院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

獣医師の権限

2011-06-10 13:41:16 | Weblog
 昨日、医師、歯科医師、薬剤師の権限について述べたので、今日は獣医師の権限について述べよう。(内容は 2007-06-28 に書いたことと同じである。)

 私はかねがね獣医師の業務について疑問をもっていた。人間はニワトリを平気で殺す。昔はお祝い事のときなどに、飼っていたニワトリを食べるのは普通のことだった。(これを、ニワトリをツブすと言った。)動物を殺しても罪にはならない。他人の動物の場合、せいぜい器物損壊くらいにしかならない。

 このように殺してもよいような動物の診療とはなんだろうか?殺すのではなく逆に治療するのに免許が必要なのだろうか?獣医師の権限に疑問をもったのは、この辺りのことからである。

 そこで厚生労働省に電話で聞いてみた。そうしたら獣医師の管轄は農林水産省だというので、農林水産省に聞いてみた。

 農林水産省の係の人は、獣医師法代17条に「飼育動物の診療は獣医師に限る」とあると教えてくれた。

 私は獣医師はレントゲンを取り扱えるのかも聞いた。答えは「取り扱える」だった。人体に対してレントゲンを取り扱えるのは医師と歯科医師だけである。レントゲン技師も医師の指示がなければ人体にレントゲンは使えない。

 人体でなければ別に免許がなくてもレントゲンが使えるから、獣医師がレントゲンを使用できても別に不思議ではない。

 話は横道のようだが、採血は医師と看護師と臨床検査技師にしかできない。後2者については医師の指示が必要である。このように業務を行うのに資格が必要なこと、すなわち運転免許のような資格を「業務独占」という。

 一方、お婆さんが近所の子供を集めて保育することは許されている。料金を取ってもよい。しかし、保育士と名乗ってはいけない。つまり、保育士のする業務は、無免許の者がやってもよいが、保育士であると言ってはいけないのだ。だから、保育士の免許(資格)を「名称独占」という。

 獣医師がやることで、資格がなければできないようなことは何一つないような気がした。そこで、農林水産省の人にさらに聞いてみた。「獣医師は業務独占なのですか?名称独占なのですか?」と。

 係の人は質問の意味が分からなかった。説明しても理解してもらえなかった。男性だったが、丁寧に応対してくれて、真摯に考えてくれたので、私はお礼を述べて電話を切った。

 だから私は、未だに獣医師の権限について知らない。そしてもっと大きな疑問、すなわち主に家畜の診療を習ってきた獣医師にペットのイグアナの診療ができるのだろうか?