(1)科学の世界は「現在」を否定するのに古い理論、論理を持ち出すことはまずあり得ずに、より先の未来世界に向けた先端的科学技術論の完成度で推し量るのが常だが、極めて建設的であり創造的だ。
これが政治の世界になると趣(おもむき)は違ってくる。現在を否定するのに「昔はよかった」の過去への郷愁が支配して、回帰志向が強くなる。
壮大な政治、経済、平和の融合(union)としてのEUは域内の政治、経済の格差拡大問題がEU全体の財政、金融不安を招いて相互不信が続いて、混乱に乗じてネオナチ運動など全体主義思想、政治勢力が台頭してきている。
(2)人とモノ、経済の自由な往来を基本理念とするEUに対して、域内の財政、金融不安を抱える国の支援、援助には一線を画して自国の利益、権利優先を主張するわかりやすい理念の保護主義的思考が復活してきて国民的支持も集めている。
米国大統領選での反移民政策を掲げるトランプ候補が比較高い支持を集めているのと共通する風潮だ。
(3)日本でも安倍官邸一強、主導政治が続く中で、最近目につくのが田中角栄待望論やかっての自民党保守本流の流れをくむ池田勇人、大平正芳政治への回帰論だ。
田中的利権政治への批判先鋒だった前東京都知事の石原慎太郎さんが政界引退後の最近になって田中角栄待望論本を発表して驚かせた。
ともに共通するのが今の安倍政治が米国追随一辺倒なのに対して、日本の高度経済成長を背景にして米国と堂々と渡り合った時代の日本政治、政治家への郷愁が見られる。
(4)もうひとり最近の書刊本で小泉純一郎さんがとりあげられている。自民党内で反主流派議員として活動して、当時の政権、党運営方針に対して歯に衣(きぬ)着せぬ言動で国民的人気も高く、自民党総裁選が一般党員の投票参加が認められた有利な展開の中で(議員の支持は比較低かったが)、「自民党をぶっ壊す」と宣言して高い国民的人気のまま総裁に選ばれて首相に就任して6年以上の長期政権を担(にな)った。
(5)その小泉さんが最近の書刊本紹介の中で「自民党は総理に何を言おうが自由だった」と述懐している。安倍官邸主導政治の今の与党自民党は安倍首相、官邸に対して「モノ」が言えない風潮があるといわれて、かっての小泉純一郎さんのように政権運営、党執行部に直言するものが見当たらない、「モノ」を言えばただ外されると風に流される政治状況だ。
国民までもが安倍政権の重要政治課題にことごとく過半数が反対(世論調査)しながら、経済回復基調の中で安倍内閣支持率は比較安定しているという小市民的国民(the petite bourgeoisie)性の従順ぶりだ。
(6)今の政治に小泉純一郎さんのような存在があれば国民的人気、注目度も高くて、政治状況を変えたのではないのかとのこれも待望論(expectancy theory)のひとつになってしまうのだ。
小泉政治は「自民党をぶっ壊す」と宣言して自論の郵政民営化につながる解散総選挙で大勝して、本当に旧来の自民党をぶっ壊してしまった有言実行が印象に強いが、推進した行財政改革政治は中座してその郵政民営化3事業分轄もその後の自民党政権の中で非効率性が噴出して、数年で元のもくあみにおさまってしまった。
(7)小泉政治の成果は、結局のところ09年の民主党による本格的政権交代への道を開いたことだが、そういう意味でも小泉型政治かかわり待望論は今の政治状況に必要なのかもしれないが。
その小泉元首相につかえて幹事長にとりあげられて今の安倍首相があるのだが、その安倍官邸主導政治が与党自民党内に「モノ」言えぬ風潮をつくり出しているのも皮肉な結果だ。
(8)ともに国民的人気、支持の高い小泉「首相」主導政治と安倍「官邸」主導政治との手法の違いだ。ただ政治にしても待望論からくる回帰調は「昔はよかった」の自己陶酔、満足型であり、今の政治状況を変えるダイナミズム(dynamism)にはなりえない。
こういう述べてきた政治風潮が注目されるのは閉そく感の証明であり、これを変える「何かあたらしい価値観」政治の出現こそが待望されているのだ。
これが政治の世界になると趣(おもむき)は違ってくる。現在を否定するのに「昔はよかった」の過去への郷愁が支配して、回帰志向が強くなる。
壮大な政治、経済、平和の融合(union)としてのEUは域内の政治、経済の格差拡大問題がEU全体の財政、金融不安を招いて相互不信が続いて、混乱に乗じてネオナチ運動など全体主義思想、政治勢力が台頭してきている。
(2)人とモノ、経済の自由な往来を基本理念とするEUに対して、域内の財政、金融不安を抱える国の支援、援助には一線を画して自国の利益、権利優先を主張するわかりやすい理念の保護主義的思考が復活してきて国民的支持も集めている。
米国大統領選での反移民政策を掲げるトランプ候補が比較高い支持を集めているのと共通する風潮だ。
(3)日本でも安倍官邸一強、主導政治が続く中で、最近目につくのが田中角栄待望論やかっての自民党保守本流の流れをくむ池田勇人、大平正芳政治への回帰論だ。
田中的利権政治への批判先鋒だった前東京都知事の石原慎太郎さんが政界引退後の最近になって田中角栄待望論本を発表して驚かせた。
ともに共通するのが今の安倍政治が米国追随一辺倒なのに対して、日本の高度経済成長を背景にして米国と堂々と渡り合った時代の日本政治、政治家への郷愁が見られる。
(4)もうひとり最近の書刊本で小泉純一郎さんがとりあげられている。自民党内で反主流派議員として活動して、当時の政権、党運営方針に対して歯に衣(きぬ)着せぬ言動で国民的人気も高く、自民党総裁選が一般党員の投票参加が認められた有利な展開の中で(議員の支持は比較低かったが)、「自民党をぶっ壊す」と宣言して高い国民的人気のまま総裁に選ばれて首相に就任して6年以上の長期政権を担(にな)った。
(5)その小泉さんが最近の書刊本紹介の中で「自民党は総理に何を言おうが自由だった」と述懐している。安倍官邸主導政治の今の与党自民党は安倍首相、官邸に対して「モノ」が言えない風潮があるといわれて、かっての小泉純一郎さんのように政権運営、党執行部に直言するものが見当たらない、「モノ」を言えばただ外されると風に流される政治状況だ。
国民までもが安倍政権の重要政治課題にことごとく過半数が反対(世論調査)しながら、経済回復基調の中で安倍内閣支持率は比較安定しているという小市民的国民(the petite bourgeoisie)性の従順ぶりだ。
(6)今の政治に小泉純一郎さんのような存在があれば国民的人気、注目度も高くて、政治状況を変えたのではないのかとのこれも待望論(expectancy theory)のひとつになってしまうのだ。
小泉政治は「自民党をぶっ壊す」と宣言して自論の郵政民営化につながる解散総選挙で大勝して、本当に旧来の自民党をぶっ壊してしまった有言実行が印象に強いが、推進した行財政改革政治は中座してその郵政民営化3事業分轄もその後の自民党政権の中で非効率性が噴出して、数年で元のもくあみにおさまってしまった。
(7)小泉政治の成果は、結局のところ09年の民主党による本格的政権交代への道を開いたことだが、そういう意味でも小泉型政治かかわり待望論は今の政治状況に必要なのかもしれないが。
その小泉元首相につかえて幹事長にとりあげられて今の安倍首相があるのだが、その安倍官邸主導政治が与党自民党内に「モノ」言えぬ風潮をつくり出しているのも皮肉な結果だ。
(8)ともに国民的人気、支持の高い小泉「首相」主導政治と安倍「官邸」主導政治との手法の違いだ。ただ政治にしても待望論からくる回帰調は「昔はよかった」の自己陶酔、満足型であり、今の政治状況を変えるダイナミズム(dynamism)にはなりえない。
こういう述べてきた政治風潮が注目されるのは閉そく感の証明であり、これを変える「何かあたらしい価値観」政治の出現こそが待望されているのだ。