院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

うつ病と躁うつ病の鑑別

2013-09-05 04:00:44 | 医療
 昔から、うつ病のうつ状態と躁うつ病(双極性障害)のうつ病相が同じものかどうか、議論になっていた。

 躁うつ病の発病は普通うつ病相でもって始まる。だから、発病初期にはその患者がうつ病なのか躁うつ病なのかが鑑別できなかった。

 そもそも、すべてのうつ病は結局のところ躁うつ病であり、単極性のうつ病と思われていた患者も、人間の寿命が十分に長ければ、いずれ躁病相が発現するはずだという意見もあった。

 私の経験でも、初め単極性のうつ病だと考えていた患者さんが、10年以上たってから初めて躁病相を呈して、ようやく躁うつ病だと分かった例が2,3例に留まらない。

 現在では、うつ病と躁うつ病は別の疾患だということで、統一されるようになった。両者では治療法が違う。躁うつ病のうつ病相に対しては、抗うつ薬が単極性のうつ病ほどには効かない。さらに、躁うつ病者に抗うつ薬を用いると、しばしば躁病相を惹起する。これを「躁転」という。

 だが、これまでのところ病初期のうつ状態から、それが単極性のうつ病かはたまた躁うつ病かの鑑別はできなかった。

 ところが近年、我が国の日立製作所が光トポグラフィーという装置を発明して、これによって病初期から、うつ病と躁うつ病の鑑別ができるという研究結果が出てきた。現在、臨床研究が進行中である。(だが、10年後の躁転を予測できるかどうかは、10年たってみないと証明できない。)


先進医療NETより引用。)

 この装置は遠赤外線によって脳内血流量の分布を測定するものである。