観光国際都市部や産業交流担当課の新設は、羽田空港跡地に関る開発を積極的に取り組もうということに関係しているだろう。
羽田空港跡地の開発は、東京都が国家戦略特区に申請しているが、認定されれば、区域の決定や方針の決定は、内閣総理大臣ほか総理の任命した民間議員で構成される国家戦略諮問会議や国家戦略特別区域会議にゆだね」られることになる。
こうした意思決定のしくみは、特区を提案した竹中平蔵氏から「ミニ独立政府」とまで称されている。
現在、アジアヘッドクオータ-特区の協議は、アジアヘッドクオーター特区地域協議会 で行われているが、国家戦略特区に指定された場合の、区域会議の構成員は、同じような構成になるだろうか。
構成員の1/2以上を民間議員にしなければならない国家戦略特区諮問会議。しばりはないものの、1/2以上が民間で構成されているアジアヘッドクオーター特区地域協議会。
総理主導と言われる国家戦略特区だが、一方で、ミニ独立政府と呼ばれているゆえんは、諮問会議、区域会議による、民間企業など規制緩和を求める当事者の意見を反映させるしくみを作っているからだろう。
法例を遵守しなければならない大田区自らが、区内に担当課を作り、積極的にかかわろうとしている。どのような立場で関わっていくのか非常に興味深い。
私は、この特区をタックス(租税)ヘイブン(避難地)にちなみ、「コンプライアンス(法令遵守)ヘイブン(避難地)」「デモクラシー(民主主義)ヘイブン(避難地)」と名付けているのだが、これは、私だけでなく、国家戦略特区を提案した竹中平蔵氏も指摘していることだ。
(JCER1月8日 「国家戦略特区をどう活かすか①」 「法律論上は難しい点を含んでいる」 )
企業がグローバル化し、日本も経済的収束期(この収束という言葉は、2002年通商白書より)に入っている状況において、企業の利益と国民の利益は必ずしも完全には一致しない。
経済的収束期に入っているうえ、高齢化により労働人口が減っていてGDPは増えにくく、GDPというパイの取り合いになっているのだから当然だ。
ちょっと経済の教科書的に、
GDP=賃金(給与所得者)+利息(投資家)+地代(地主)+株主配当(株主)+税(政府→国民へ還元)
給与所得者、株主、投資家、地主を区民に抱える大田区が、その70万区民を代表し、観光国際都市部や産業交流担当課をつくり、何を行っていこうとしていくのか注目していきたい。
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