私はつい先日までボランティアという存在を高くは評価していなかった。所詮ひま人の自己満足だと思っていた。
むかし勤めていた病院にもボランティアはいた。彼ら彼女らは一目でボランティアと分かる大きなバッジをつけて、患者さんの車いすを駐車場から診察室まで運んでくれたが、便所掃除をしてくれる人はいなかった。
私が「もしかしたら、これは本当のボランティアかもしれない」と思ったのは、新潟県のタンカー座礁事件に大勢のボランティアが重油の片づけに集まったときだった。でもまだ半信半疑だった。
このほど、各地の台風禍に片づけのボランティアが来ているのを見た。その中に大学生の一団があった。彼らは「ボランティア部」とも言うべきサークルを作っていて、片づけの方法や隊の統率などを訓練しているらしい。これはまさに「野球部」とか「水泳部」というのと同じではないか!
すでに90の大学に「ボランティア部」があるという。彼らはどうも本物のようだ。このような若者が育ってきた日本を、私はいい国だと思う。