(宇沢弘文名誉教授。時事ドットコムより引用。)
私は経済学に詳しい者ではありませんが、経済学に対する私なりのイメージは次のようなものです。
つまり、人間が都市なり国なりある程度の大規模集団を形成しているとき、その中で強欲や普通の欲や無欲が貨幣の類を介してぶつかり合った場合に、その集団はどのような挙動をするか?を研究するのが経済学ではないでしょうか?
要するに経済学は、集団心理学や、(集団内における)人間行動学の一種として捉えることができます。人類が定住して農耕生活を始めてから、人類は大規模集団を成すことが可能となりました。貨幣の類も発明されました。経済学の研究対象はそのようにしてできた大規模集団や貨幣の類です。つまり、文明の所産が研究対象となっています。
ところで上の写真の経済学者、宇沢弘文氏が逝去されたのをきっかけに、NHKの番組「クローズアップ現代」でその人物や業績が放送されたので、宇沢氏は初めて私の知るところとなりました。
宇沢氏は机上で経済を論ずるにとどまらす、水俣病、自動車問題、地球温暖化などにも積極的にかかわり、尊敬を集めていたそうです。氏がジョギングで通勤していた映像が流され、自動車を否定していたからだと解説がありましたが本当でしょうか?氏はただ健康のためにジョギングしていただけではないでしょうか?
なぜなら、自動車を否定するなら飛行機も否定しなくてはならないからです。宇沢氏はアメリカの大学教授もしていたそうですが、まさか太平洋を丸木舟で渡ったわけではないでしょう。
宇沢氏は学者でありながら、水俣病その他にかかわったことも高く評価されているそうです。しかし、マスコミネタに関与したのは経済学者としてではなく、良心的な一個人としてではないでしょうか?
というのは、経済学の研究対象である大規模集団や貨幣の類は、上に述べたようにすでに文明の所産だからです。文明に根拠を置く存在をアプリオリに研究対象に据えた経済学という学問の側からは、文明批評は不可能ではないかと私は思うのです。