いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

天皇の親心。 parental love of tenno

2018-05-01 20:14:02 | 日記
 (1)来年の5月1日は新天皇即位の日であたらしい元号が始まる。現天皇の「平成」は31年で幕を閉じて「昭和」の半数年ということになる。
 幼くして天皇を継承した昭和天皇なので在位は長きにわたったが、現人神(あらひとがみ)の軍国主義時代から開戦、終戦(敗戦)を経て戦後は国民主権の新憲法発布のもとに象徴天皇となり、団塊世代の人口増のもとでの高度経済成長期を迎えて当時のGNP世界第2位の経済国として国際社会の仲間入りを果たした。

 (2)その後を引き継いだ平成天皇は多分天皇として初めて民間から皇后を迎え入れて、それまでの皇室慣習とは別に子ども(皇太子ほか)を自らの家庭の中で自らの手で育てるというあたらしい皇室像を打ち出して、その後の近代皇室の流れをつくり出した。

 そうした近代皇室の流れは皇室伝統を重んじる保守的政治思想からは距離を置かれて、保守思想の強い安倍首相、政権と天皇機関の宮内庁とは良好な関係とはいえないといわれる。

 (3)安倍首相は万世一系男子の天皇制に強いこだわりがあり、皇太子の長女愛子さまの天皇継承には消極的で、皇室継承の男子皇族減少の問題を抱える宮内庁とは対立も聞かれ宮内庁長官の政治的な解任もあった。

 現天皇の退位問題でも、万世一系男子にこだわる安倍首相と現天皇の退位へ強い意思、意向を支える宮内庁は対立し、昨年夏の天皇のビデオメッセージでの退位意向表明から国民がこれを支持する世論の高まりで安倍政権も現天皇に限り退位を認める時限立法で来年の4月30日退位、5月1日新天皇即位が決定した。

 (4)現天皇は恒久的な天皇退位制度を考えられていたと伝えられて、宮内庁としても不満の残るものだった。当初、政府は新天皇即位を区切りのいい来年1月1日を想定する案もあったが、これに宮内庁は正月は重要皇室行事がたて込んでいることなどを理由に難色を示して4月30日退位、5月1日即位方式が採用された。

 政治が万世一系男子の天皇制にこだわり、皇室、宮内庁が政治判断に異議を唱えるという象徴天皇制の中で、天皇の政治利用、政治的関与が働いた近代皇室の平成時代でもあった。

 (5)ここではそれには深入りせずに、現天皇の高年令健康上の問題が退位の意向ということで高年令化社会の問題を抱える国民世論の高い支持を集めているが、天皇の皇太子を想う「親心」(parental love of tenno)も大きいのではないのか。

 皇太子も50才を過ぎて人生100年時代の折り返しを過ぎており、平成時代がさらに長く続けば継承する皇太子の時代はそれだけ短くなるということで、天皇の高年令と頃あいを見計らったところもあるのではないのか。

 (6)やはり一般社会と同じように天皇、皇后の手元で自らの手で家庭で育てた皇太子ほか子どもへの愛着はそれだけ深い、強いものがあるのは伺い知れるところだ。
 少子高年令化時代、社会を迎えて皇室もその時代の波にもまれるのは当然のことであり、今後天皇の在位年数が限られてくるのは考えられて、変化する元号問題もあらたな課題に直面することになる。

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