院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

ステロタイプな漫画批判

2013-09-27 04:59:57 | 漫画


 また新聞の投書欄ネタで恐縮である。

 きのうの中日新聞愛知県版に中学生の女の子の投書が載っていた。「マンガだけで学ぶのは問題」という見出しで、「(マンガが図書館に置かれているが、それが悪い点の一つは)マンガに慣れてしまうと小説に抵抗を感じてしまうことです」とある。要するにマンガは読みやすいが、文字だけの小説も読みましょうという趣旨だ。

 私は50年前にまったく同じ言葉を大人から聞いた。そのころ「トキワ荘」には、映画と同じくらいに影響力がある物語が、たった一人で紙とペンだけで造れると気づいた人たちが集まっていた。だが、50年後にマンガが世界各国語に翻訳されて輸出されるようになるとは、当時誰も思っていなかった。

 実はもっと以前(大正時代)には、猿飛佐助や霧隠才蔵を生み出した立川文庫に少年たちが夢中になった。しかし、立川文庫は大人たちには好まれなかった。それはまさに小説だったのに。

 投書の女の子は高校受験を控えている。入試は文字で行われるから、文字情報のほうが重要だと考えても無理はない。でも、投書のような立派な文章を書く利発な子である。あと数年すれば、日本語以外の言葉の大切さや、数学的記述の重要性も理解できるだろう。

 さらにもっと成長すれば、一流のマンガ家が、へたな小説家や学者よりよっぽど凄いことが分かると思う。