感情の高まりとフェア。 get excited and fair play

　(1)有名な話に米国大企業が独占禁止法に問われた時に、企業の代表が社員に対してそれじゃ残りのすべての市場を取ってこいと指示したというのがある。
　企業の市場競争は弱肉強食の世界で、共存共栄などないなかなかきれいごとですまない世界だ。

　冒頭のように極端な露骨な市場独占主義は許されない公平で公正な市場競争主義が原則で、それが社会に活力と成長をもたらすダイナミズム（dynamism）となるのが自由主義経済社会の正義の理念だ。

　(2)しかし一歩企業の中に入れば自由経済市場主義社会で冒頭のような自由で闊達、旺盛な企業活動は留まることはない。
　一歩でも他より先んじることが企業を成功に導く極意でもある厳しい自由競争生存社会だ。なかなかきれいごとではすまない。

　(3)スポーツも同じで、スポーツマンシップにたけた正々堂々たる態度、プレーは望まれるが、一歩中に入れば弱きを助け強きをくじく正義の論理では自らの立場を不安定なものにして、やはり弱きは確実にくじき、強きに全力を傾けて戦うのが理想だ。

　表にはいっさいでないが相手チーム、選手の弱点を徹底的に分析して洗い出し、その弱点をこれまた徹底的に突いて攻撃するのが勝利のポイントで作戦として徹底される。

　(4)アメフト競技はメットに肩パッドの重装備で正面から激しくぶつかり合う勇猛果敢なスポーツで、さしずめ将棋、チェスのように監督、コーチングスタッフが選手をコマのように機能的に動かしてポイントをかせぐ競技で、米国で最代人気のスポーツだ。

　ラグビーも重装備はないが正面から激しくタックルで相手選手をつぶして優位にゲームを運ぶスポーツで、特に互いに屈強の８人のフォーワードで組むスクラム合戦はゲームを左右するアドバンテッジで優位に運ぶ目安となるもので、ファーストスクラムは重要といわれている。

　(5)試合前のロッカールームでは円陣を組んで涙ぐむ選手も多く、感情の高ぶり（get excited）がみられる。その分、総じて日常はゲームでの勇猛果敢なプレー姿からは想像できない紳士然としたのが多いのも特徴だ。

　そういえばゲームとしても審判の判定は絶対であり、ゲーム中も双方のプレーヤーに審判が（携帯マイク使用）フェアプレーの遵守、反則の恐れのあるプレーに度々事前に注意を与える姿が見られて、激突プレーのゲームをコントロールしている。

　(6)それでも誤解を恐れずに言うなら、試合前の感情の高ぶりで涙を流すロッカールームではそれこそ相手プレーヤーをぶっ飛ばして蹴散らす覚悟（あくまで覚悟）を伝えて士気を高めることもあるのではないのか。そうでなければパラドックス（paradox）としてあれほどの激しいゲームには臨めない。
　その前提となるのは、弱きを助け強きをくじくフェア精神だ。

　(7)日大と関学大のアメフト定期戦で起きたボールを放してゲームの中心とは離れた無防備の相手プレーヤーに対するうしろからの危険なタックルの大反則を冒（おか）した日大チームは、二度とこのようなことがない反省とともにすべての謝罪とおわびをしなければならない。

　ゲーム前にどんな感情の高ぶりはあってもいいが、ゲームが始まれば冷静なフェアプレーは譲れない。