禿山

2007年04月20日 | 信州の木材
 昨夜のNHKのクローズアップ現代を見た。熊本の荒廃した山はインパクトがあった。全国杉や桧が多いが長野は唐松である。戦後荒廃した山を植林した。間伐の時期を経ていよいよ本格的な伐期をむかえつつある。

 長い間外材のために日本の山は苦しんできた。植林をした以上手をいれていかねばならない。たくさんの税が投入されただろう。それでも8割の切捨てで2割しか市場にでてこないのが現状だった。コストをかければ出ててはくるだろうが、外材との競争にならないからだ。

 1本でも多く市場にのせる事が、植林をしてくれた先人達に報いること。
山に携わる人はみなそう思っていたに違いない。

 かって1年に2ケ月ロシア材の入りが悪いと、我が社の不良在庫(別に物が悪いわけではない、外材と競合するから)が無くなったものだった。

 国も県も民間もここ何十年と苦しんできた。間伐の時期なら山に切捨てでもいいが、伐期がきたものをそのまま切捨てにはしておけない。
地域材を使おうと、行政が補助金という重い重い腰をあげた。
公共事業、箱物は少なくなったとはいえ地域材を使うというのは業界にとっても大きな活路になった。

 さらにの追い風は京都議定書。国有林が今その予算を使って材が出はじめた。
そして昨夜のテレビである。外材が入りにくくなった。
日本という国ほど材木をムダに使う国はないと思う。住宅の耐用年数をみてほしい。ローンの終わりが建替えではないか。

 中国、インド、中東と木材を輸入する国が増えた。今まで世界の木材を好きにいれられた時代は終わった。ロシア材にしても、米材関係にしても、一旦中国に入って、そこで加工されて日本に入る。当初の製品は見られたものではないという感があったが今は3段飛びの飛躍である。

 さらに為替や(ドルだけの問題ではない)関税もからんで下がる要素はない。

 国産材は乾燥が出来ていない旨の話があった。外材だってすべてが乾燥材という訳ではない。その比率は増えてきているが。

 木材は節だ目だ以前に乾燥であるというのが材木を扱ってきた当社のポリシーである。乾燥材がようやく出回るようになったのが8年前、それ以後乾燥材に切り替えた。

 なぜ国産材の乾燥が遅れているかは、市場が育ててこれなかったからである。
乾燥技術は意外とむずかしいのである。当社も20年前に乾燥機を2基いれたが
稼動の期間は短かった。
 唐松に関しては高温乾燥という技術が県林業センターの吉田さんの開発で唐松の用途の拡大がすすんだと思っている。

 すべてが国産材に変換することは、不可能である。たちまちに禿山になるだろう。木材循環は少なくとも60年、それを30年足らずで建替えすることは成り立たなくなるだろう。そして長い間おなざりにしてきた付けは大きい。今みんなが国産材を使いますといっても、供給体制が追いつかないだろう。10年前にこの事象がおきていたなら、業界も元気があつただろうにと思うが。さらに長野県でいえば山に大きな木はそんなに無い。

 資源の有効利用を考えるなら、集成材という方向にいかねばなるまいと思う。
これなら木を無駄なく効率よく使える。日本の山を守るなら、地球環境を考えるなら、否応無しにその時代に突入するのではないか。

 木材循環に見合う家をたてること。これは貸家を含めてだ。
地球環境守るために是非考えて欲しい。あの禿山を見るのはつらい。
植林と下草刈りが経費がかかるのでそのままにされてしまうのだ。
連休に近くの山を登って見てほしい。・・・山菜もあるかもしれない。
                            美恵子

 
コメント
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