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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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裁判員裁判の9年。 trial of civil judgement for 9 years

2018-05-19 20:16:08 | 日記
 (1)裁判員裁判(trial of civil judgement)のことがあまり話題にならなくなって社会に定着したのか、施行9年を迎えて裁判員の辞退率が年々上昇し17年は66.0%に達し、18年3月での統計で69.6%と高い確率となっている。

 (2)70%近くが辞退する制度というのは、制度として成り立たなく見直しが求められる。当初、裁判判決に市民感情を取り入れるとして実は裁判官の裁判かけもちの不足を補う制度として導入されたものだが、裁判員裁判の判決が専門裁判官の上級審で否決されるなど司法制度の趣旨、実効性に自己矛盾の問題も出ていた。

 (3)日本は儒教思想に根差した社会思想国家としてかっては父権社会が基盤となっており、社会、市民が裁判で正義を守るという理念、理想になく、市民が社会正義の実行者、歴史の米国社会の陪審員制度のように定着するのはむずかしく、むしろ日本では市民が参加する検察審議会制度の方が国民性、社会性に合っていると書いたが、70%近くが辞退する裁判員裁判というのは完全に機能性を失っている。

 (4)裁判官の育成強化を目指した法科大学院は定員不足が続いて維持できない大学も多く、法科大学院の取りやめも続いて目的が実現できずに裁判官育成強化の方針が崩壊している。

 国会、政治では特定秘密保護法に安保法制、共謀罪に1票の格差、憲法改正と国民の権利、生活に影響力の大きい重要な敏感な(sensitive)政策問題が続いており、国民の権利、生活を守るための司法の判断が求められる機会も増す中で、裁判官の充実にここにきての裁判員裁判の役割も重要性を増している。

 (5)裁判員裁判は国、政治の政策に対する司法判断にこそ必要なものであり、これに限定して実施することが趣旨、目的に添うものだ。そもそも裁判の特質性から裁判員に守秘義務を課せられるというのも精神的負担も大きく、パラドックス(paradox)として健康上の問題で裁判員が精神的苦痛を理由に裁判に現状回復を訴えるという事例もみられる。

 (6)こうなるとどういう意味、趣旨、目的の裁判員裁判制度なのか、制度対策、見直しが必要だ。裁判官の充実強化のために将来に及ぶ身分保障の強化を進め、教育制度も充実する政策が必要だ。

 日本社会の成り立ちから専門裁判官による司法制度は基本として、裁判員は政治、政策、経済問題に限定して実施するのが理想だろう。

 (7)そのほかは市民参加による検察審査会制度での国民感情をいかした判断が適切な方法論(methodology)だ。
 裁判が国民にとって身近なものとなるのは社会正義の論理から間違いではないが、日本の社会思想、文化に合った方法論でなければ機能しない。

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