストリカルなリュートなら本当はもっとインパクトがあると思うだけどなぁ。実際つのださんの演奏はすごいインパクトを与えましたから。ま、要は発信する方次第ということですけどね。

ギター協奏曲

2006年05月08日 12時09分23秒 | 音楽系
ミューズでたまたま見つけたCD、「ジュリアー二 ギター協奏曲全集」というのを買いました。(Brilliant classics 92621) 何と言っても曲目が珍しいし、CDケースの曲目のところに、ピッチが430ヘルツなんて書いてあるので、ひょっとしたら、古楽オケがバック?なんて思ったんですね。

演奏者も知らない人だし、CDそのものの評判も聞いたことのない「めずらし系輸入CD」は、実は私よく買うんです。この機会を逃すと二度と日本には輸入されないかもしれない、という強迫観念にかられるんです。(実際そうですけどね(笑))

こういう買い方の場合、いままでの経験では、大当たりの演奏もありますが、9割がたはずれです。ま、このCDも協奏曲に加えて弦楽四重奏とギターのための作品も入っているから、はずれでもコレクターズ・アイテムくらいにはなるでしょう、ってのりで買ったわけです。

で、聴いてみたんですが、これが大当たりです。オケはやはり古楽オケ、ギターもガダニーニ1812年で、ガット弦仕様、楽譜も1808年出版のものを使っているし、正統的な古楽アプローチですね。

やはりジュリアー二の時代(ベートーベンの時代でもあるんですが(笑))の編成で聴くコンチェルトは音の融和とバランスがすごくいいですね。ピアノの場合、モダンピアノとモダンオケの組み合わせでもバランスはとれるんですが、ギターの場合、モダンギターとモダンオケで、ジュリアー二の協奏曲をやったら全くバランスが取れないんですね、音質敵にもそうだし、特に音量的な面で。

つくづく音楽はその作曲された時の楽器と楽譜で演奏するのがいちばんバランスが取れて自然だということを思います。でもこの話、どうもピンと来ない、「だって名古屋フィルだってベートーベンの時代から使われているヴァイオリンを使ってるじゃん」とおっしゃる方のために、簡単に解説を。

ベートーベンの頃(ギターではジュリアー二の時代)の楽器は全て今の楽器と名前は同じでも中身は全く異なっています。そのころのヴァイオリンはいわゆるバロックヴァイオリンなんです。バロック音楽の時代じゃないけど、どうしてバロックヴァイオリンなの?とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうなんです。バッハの時代のヴァイオリンと基本的には同じです。(細かいことを言うと少し異なることもあるようですが)

当時のヴァイオリンは、今の楽器と比べると、ネックの仕込み角度がゆるく、弦はガット、駒は低く、魂柱は細く、バスバーは細く、弓は緩く持ち方も違い、アゴあては使わずに弾く、という感じです。同じのは楽器のガワだけでしょ?ヴァイオリンの場合は見ただけでは以上のことは分からないかもしれませんが、ギターの場合は、ボディの形状も異なります。ピアノも当時はフォルテ・ピアノと言って、やはり今のピアノとは形状(大きさも)、音色、音量とも全く異なります。

いわゆる古楽復興は70年代のオランダ、スイス、イギリスを中心に始まりましたが、現在ではバロックのアンサンブルをモダンの楽器で演奏するのは少数派になってしまいました。古典派の音楽もホグウッドのアカデミー・オブ・エインシャント・ミュージックとかブリュッヘンの18世紀オーケストラをはしりに、結構古楽オケで演奏されるようになってきました。もうコープマンが自分のオケをつれてきてコンサートをしても、聴衆は古楽オケを聴きに行くって感じじゃないですからね。時代も変わってきたもんです。

世の中がこういう風に変わって行っても、ジュリアー二のギター協奏曲をオリジナル編成で(ロマンティックギターと古楽オケ)というのはなかなか現れませんでした。なにせマイナーな世界ですから、(笑)録音そのものがないんですよね。でもそのうち誰かが出るんじゃないかとは思っていましたが、思わぬときに発見したわけです。

ソリストは、クラウディオ・マッカーリ(第1、第2協奏曲)とパオロ・プグリーゼ(第3協奏曲とギターカルテット)。ウェブで検索してみましたら、彼らは自分たちのサイトを持っていました。これによりますと、今年3月にホピーのKlassenstundeに来てセミナーをしているんですね。うーん、もう1年長くバーゼルにいたら彼らに会えたわけですねぇ。

ホピーはこのジュリアー二のコンチェルト集にCDに対して次のような賛辞の言葉を贈っています。

「このCDは美しい。オケの色彩も、テンポ+ジェスチャーも、そして正確さと詩情にあふれたギタープレイも。おめでとう。」

彼らの経歴にはナントカというギタリストに師事したというのは全然書かれていません。本当にギタリストには師事していないのか、書きたくなかったのはわかりませんが、何となく彼らのスタンスを表しているような感じはします。彼らの演奏はいわゆるギターなまりは全くなく、古楽の専門家やモダン楽器の専門家が聴いて高い評価を与えることができる演奏だと思います。ジュリアー二のコンチェルトの魅力を最大限引き出した演奏として推薦です。もう1組ミューズに残っていましたよ。(笑)

ロバのパン

2006年05月07日 18時59分16秒 | 日々のこと
ロバのパンって聞いて、子供の頃の回想シーンが出てきて懐かしくなる方は、ある程度以上の年齢の方でしょうね。

家内と近場ツアーの途中、住宅展示に寄りましたら、あの懐かしいロバのパン屋さんがありました。(ツアーと言っても、自転車で市内をうろうろしていただけですけどね(笑))昔はいろいろなおじさんやおばさんがお菓子を売りに街角に来ていました。よく来たのは、「ピー焼き」といって、小麦粉、卵、砂糖などを溶いたものを鉄製の型に入れて焼いたお菓子を売るおじいさんでした。私たちは「ピーピー焼き」って言ってましたけどね。

ピーピー焼きはいつも来ていたので、あんまりありがたいものとは思わなかったんですが、(それでも結構買って食べていました)ロバのパン屋さんはめったに来ないレアものでした。そのレアものが、なんと住宅展示場にありました。あの懐かしいメロディとともに・・・途中でリタルダンドしてフェルマータがあるのも昔のまま(笑)

即、大人買いです。何せ、子供の頃とは雲泥の経済力がありますから。(笑)40何年ぶりに食べたロバのパンですが、懐かしいですね。もう味そのものは忘れていますが、パン生地とチョコレートクリームのとろりとした感触は昔のままでした。それにしても味は意外に淡泊な感じでした。昔のものってそんなもんだったかもしれませんね。

ロバのパン屋さんにどこから来たのか聞きましたら、四日市の郊外からとのこと。お店は出していなく、軽自動車の店で移動しながら販売しているそうです。ということは探して買うのが大変そう。そういうと、毎週の土曜日の午後は桑名市の深谷というところにいつもいる由。何でもお得意さんがいるので、いつも土曜日に届けがてらそのあたりで商売するそうな。やりましたね、重要情報ゲットです。もし桑名近在にお住まいの方でロバのパンを食べたいという方は土曜日の午後に桑名市の深谷(258号線の高架のあたりだそうです)にゴーです。


まだガット弦

2006年05月06日 11時16分04秒 | 音楽系
もうナイロン弦にすっかり慣れてしまいましたが、まだガット弦の探求は続く。(笑)
CDではガット弦を使っている人はちょくちょくあります。ホピーも録音には結構ガットを使うようだし、彼はライブにも使っていた時期があった、って言っていました。

オリジナル楽器に Gamut 社のガット弦という組み合わせの録音もありますが、バス弦の音は全く魅力がありません。他になかったかなって記憶をたどってみましたが、ありました。リンドベルイがバッハを録音したときに確かガットを使っていました。この録音はすごく綺麗な音だったとの印象がありましたが、改めて聴き直してみたら、やはりトレブルもバスもすごく魅力的な音です。

ライナーノートに、特性のガットを使って録音した旨が書いてあったのを思い出しました。そのガット弦を使ったのでバス弦を消音する必要がほとんどなくなった、なんて確か書いてありました。

件のCDを取り出して、解説を読みましたが、ガット弦に関する記述はなし。あれっ?ひょっとしてガット弦のことについては別のところで読んだのかもしれません。解説には、使用したガット弦のことに書いてありました。ガット弦の名前がcorde appesantite、製作者は Peruffo Mimmo。このPeruffo Mimmoはアキーラの人ですね。いつもこの人にメイルして弦を買ってますから。(笑)

さっそく彼にリンドベルイの録音に使ったガット弦のことについて質問。アキーラのサイトにはローデド・ガット(Type C)という弦がリストアップされていたので、これと corde appesantite は同じものかどうか聞いてみました。

返事はすぐ来ました。corde appesantite と Type C は同じものである由。ほー、それはすばらしい、ぜひ購入を・・・と思って続きをよみましたら、「不具合品がでることが多く作るのが難しいので、今は製造していない」とありました。実に残念。この音なら使ってみる気になったのに。で、「リストにアドヴァイスが書いてあるからそれを見よ」とありましたので、見てみますと、在庫のある店が書いてありました。

そこはロンドンのBridgewood & Neitzertというところで、在庫数も書いてありました。あと1本というのもいくつかあります。この情報が最新とは限らないのでもうないかも知れません。うーん、これはさっそく連絡して購入ですね。ガット弦の旅はまだまだ続く。


クワナ・ツアー

2006年05月04日 12時29分27秒 | ローカルネタ
昨日は家内と一緒に桑名歴史ツアーをしました。桑名市在住のmamekichiさんのブログにある散歩写真と伊藤通敏さんのサイト桑名歴史案内参考にして、ツアーコースを組んでみました。前日に印刷して冊子を2部制作。こういうときに印刷の速いOKIのプリンタはいいですねぇ。

我が家からまず西に200mくらい行きまして、左折して旧東海道の火の見櫓があるところを出発点にしました。矢田立場の道しるべがあるところです。ここに来た瞬間に気持ちを入れ替えて、歴史のある観光都市クワナに来たんだと意識することが大切です。ここから桑名城まで約2キロ(かな?)歩くわけです。しばらく歩くと旧家竹内家の建物が見えます。昔風の連子格子があり、その下方には馬をつなぐ鉄製の輪があります。それらをひとしきり家内に説明しましたが、ここはいつも通るところだとか、すぐ向こうが我が家だよな、なんてことは決して考えてはなりません。ここは歴史のある観光都市クワナです。

東海道筋の神社仏閣や道しるべなどを見て回ったんですが、丹念に調べて回ると結構なものがあります。さすが歴史のまちクワナです。見モノを以下にまとめてみました。

松尾芭蕉の句碑(本願寺跡、本統寺)
桑名の千羽鶴を創作したお坊さんがいたお寺(長圓寺)
狩野光信の墓(壽量寺)
沼波弄山(萬古焼きの開祖)の墓(光徳寺)
森陳明(戊辰戦争で負けの責任を取って自害した桑名藩士)の墓(十念寺)
敵の侵入を防ぐための枡形道路(生活道路として現存しています)
山口誓子の句碑(春日神社、住吉神社)
桑名城取り壊しの際移築した櫓の石組み(本統寺)
大阪の実業家広瀬清一氏寄贈の親鸞聖人銅像(本統寺)(これは同じ物が京都、東京、新潟、大阪、広島にあり、広島にあったものは被爆して焼けただれたものが現在ニューヨークにあるそうです)
桑名城跡(現在は九華公園)に残る石組み
桑名城のオリジナルの堀(石組みが当時のもの)
松平定信公のお宝を納めた宝物館(鎮国守国神社)(年に2日のみ公開!)

ネ、なかなかのものでしょ?全国区のものがずらり。(笑)

お昼は伝統的なうどんや「かね宇」でうどん定食。だしを丹念にとってあり丁寧な作りのうどんです。今のうどんチェーンの店とは比較にならない、古きよき時代の日本の味ですねぇ。うまかった。(笑)

鎮国守国神社の大祭日がうまいぐあいに5月2,3日だったので、この日は金魚祭りというお祭りがあり、九華公園は大にぎわい。ええ、ホントは子供の頃からそういうのはよく知っているんですけどね。今歩いているのは歴史観光文化都市クワナですから、過去のことは思い出さないように。(笑)

年に2日のみ(5月2,3日)一般公開される宝物館は圧巻でしたね。く、クワナにこれだけのお宝が死蔵いえ秘蔵されていたとは!すばらしい出来の琵琶が一面ありましたし、なんと火薬をつめて飛ばすロケットや天球儀など工学系のお宝(定信公が考案されたらしい)までありビックリ。この宝物館は昭和8年(1933年)に建てられたそうですが、1945年の大地震、同年の大空襲、伊勢湾台風の水害を全てくぐりぬけてきた強運の建造物です。よくぞこれだけ残ったと言う感じですが、残念ながらこの価値ある収蔵物(建物自体もすでに歴史的価値がありますが)のことを知る桑名の人は非常に少なく(そりゃそうでしょう、年に2日しか見る機会がないんですから(笑))、専門家がきちんと調査して誰でも見られるようにしてほしいものです。でもそれには目利きのパトロンが必要なんですよねぇ・・・

ガット弦は

2006年05月02日 12時24分21秒 | 音楽系
VISAカードの利用代金明細書が来て、見ていましたら、ガット弦の代金がでていました。うーん、6万を超えていました。ガット弦お遊び、高くつきます。(笑)

コンサートでの実用性がまだ見えないので、結局元の合成樹脂弦ソリューションに戻しました。コンサートで(あるいはコンサートの前に)使えなくなるという不安を持って楽器を弾くのは何かすっきりしません。

でも、まだどこかに突破口があるような気がして、またそのうちやってみたいです。ただ人前で弾くことが多くなってくると、そうそうは実験をしているわけにはいかないところがつらいところです。

ガット弦をリュートで使うというと、言葉で言うと単純ですが、実際はなかなか大変なことが多いです。何が一番問題かというと、「リュート用のガット弦ください」って感じで買うことができないんですね。

そもそもガット弦自体まだ発展途上で、例えばK社のリュートに使えるガット弦でセットを組んでも、低音用の巻き弦は棒振動状態で使い物になりません。たとえ、それが昔の弦の製法で、当時はそういう音がなっていたと推測されるようなものであったとしても、それは現代の聴衆には全くアピールしません。

では、べつのG社の巻き弦はどうか、ということになり、お金をかけて試していくわけです。プレーンガットに関しても同様で、A社は音程が悪いのが多いからK社のはどうかとか、調べていくと、恐ろしく時間と費用がかかるわけです。しかも弦を交換してしばらくはあまり練習ができないのです。

それでは、興味のある方のために(あまりいないでしょうけど)、実験のまとめをしてみましょう。

1.1~3コースはより細い弦を張る、(1コース0.36、2コース0.42)というコンセプトは弦の持ちという点からは○。細くなるので切れやすくなると思われがちですが、細くなると張力も減るので意外と切れにくくなる。ただ、1,2コースのピークパワーがもう少しほしいところ。それをのぞけば、音に関してはあらゆる点でナイロンを凌ぐ。ピークのパワーを上げるために、0.40を1コースに使うとどうなんでしょうねぇ。これはすでに使っている人の報告ではあまりもたないらしいんですが。そもそもその話を聞いているので、「より細く、より弱く」をやったんですね。

2.3~5コースは実用的に全く問題ありません。音色的も耐久的にも使えます。

3.巻き弦(K社のVDタイプ)で使えるのはせいぜい8コースあたりまででそれ以下の低い音はポコポコで低音として響いてくれません。これは大きな課題ですね。あとG社も巻き弦を出していますがまだ試していません。

4.オクターブ弦で使うガットは非常に良好です。

ということで、まさに人柱状態ですが、今度は予備に使っているドイツテオルボで実験を継続してきたいと思います。

天皇と敬語

2006年05月01日 11時50分30秒 | 日々のこと
春の園遊会が先頃ありましたね。女優の木村佳乃さんや聖ルカ病院の日野原重明さんなど各界の著名人が招待されました。園遊会では天皇が主だった人に声をかけられるわけですが、あれって一人一人きちんと相手の業績などを考えてことばかけするのって結構シンドそうです。天皇という仕事も端から見ているよりはずっと大変そうです。

昭和天皇も同じように声かけをされていましたが、相手が返事をしたときの受け答えは「あ、そう」って感じで、割と素っ気ない感じがしましたが、天皇なのでそれは全く構わないんでしょうね。天皇が、「ああ、そうでございましたか」なんていかにも変な感じですから。(笑)

日本語の縦社会的言葉遣いからすると、天皇は誰に対しても敬語を使う必要はない感じもします。けど昭和天皇は、相手に問いかけるときには、尊敬語は使いませんでしたが丁寧語をつかい、例えば「この間はいい演奏をしましたね。リュートは弦が多くて大変でしょう」みたいな感じでおっしゃってましたね。場合によっては丁寧語もなかったように記憶しています。

新聞の報道で気が付いたんですが、今上天皇は、先の園遊会で、日野原重明さんに「医療のためにずいぶん長く努められましたね」とおっしゃったそうです。昭和天皇だと「医療のためにずいぶん長く努めましたね」とか「・・・・努めたね」になっていたと思います。このあたりにも天皇自身が天皇と国民のありかたを模索されているということを垣間見ることができるように思います。このことはささいなことではありますけど、確実に時代が変わってきているんだなと思ったりします。