いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

反対予備軍。 the first-reserve for the opposition

2018-05-03 20:05:27 | 日記
 (1)憲法記念日を迎えたが、何年か前の憲法改正論議の高まりはみられない。憲法改正を重要政治課題とする安倍首相は森友、加計問題で窮地に立たされておりそれどころではなく、今年はこの時期中東歴訪で国内を留守にしている(本日帰国)。

 自民党は年内発議を目指して憲法第9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)をそのまま残し、あらたに9条の2に「必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として~自衛隊を保持する」(改憲案)とする改憲案をまとめた。

 (2)石破茂議員などは自衛のために戦力、交戦権を制限される9条2項を残すべきでないとこれに反対を示しているが、自民党改憲推進本部の細田本部長に一任でまとめた。

 この自民党改憲案に対して、直近のメディア世論調査では賛成27%、反対31%、わからない29%、その他無回答か13%となった。反対が31%でわずかに賛成27%を上回ったが低レベルできっ抗しており、ほぼ3分轄したわからない29%がどう動くかで改憲の行方が定まることになる。

 (3)憲法は守るべきものか変えるものかは、守るべきものもあれば変えるものもあるという一般論ではなく考えると、戦後一貫して71年守ってきた歴史の教訓、重みを考えるなら「守る」べき憲法であり、自民党案が考える「自衛隊」明記の改憲ということになるなら、安倍首相がこれまでの自衛隊の役割、活動を考慮してそれでも違憲論がある中で憲法上に明記して自衛隊を合憲とする改正内容は、かって自衛隊を違憲と主張してきた旧社会党系がその後に合憲に変わり、共産党も自衛隊の存在に一定の理解を示して、なにより国民の多く(総意)が自衛隊の存在、活動に広く理解、容認している現実をみれば、今回の自民党案のような改憲論はあえて必要もないものといえる。

 (4)むしろ第9条を変えるなら、個別的自衛権に限定して戦力、交戦権を認め、自衛隊をその実力組織と認める普遍的な解釈変更ができない規定にすべきだ。
 自民党関係者の中にも第9条への自衛隊明記の必要性に疑問、否定的な意見も聞かれる。

 自民党案がどうしてあいまいなものになったのかといえば、安倍首相が自民党野党時代にまとめた改憲草案では第9条1,2項を削除して自衛隊を国防軍として自衛権の発動を妨げないという平和憲法の趣旨を大きく変質させるものであったが(石破議員は今でもこれを支持)、連立を組む公明党、野党の理解が得られない中での今回の自民党案となったものだ。

 (5)安倍首相としては戦後の日本国憲法が米国の押しつけ憲法だとして主権国家として自主憲法制定を党是としているもので、何が何でも改憲するという意地の改憲論にすり替わってきた。

 石破議員の今回の自民党案への反対意見は自民党改憲取り組みの筋を主張しているもので、適切、不適切判断は別にしてこれはこれで筋の通ったものといえる。

 (6)そこで直近世論調査での自民党改憲案に対する賛成27%、反対31%、わからない29%の三すくみだが、わからない29%が賛成に回る可能性はつまり改憲しなければ国体、政治、社会が不都合なほどのものでないことを考えるなら今回の自民党案では大きくはなく、反対予備軍(the first-reserve for the opposition)となるものだ。

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