いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

正義の論理。 logic of justice

2018-05-16 20:34:52 | 日記
 (1)大本山薬師寺(奈良)の菅主(71)が「宗教者として不適切な女性関係について取材を受けた」(報道)として辞任した。
 宗教といえばわかりやすく解釈すれば、他人を許し、自己に厳しい修練、修行の世界と理解している正義の論理だが、千日行などの不眠不休の自己鍛練で自己精神、肉体を極上までに高めて神格化するものだが、認められて大本山薬師寺の最高責任者の菅主に就きながらそれでも煩悩は絶ち切れなかったようだ。

 世も末だ。

 (2)14日には、米国がかねてからの主張の在イスラエル大使館をイスラエルが実効支配するエルサレムに移転して、これに反発するパレスチナ人民がパレスチナ自治区のガザ市で抗議デモをし多数の死傷者が出ている。

 再びかってのイスラエル占領軍とパレスチナ人民の血で血を争う対立構造が再燃して、中東に戦火の拡大が押し寄せている。

 (3)エルサレムはイスラム、ユダヤ、キリスト教がともに聖地として位置付けて、自国のないパレスチナ人民が将来の国家首都と位置付ける特別な場所であり、複雑に入り組んだ歴史、構図は解決策のない迷路だ。

 さしずめ韓国と北朝鮮の軍事境界線地帯のような緩衝地帯の役割の場所でもあるのだろうが、イスラエルが占拠して中東紛争の火種となっている。

 (4)中東戦争は米国の石油利権の獲得進出、イスラム教(イラン)とキリスト教(米国)の宗教戦争でもある。宗教が世界平和にどう貢献できるのか、そもそも唯一絶対主義(教祖、経典の唯一絶対性)の排他的な世界であるだけに自説を説いても無力感はある。

 米国オバマ前政権はイスラエルに自重を求める中東和平路線を唱えて、パレスチナ側の過激な行動を押さえて一定の安定した状況をつくり出す役割も示してきたが、全米で影響力の大きい「イスラエル・ロビー」勢力の支援を受けてイスラエル支援を全面に出すトランプ政権はエルサレムをイスラエル首都と容認して、今回在イスラエル大使館をエルサレムに移転した。

 (5)宗教が政争の具に使われて、出口のない中東の火種をあおり、再び激化することになった。
 日本はインドからアジア、中国を経ての仏教文化伝来で寺院も多く、仏教国ではないが儒教思想の影響を受けた社会思想国家である。それでも仏教寺院の僧侶は修練、修行の厳しさから一定の尊敬を集める存在であり、役割も果たしてきた。

 しかし近年は宗教界も世俗的な話題も多く、権力争いや利権争いに冒頭のような人格問題も話題になることが多くなり、やはり人口減少、人材不足は押し寄せてきている。

 (6)他人を許し、自己に厳しいと理解している宗教が、実は唯一絶対主義で排他的な世界であることが思想的な自己矛盾を生んでいる。宗教が世界平和に期待したほどに貢献できない宿命でもある。

 (7)薬師寺管主のゴシップに世も末と書いたが、折しもメットに肩パッドの重装備で真正面からぶつかり合うアメフトの強豪大学同士の対戦で、あってはならない無防備の相手選手にうしろからタックルに行く大反則行為が非難を浴びている。

 今、政治、社会、スポーツ全体で正義の論理(logic of justice)が揺らいでいる。

 

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